デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ!   作:片桐きな粉

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第一章 職人は苗植えから
第1話 そりゃ美少女になったら背景を良くしたいよね


 

 

 

『契約のエリュジーン』

 

それは、モンスターと契約した少女達が巨大な悪に立ち向かう...

そんな王道な物語、のアニメ。

 

 

深夜帯のアニメとして密かに人気を集めていて、原作が完結したあとも3期ほど続いており、続編も発表されている。

 

いわゆる俺もそのファンのひとりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だったんだけど

 

 

次に目を覚ましたのは自宅ではなく全く知らない地べた、星が綺麗な夜空。

それに____

「.....どこ?_____え」

 

 

自分が発した声がとんでもなく高かった。

 

あっれおかしいな男だったんだぞ?

 

 

近くの水溜まりで反射した顔を見ようとするが、仰向けから腰をあげようとした所、力が入らずにそのままうつ伏せになってしまった。

 

 

「__あれ?」

 

 

 

力が入んないって言うか....そもそも体も自分じゃなくね?と気づいた。

 

 

ずっと困惑して更にここから動けない状況の中、水溜まりの中から声が聞こえた。

 

 

 

「__●●、●”●●●●●●?」

 

 

何も聞き取れないけど、何か聞いているのは分かった。

 

 

 

 

 

 

 

契約のエリュジーンでは、死にかけた者がこの世界の救済措置として、近くのモンスター、または選んだモンスターと契約をすることが出来る。

 

契約は口約束だが、その願いを叶えるためにモンスターは全力を尽くしてくれることがほとんどだ。

ただし、願いを叶えた後にそのモンスターは能力が格段に上がってしまう。破壊の限りを尽くしたり、はたまた世界を征服しようとしたり。

だからこそ、この世界では契約というのは慎重に行わなければならない。

また、契約に当たってそのモンスターの力を使えるようになる。

信頼関係が上がるにつれ、契約期間を伸ばしたり、新たに契約をすることも出来る。

逆に言えば、さっさと契約を終わらせて暴れ散らかす者もいるというわけだ。

 

 

そんな奴を倒すのが、エリュジーンの主人公勢、いわゆる正統契約者、通称コントラクターの人達だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーんと、じゃ、これ

 

 

もしかしてさ

 

 

 

「...エリュジーンの世界?」

 

 

「●●●●?●●)●●」

 

 

 

 

近くで聴こえる声がさらに近づいてくる。これがモンスターってこと?

 

じゃあ俺今死にかけなの!?

 

確認しようにも動けない、そういえば胃が痛い。

なるほど、飢餓ね。と自分で納得して改めて声のする方向を見る。

 

 

 

 

紛うことなき鯱だった。

 

「...シャチ??」

 

 

めっちゃうっすい水溜まりでしたよね?

 

驚きつつも、俺の意識は刻刻と無くなっていっている。

 

せっかくこの世界に来れたんだからもっと楽しんでから死にたいよな!!!

 

 

 

えっと....確か契約する時はなんて言うんだっけ....

 

 

あ、そうだ

 

 

 

 

目の前にいる鯱に手をかざし、

契約(コントラクト)

 

と呟いた。

 

 

 

 

 

瞬間、俺の視界は光に包まれ、いわゆる精神世界ってとこに連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めてきて、最初に見えたのは黒の髪に白のメッシュ、そんでもって....後ろに見える大きい背鰭と尾鰭。

 

まあ状況的にさっきのシャチさんだろう。

 

 

 

 

「....ドーモ、契約者サマ」

 

 

 

 

 

こちらを見て彼女はそう言う。あのシャチさん女の子だったんだ。可愛いね 

 

 

 

 

 

 

この世界での契約は、どんなものを願うのか、また何故それを望むのか、という返答をし、相手がどのくらいの力を貸し与えるかを決める。

 

まあつまりそれをするために俺はここに連れていかれたのだろう。

 

 

 

 

余談だが、この場所は現実ではないので、好き勝手にものを取り出せる。実際、アニメ一期で主人公はお菓子を取りだしてモンスター、グリフォンを手懐けていた。

お菓子で買収されるモンスターもどうかとは思うが。

 

 

ずっと自分を確認したかったので手鏡を出して顔を見た。

 

 

「え」

 

 

一言で言えば病弱少女。消えてしまいそうな程に儚い見た目だった。

これが、俺__?

 

 

 

 

「驚いてるとこ悪いけど、契約だからね。までも一応聞くけど、なんで死にかけてたの?場所も変だし」

 

 

 

少しだるそうな声で彼女は問いかけてきた。

 

ふむ、どうしようか。

気づいたらここにいたって言うのもそれはそれで楽かもしれないけど...

 

よし、決めた。

俺は_いや私は、これからこの姿なんだから、この子として生きる。

いわゆるロールプレイってやつをすることにしよう。

 

どうせあっちに未練は...せっかくならファイナルシーズンまで見たかったかな....

 

 

 

 

うん。

 

 

私には夢があった。

 

どうせなら顔の好い人に愛されたいっていう願いが。

今なら叶うんじゃないか?男じゃないし、何よりこの見た目だ。

 

 

ならば、相当なバックボーンが大切だろう。急いで頭を回転させ、自分の中で設定を作り、話すことにした。

 

 

 

「私は...忌み子なんだって...お母さんが何度も叩いてきたの..『あんたが居なけりゃ!!』って..」

「家を追い出されて、優しい人に拾われたんだけどね?その人がモンスターに連れ去られて、山の方に行って」

 

 

「探したんだけどね?居なくって.....それで、お腹がすいて、気づいたら、貴方がいた」

 

 

 

どうだ!脆弱な脳みそで考えたストーリーは!!

 

 

彼女の反応を待つ。

.....喋らない。俯いたままこちらに聞こえない声でブツブツ言っているのは分かるが、それ以外は全く聞こえない。

 

 

まさか____作り話がバレた?

 

だとしたらとんだ笑いものだ、まずい!

なんとか言い訳を探して話そうとする

 

「あの...「..いいよ」」

 

 

言い出したのは同じタイミングだった。

 

少し気まずい雰囲気になった後、シャチさんは話すのを再開した。

 

 

「契約したげる。早く願いを教えなさい、もちろん、理由もね」

 

 

 

 

良かった〜〜〜! なんとかバレてないみたいだった。納得してくれて一安心する。

 

 

ここで私のホントの願いを言っても軽蔑の目で見られて終わるだろう。考えろ、どうやったらいい?

 

 

 

 

よく考える。

 

こちら見ている顔をよく見る。可愛い〜!!

...あれ、じゃあこの子にも愛されたいな。

 

 

 

 

決めた。

 

 

「私が、私らしく生きられるために、貴女に力を借りたい」

 

 

「....もっと具体的には?」

 

 

「目の前で救える人を救えるようになりたい。」

 

 

真っ直ぐに目を見つめる。こういう時は嘘の中に本音をアクセントで入れると信じやすくなるってどっかで聞いた。

 

 

「...どんな力が欲しいの?」

 

 

 

 

知恵、腕力、才能、それぞれ望むものは人それぞれだ。ある剣士は剣の才を、ある老人は全知を、望んだ。

 

また、これには裏技がある。公式ファンブックでしか載っていないような事だが、最終編に差し掛かって使われることがあった。

 

それは、自分自身にデメリットを課すことで、与えられる力の上限が引き上がるというもの。

それが高いほど、成長幅は大きくなるようになる。

 

 

使わない手はないだろう。さらに、本当の願いに使いやすい。

 

 

 

「使う度に、私の体の一部を食べていいから...再生と、その技能、が欲しい」

 

 

 

「....へぇ」

 

ようやくこちらに興味が湧いたような目をして近づいて来た。

 

 

「いいの?願いは別に気を遣わなくてもいいんだよ?」

 

 

「いいんです。使わせていただくものなので....それに、亡くなったら終わりですしね、フェアでいきましょう」

 

 

 

面白いものを見る目で観察してくる。

 

「....歪、不明瞭、視認できない...」

 

なにやらまたブツブツいっている...

 

しばらくした後、笑みを浮かべてこう言った。

 

 

 

「いいよ、じゃあ契約成立ってことで」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「そういえば自己紹介がまだだったね。アタシはアルカ」

「アンタの名前は?いつまでもアンタじゃ分かんないよ」

 

 

「....私の名前」

 

考えたこと無かった。前世の名前は使いたくないし、いいネーミングセンスもない

 

うんうん悩んでいると

 

「....ないならつけてあげようか?」

 

どうやらつけてくれるらしい

 

 

「お願いします」

 

 

「....んー、じゃ、カルア。アンタの名前は今日からカルアね」

 

 

カルア....いい響きだ。

アルカの反対から呼んだだけだけど

 

 

 

「カルア...カルア...今日から、私はカルアです」

 

 

 

「そう。これで私たちは正式に契約をした。楽しませてね?カルア」

 

 

 

そう言って、ニヘラとした顔で言ってきた。私もなにか言い返そうとしたが、また光が体を覆い、元の場所に戻された。

 

 

 

 

 

 

後になって知ったことだが、この世界での名付けは相当な力があるらしく、後になって少々ややこしくなるのだが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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