デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ! 作:片桐きな粉
「とうちゃーーく!!」
といわけで。
という訳でじゃないんですよなんでこんな禍々しい所にいるんですか
「どうだい?ボクの家は」
でかーーーーい!!すっごーーーい!!
最初にあった蜘蛛が五体くらい入っても平気なくらいの広間に私たちは連れ込まれていた。
こういうところって自分で入らないとなんか達成感とかドキドキとかあんまりないもんなんだね。
「うんうん、気に入って貰えたようでなによりだよ♪」
どう考えたってそんなこと思って無さそうな反応だっただろ
ただ気軽に反論したら体が吹き飛ぶ可能性が大いにあるので何も言いません。怖いからね。ストップ暴力。
そういえば。
アルカちゃーーーん?
スルッと私の中から出てきた。
私だけ持ってかれたから置いていかれたかと思ったけどそういえば私の中に入れるんだったね。良かった〜〜
離れた状態で傷ついたら損だからね!
アルカの近くにいようとすると序列三位ボクっ娘がアルカちゃんを引っ張って自分の部屋まで連れていった。
「ま、まってアルカ」
急いで止めようとするけどボクっ娘がそれを動く髪で制した。
目の前でうねうねされるとちょっと.....
「ボクとアルカは今からちょっと大事な話があるからね。少し待っておいてくれ。」
えぇ!?何それ気になる!?
アルカと宝石商の関係とかあったの??
疑問をそのまま表情に出していたのでボクっ娘が「そんな顔をされてもね...あんまり教えられないんだけど....う〜ん」
と悩んでいた。
アルカちゃんも目が泳いでどうすればいいか分からなくて、か、わからずおろおろしてる。見たことないぞそんな行動。可愛いから全然おkです
そんな時、外界を繋ぐ扉が開かれた。
「ただいま戻りました!」
快活な声がその広間に響き、ボクっ娘が続いて
「おおシトリン!!まったく良いタイミングだよ!!」
と喜びの声を上げていた。ん、シトリンって確か...
声の方向を見ると、そこには色んな世界でよく見られる、いわゆる聖女そのもののような容姿の女の子がいた。
__うん。そうだよね。シトリンちゃんってこっち側だもんね。
普段協会でのほほんとしているのにしっかり宝石商の一員だなんて、恐ろしい子_
そんなシトリンちゃんは私を見ると、たたたっと駆け寄ってきてその両手で私の手を握ってきた。
「なるほど、貴方がアルカちゃんの契約者なんですね。よろしくお願いしますね!」
笑顔が眩しい。さすが聖女サマー。
というかなんでこの世界の子達みんないい匂いなの
ふざけないで
手を握られた時にふわっと香る花の匂いから落し物イベは恐らく終わったのだろうと推察できる。
「ちょっとボクこれからアルカちゃんと積もる話があるからさ、暇になるカルアちゃんのお世話してくれない?あれだったら家案内しててもいいよ」
と言ってアルカちゃんと一緒に奥へ行ってしまった。
ああ、私の心の拠り所ーーっ!!
「分かりました!....それでは、これから案内させていただきますね♪」
とシトリンちゃんは私の手と手を繋ぐように持ち替え、歩き始めた。
なんだよ!!子供だと思ってんのか!!ええ!?
そういえば子供でした。ごめんなさい。大人しくしてます
「ここが食堂で〜、クネリア様の召使い達がせっせと料理を作っています〜」
ひとつの部屋がデカすぎるため、行き来するごとにこの貧弱な体ではついていけないほどの距離を歩く。
あの、そろそろ休憩させてもらっても....
と次の部屋に来た時にそう言おうとすると
「あ、この部屋は__」
「____ひぇっ」
心の底から冷たい吐息が漏れた。
「あちゃー、これはあんまり見せない方が良かったですね...ちょっと刺激が強すぎましたか....ごめんなさいっ」
聖女サマがそう謝ってくる。
私の目の前には、
様々な異形のモンスターが人を、食べている。
叫び声は誰かが無音の魔法を使っているのか何も聞こえない。
まるでミュートでスプラッター映画を見ているような、そんな感覚だった。
だが、床にこびりついた血や様々な体液が現実だぞと視界から訴えてくる。
漫画で見るのと実際のその現場を見るのでは圧倒的に違う。その場で蹲った私は胃のものがせり上り
「...こぷっ....こ゜ぼっ”」
床にびちゃびちゃびちゃっと黄色い液を撒き散らしてしまった。昨日食べたものは....食べてなかったから固形物は何も無く胃液だけが出た。
「ご、ごめんなさ....うぷっ」
また吐いた。
とりあえず心もそれなりに退化しているから刺激が強すぎるのはあんまり良くないのはその通りだなとおもいました!!
その間シトリンちゃんが背中をずっとトントンしてくれたのでうれしかったです!!
でも、それでもこわかったです!!
「おー、よしよし。怖かったですね。申し訳ないです...それじゃ、ここは閉めて話が終わるまで元の場所に戻っておきましょうか。」
その空間はまるで最初からなかったかのように扉が無くなり、無機質な壁に変わった。
「ただいまっすーー!....あれ」
「もう、モエの家じゃないんだけどね.....どうしたの」
おかしい。鍵が空いている?
空き巣?先輩の家に?
まさか。
私は急いで中に入り、武器を片づけるのも忘れてカルアちゃんを探す。
カルアちゃんに何かあったのかもしれない。誘拐されたのかもしれない。
そう考えると勝手に体が動いていた。
「ちょっと、モエ!!?」
慌てて私を呼び止めようとする先輩を無視し、全ての部屋を隈なく探す。
お風呂場、キッチン、ベランダ、寝室___いた。
「...良かった.....。」
大事なことにはなっていないと確信して安心する。
そのカルアちゃんは昨日私が寝ていた方のベッドの上で布団を被って丸くなっている。
「もー!カルアちゃんも人騒がせっすねー!ちゃんと鍵はかけて__」
と言いながらその布団をめくると、
かたかたと小刻みに震えているカルアちゃんがいた。
どうしたんだろう....
光が突然暗闇から入り、眩しそうにしていたカルアちゃんが私に気づくと
「__っ!!」
私の体に抱きついてきた。
「うぇっ!!?」
急な出来事すぎて私の手が空中に浮いたまま固まっている。
「ど、どうしたんすかカルアちゃん」
動揺しながら理由を聞いてみる。
しばらくの沈黙の後、カルアちゃんは小さい声で
「.....こわかった...」
と言ったあと、少し抱きつく力を強めてきた。
なーんだ、そういう事だったんすね〜!
もーほんと可愛いんですから!!
確かに小さい子は独りでいると孤独に耐えられないと聞くし、少しでも誰かを近くに置きたいから私の匂いが付いてるベッドに移動して包まっていたんだろう。
まだ震えているカルアちゃんの頭をゆっくりと撫で、少し笑った。
カルアちゃんが、私を必要としている。私を信頼している人だと思ってくれている。弱みを見せてくれている。
_______ゾクゾクゾクッ
?
なんだろ、この感覚