デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ!   作:片桐きな粉

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第24話 聖女

 

 

 

 

 

 

 

「う....嘘....なんで.....?」

 

だって、カルアちゃんはトルミンに預けて....

 

カエデ先輩が駆け寄っていった。その動きでさえ今はとってもゆっくりに見えた。

 

 

 

なんで。どうして。

傷付けないために来させなかったんだよ?

 

私はカルアちゃんを任せた人を顔を浮かべた。

 

「.....シトリン.......」

 

 

そう呟くと、街にいるはずの明るい声が私の鼓膜を揺らした。

 

 

 

前を向くと、ここにいるはずのない明るい笑顔のシトリンがいた。

 

 

 

 

「はぁ!?なんでトルミンの聖女がここに」

 

 

そうだよ。だって私たちは信頼して預けて

 

「あは、ごめんなさい〜!ちょっと面白そうな雰囲気がしたので〜」

 

何の気なしにそう言ってきた。

 

 

「面白そう、ですって....?」

 

そうミソラちゃんが問うと

 

「そうなんです!実は街に魔物放ったのも私で」

 

 

__は?

いま、なんて言った?

 

「もちろん街の人たちは死んじゃいましたけど、その分面白いものが見れました!!カルアちゃんすっごい強いんですね!!!」

 

 

感激ですぅ〜!!と身体をクネクネさせている彼女は、今の光景が見えていないのだろうか。

 

 

 

「カルアちゃん!!カルアちゃん!!!」

 

先輩があの小さな体を揺らして意識があるかどうか確かめている。

これまでと違い再生する様子もなくまだ鮮やかな血が流れ続けている。

 

あのまま行けば、出血____っ!!

 

 

「シトリンっ!!!あんたなんなんすか!!!?」

 

 

声量も考えずその胸ぐらを掴んで聞いた。

 

 

「おおっ!?もー!暴力反対ですよっ!めっ!」

 

 

指でバツを作ったかと思うと、私の体から力が抜け、その場で崩れ落ちた。

 

 

なんで、この力はたしか

 

 

「あ!気づきました?そうですそうです!ルビウスさんの使ってたやつですね〜」

 

 

なぜ?あの場でルビウスは死んだはず...

殺しきれていなかった?

 

 

「いや?しっかり死にましたよ〜?ただ、そのモンスターは姿を現していませんよね?つまりそういうことです♪」

 

 

 

 

 

「早く....教授の所まで持っていかないと....早く」

 

 

 

 

先輩がその質量が軽くなった小さな体をガラスを持つように繊細に支えようとしている。水平に持った時、穴が空いている傷からなにかピンクで細長い物や丸っこいものがこぼれ落ちていた。

 

 

 

「あ...こぶっ....お”え”っ゜」

 

 

その姿を見た時、私は身体が動かないままにも関わらず胃は稼働しているようで、まるでこの現実を受け入れられないのが反映したように私の胃の中の物が全て外に出た。

 

 

 

先輩はそれに気付くと立ちかけていた足を戻し、

「も、戻さないと....カルアちゃんのち、腸...」

 

手探りで入っていた場所に戻そうとしている。

人の腸は身長の2倍以上あり、そう簡単には押し込めない。

 

「あれ?なんで....戻らない..?」

 

 

「わ〜!!だめですカエデさん!!そんな乱暴にしちゃ治るものも治らないですよ〜」

 

 

 

シトリンが急いでその場に行き、支えがない先輩を手で押して退ける。

 

 

 

「うーん、ちょっと3人には目に毒ですかね♪治しちゃいましょっか♪」

 

 

と言ってカルアちゃんに手をかざすと、カルアちゃんのお腹に黒い光が輝いた。

 

「ちょっと強引かもしれませんけど、我慢してください〜」

 

 

そんなことを言って、更にその光は増していく。

 

「..!!」

 

カルアちゃんの意識が戻った。その瞬間

 

 

「...?、...ぃう”ぁ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」

 

光が増したかと思うと、地面に横たわってたカルアちゃんがガクガクと震え始め、その華奢な身体が痙攣していた。

 

 

 

「や......自己再生......だめ、かるあちゃん」

 

先輩がうわ言のようにそう呟いた。

 

自己再生?

あの?

 

 

それをシトリンが誘発している?

 

っ!

 

やっと動けるようになった身体が悲鳴を上げているが、それでも構わない。あいつを止めないと。

 

 

落ちたメイスを拾い、全力でシトリンに殴りかかった。

 

隙しかない。なのに。

 

 

「も〜!暴力はだめなんですって〜」

 

 

さらりと躱された後、がら空きの私の背中が蹴られて地面を転がった。

 

 

 

 

「い”ぁ”ぁ”っ”っ”!!.........ヒューッ.......コヒュー..ッ...」

 

 

 

 

嫌に眩しい光が無くなった後、カルアちゃんの辺りに響く絶叫も無くなり、薄い呼吸音だけが私の耳に残った。

 

 

 

「うん♪これでひとまずは大丈夫ですね♪」

 

 

地面に倒れ伏している血だらけのカルアちゃんを担ぎ、「腕がないから掴みずらいですね〜」なんてことを言っている。

 

 

「盗ったのは.....そっちでしょ....」

 

負け惜しみかもしれない。でもまだ抵抗しなきゃいけない。私の口から出たのはそんな意地汚い事だけだった。

 

 

 

「これは1本取られました!....それじゃあ、そんなモエさんにはこれを上げましょう。近くに落ちてましたよ」

 

 

 

起き上がれない私の目の前に1つの立方体が置かれる。

 

 

[腎臓]と、書いてあった。

 

 

 

 

 

「しばらく街には戻れないですね〜...顔見られちゃいましたし....

あ!もちろん後でカルアさんは返すので安心してください♪それでは〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、何も出来なかった。何も救えなかった。

 

先輩の家に3人で戻ったときの食卓はまるでお通夜のようで、だれも言葉を発さず、だれも食事に手をつけようとしなかった。

 

 

「これ、片付けちゃいますね..」

 

 

もちろん私も食べるなんてことは到底出来ない。

 

 

お風呂に入った。いつもよりも浴槽が広く感じる。1人分浮いたからだろうか。

 

 

 

部屋に戻った。いつもよりも広く感じる。1人分浮いたから。

 

 

全部。全部ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ。

 

 

 

全部。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フメイル」

 

『なあに?哀れなモエ』

 

 

 

「再契約、出来るよね?」

 

 

『!ふふっ!やっとその気になったのね!!いまからどんな形で復讐するのか、とっても楽しみだわ❤』

 

 

 

 

 

「違いますよ。私がこれからするのは、悪に正義の鉄槌を食らわせるだけです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく寝ました!!

 

布団をめくろうとすると何故かめくれない。なんでだろ

 

 

あ!そうだ!!喰われてんだっけね

 

足でかかっている布をどかし、自分の腕を見る。

 

 

 

なんで再生してないんすか...?

 

というか

 

 

「ここ、どこ.....?」

 

 

どうみても主人公ちゃんの家じゃないよね。こんな暗くないもん。

 

 

 

『...主ガ気を失ッタ後、アノ聖女ガココマデ運んデイタ。』

 

 

 

あら、そうなの。ありがとうキューちゃん。

 

ところでアルカさんや。

 

『なに』

 

 

離してくれませんかね.....

 

いつぞやの時みたいに全部絡まってるんすわ。

 

『.......』

 

 

あ今回は結構すんなり。

 

 

ねえねえなんで今私の両腕再生してないの。

 

『オソラク聖女ガ使っタ変ナ治癒ノセイデショウ。ナンラカの妨害ガサレテイマス。』

 

 

そうなの?アルカちゃんを見ると頷いてたから多分そうなんだと思う。

 

 

 

にしても

 

 

肘から下が丸くなるって新鮮〜!

なんか不謹慎だけどやっぱり変だね。不便だわやっぱり

 

 

 

 

どうしようかな〜なんて思っていると。

 

 

 

『これから、アタシがカルアの手になるから。

したいこと、やりたいことなんでも言ってね?』

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

 

 

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