デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ!   作:片桐きな粉

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第30話 モエ

 

 

 

 

 

篠崎モエは小さな村で生まれた。

 

その村では出生率が極めて低く、聖女の跡継ぎが生まれた!と周りはとても喜んでいたそうな。

 

 

 

「あんら〜!モエちゃん可愛いねぇ〜!」

 

 

 

「さすが次の世代の聖女さまだぁ、顔つきから違う」

 

 

近所の人は出会う度にモエを褒め、自然と笑顔に溢れていた。

 

両親の仲も良好で、幸せの中モエはすくすくと育っていった。

 

だが、そんな平穏が続くはずもなく。

 

 

 

 

 

 

きっかけは危険区域に勝手に入ったモエが、近づいてくるモンスターに恐れをなし、近くにあった石ころを投げたことから始まった。

 

その場所の守護者が激怒したらしく、襲撃に来ると。

モエ以外の村人全員に伝えられた。

 

 

 

 

「ねぇ、おかあさん?なんで私だけここに残るの?みんな村に戻ってるよ?」

 

幼いモエには何が起こっているのかわからなかった。

 

ただ目の前で必死の形相で

 

 

「いい!?絶対に今日はここにいてね!分かった?」

 

 

と言い、走り去る母の姿を見て、

 

「おかあさん!!おかあさん!!!」

 

と叫ぶだけだった。

 

 

 

 

 

モエはその言いつけを守り、辺りが暗闇から明るくなった頃に村まで歩いて戻っていった。

 

そこには村だった物が、荒れ果てた焼畑のようになっていた。

 

 

よろよろと現実を受け入れられない小さいモエは、両親や大人たちを探して歩く。

 

 

 

「おかあさん...?おとうさん.....おばちゃんたち....どこ...?」

 

 

探せど探せどどこにもいない。近くの茂みに隠れてる?と思い探しても誰もいない。

 

 

 

ふと、見慣れた光景の場所があった。

 

 

家の前から見える池。同じ角度なのに振り向くと建物はなく、ただただその奥の景色が延々と続くだけだ。

 

 

 

 

足にがたっ、とものがあたる感触がし、その場所を見る。

 

 

 

 

「これ、おとうさんがもってた.......」

 

 

そこには「仕事道具だからモエは持っちゃダメだぞ」と口酸っぱく言われていた棍棒の様なものが落ちていた。

 

 

 

そのまま眠りこけ、1日2日ほどが経ち、モエが起きると目の前には変な装飾をした人型の物がいた。

 

 

『あんたが私の契約者?』

 

 

「...だれ?」

 

 

意識がまだ朦朧としているモエは話しかけてきた相手が誰かわからない。

 

 

『私の事なんでどうでもいいわ。願いを言いなさい。出来るだけ叶えてあげるわ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人情の街、トルエンにようこそ!本日はどう言ったご要件でしょうか?」

 

 

「正契約者登録を。」

 

 

モエは隣街、正確には無くなった街からなので隣では無いが、その街に来た。

 

 

「主要魔法は....炎、ですね!この辺では珍しいタイプ...」

 

受付嬢が何か言っている。

 

(.....皮肉、....)

 

モエは無くなった街を思い出し、自分の身勝手な行動が引き金となった凄惨な出来事が思考を襲った。

 

 

 

それからモエはその街で依頼されるモンスター討伐を片っ端から受け、一気に自分のレートを上げた。

 

 

 

 

 

「....ねぇ、あれって、[業火のモエ]じゃない?こわ...」

 

 

「やめなって!!燃やされちゃう」

 

 

モエを見るなりヒソヒソと言う人々が見える。

 

笑わない顔、その戦闘現場を見たものからは「武器を燃やしてそのまま叩き潰すんだ...こぇえよ...」と言われ始めたことから、付いた異名だった。

 

 

 

(好きに呼んでればいい。私は私だから。)

 

 

 

 

ひとりでただ作業的に依頼をこなしていたモエを変えたのは、今の風野カエデその人だった。

 

 

 

「ねぇ、きみがモエちゃん?」

 

 

「は?」

 

突然話しかけてきた人物を見る。

 

薄緑の髪色、緩くカールが付いている柔らかそうな髪、そして、

 

「私、カエデ!同じ依頼受けたんだ!よろしく!!」

 

ここしばらく誰もしてこなかった馴れ馴れしいふれあいが、モエの印象に強く残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「......なんで着いてくるの」

 

「え?だって一緒に行動した方が楽でしょ?」

 

当然のように隣に来る彼女に、モエは困惑を隠せない。

 

 

 

「私と一緒だったら、あなたもなんか噂流れるかもね」

 

やんわりと拒絶をしても、その返答は

 

 

「?大丈夫大丈夫!そんな人じゃないでしょ?モエちゃん」

 

と平然と答える笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何回か同じ依頼をこなしていた時。

 

カエデは街の人の悩みを聞きに行こう!と言って私を連れ出した。

 

 

(今日の討伐は終わったのに....)

 

少し疲れていたモエは、ふと思った疑問をカエデに問いた。

 

 

「あなた、なんでそうやって人の所にズカズカ入って行けるの」

 

 

「えっ!?悪口?」

 

 

驚いた顔をしたカエデを無視し、更に言う。

 

「なんでそこまでして他人のことを気にかけるのか、私には分からない。」

 

私たちの仕事は、モンスター討伐だけじゃないの?というのと並行した疑問を聞いた。

 

 

その後のカエデの言葉に、モエは面食らった。

 

 

「___だって、私たちには力があるんだから。いざって時に頼られないと悲しいでしょ?」

 

「は?」

 

 

「普段からお願いとか聞いてれば、「巻き込んじゃうかも...」なんて思うハードル低くなるからね。身近な人に頼られないって、嫌でしょ?」

 

 

 

まぁ本当はただただお節介かけちゃう性分なだけなんだけどね〜とにへら顔で言う彼女に見た。

 

私とは違う、根っからの善だ。

モエは思った。

 

 

 

 

「.....あの」

 

「どうしたの?」

 

 

「これから、先輩って呼んでもいいですか」

 

考え方の先輩として、いい人生の道標として。

 

 

首をかしげた彼女は、少し考えると、笑顔で言った。

「、、?....いいよ!じゃあ改めてよろしくね、モエちゃん!」

 

 

今度は差し出してきた手をモエから握る。

 

 

「....はい。よろしくお願いします、先輩」

 

 

 

その日から、モエは自分の口調を変えた。

色んな人が距離を感じないように、少しでも話しやすく出来るように。

昔の自分を乗り越えるために。

 

 

「え?何その口調イメチェン?..いいね、かわいいー!!」

 

 

 

(なんて、先輩は言ってくれたっけ....)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は間接的にではない。

自分が殴った感覚が今ありありと手に残っている。

 

 

 

くり抜いた時の鈍い音、その後に響く絶叫。

 

(全部、私のせいだった)

 

 

どうすればいい?どうすれば償える?

 

考えろ。

 

先輩は「カルアちゃん元気になったよ、来ない?」と言っていたが、合わせる顔がない。

 

 

守ると誓ったのに。この手で傷付けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

(.......そうだ。なんで気づかなかったんだろう。)

 

 

それまでの陰鬱が嘘のように気持ちが晴れる。

思い立ったが吉日、私は自分の武器を持つ。

 

 

(同じ場所を潰せば、私もカルアちゃんに許してもらえるかな)

 

 

 

普通の部屋は家具ごと燃えてしまうから、風呂場に向かった。

 

 

火が燃え移らないようにしっかりと窓などを締め、呟く。

 

 

その際に外から聞こえた音は気づかなかった。

 

 

 

「......待っててね、カルアちゃん。」

 

 

私も傷付くから。

 

 

 

最大火力を自分に向けようと放つ瞬間、私の体は突き飛ばされた。

 

 

 

 

「なにやってんの!!!!!?」

 

 

驚いて感触がした方を向くと、見慣れた2人が私を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 






本編では全く語られていないため、カルアちゃんは
「なにそれ....知らん...」と思ってます
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