デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ! 作:片桐きな粉
「あっ......」
焦燥と諦めの感情を含んだ声が聞こえた。
「どうし....」
たの、と言葉を続けようとしたが、振り向いた時に見えた物で声が詰まった。
カルアちゃんが力なくへなへなと足を折り曲げ、お尻を床に全部付けた状態で座り込んでいた。
地面に付いたその場所の周りの雪がどんどんと溶け始めている。
近くには、普通のなんの変哲もない動物型のモンスターがいた。
(これが原因?いや、何か違う....)
思い出せ。何かがおかしい、
カルアちゃんを助けた時に見えた身体の縛られた痕。
触れようとした時の怯える様。
何かあったはずなのに執拗に何も無かったと泣きながら否定してきたあの時。
___何があった?
理解したくないだけなのかもしれない。そんなわけはないと。
何処かであの敵たちに少しでも倫理観があることに希望を見出して、ただただ連れ去られたのが怖かっただけなんだ、カルアちゃんの言う通り何も無かったんだと信じ込みたい。
違う。
現実を見ろ。
そう凍えるような空気が伝えてくる。
この目で見えた情報だけしかないが、それだけで状況証拠がお釣りが来るほどに揃った。
私たちは、いや私は、この小さな身体にどれ程の業を背負わせてしまったのだろう。
黙り込んて震えるだけのカルアちゃんに近寄る。
後ろから目を隠すように手を添え、抱きしめる、前に片方の剣を投げて近くにいたモンスターを殺しておいた。
ザシュッ
「あー!なんで殺しちゃったんすか!この時期の猪型は群れなのに!」
「来るやつ全部倒して!カルアちゃんに見せるな!!!」
そう叫んで命令を飛ばす。
少し葛藤があったモエも、仕方ない、と
「...ぁー!終わったら理由聞きますからね!!」
と戦闘に入った。
「....は、はなれて.....汚れちゃう...か、ら...」
そんな訳ないじゃないか。カルアちゃんが汚れてるなんてそんなことがあるわけないだろう。
むしろ汚れているのは貴方に危害を加えた屑の方なのに。
「んーん?カルアちゃんは綺麗だよ、汚くなんてないから」
「ち、違う..」と小さい声で否定していたのは耳に入らない。
だって本当に貴方は綺麗なんだから。
「たとえどんな事があっても、カルアちゃんが自分をどう思ってたとしても、私はカルアちゃんの味方だからね?」
そう囁く。
そう、たとえ世界が敵に回ったとしても、このか弱き命は私が守らなきゃいけない。
そうでもしないと極悪非道な人間ですらない獣畜生たちに搾取されてしまう。
「モンスターに出会うのも良くないよね....もういっそ家に...」
ブツブツ考え事をしていると目の前に気配が来た。
モエかな。もう戻ってきたのだろうか。
「ねぇ、私の庭で何してるのかしら?」
聞き慣れない声だった。
「勝手に入る分には構わないけれど...粗相をされるのはさすがに嫌よ」
話しかけてきた方を見る。
「...ミソラちゃん.....!?」
髪に赤いカラーが混じっているが、見た目がそっくりだった。
「...?ミソラ?誰よそれ」
反応的に別人であることは確定したけれども、あまりにも似ている。
「あ、ごめんなさい...友人にとても似てたので...」
と言い訳にならない言い訳をしてみる。
そんな事を気にした様子を見せずに、その人はカルアちゃんを注意深く見ていた。
「これが小さい頃の私に似てる?クネリアの目も節穴になったものね...」と呆れた声で呟いた。
急に私の方をむくと、
「私に似てる人がいるって本当?」
と聞いてきた。
別に嘘でもなんでもないので頷く。
「そうねぇ.......。貴方、私の家に来なさい。その話詳しく聞かせてちょうだい。」
「勿論、そこの白いちっちゃいのもね。」
仲間が他にいたらそいつも連れてきなさい、と言って去っていった。
ご丁寧に雪解けの道を作って。
「ミソラちゃんじゃないっすか!?なんで!?」
と言われてしかめっ面をしていたのは置いておいて。
私たちはなぜがミソラちゃんに似ている別人に付いていき、謎の建物に入った。
「さ、座りなさい」
客用のでかめのソファに案内され、恐る恐る座るが、なにもない
「そんな心配しなくたっていいでしょ?話を聞くだけなんだから」
呆れたような表情をする目の前の人。
...正直、信用ならない。
これまで何回か騙されてきた私の危機察知能力が言ってる。
こいつ、只者じゃない......
警戒を解かない私を挑発するようにまた話しかけてきた。
「ほら、聞いているのよ?早く話しなさい」
「....ぁー!大体あなたはだれなの!?なんで連れてきたの!?なんで私の友達に瓜二つなの!!?」
とりあえず鬱憤をぶちまけた。仕方ないじゃない。こっちもいっぱいいっぱいだったんだからさ...
眉間をヒクつかせながらも、ため息を飲み込んだ目の前の人は話し始めた。
「....それを聞いたら、しっかり話してくれるわね?」
と。
私は頷いた。横を見るとどちらも肯定の意を示している。
「私は、アイオラ....あんたが疑ってる通り、普通の人間じゃないわよ」
びっくりした。見透かされてたの...?
「あは、図星!って顔ね。まあ見た目より生きてるからそういうの分かっちゃうのよ」
「なんで連れてきたのかはさっきも言った通り、私に似てる、って人の話を聞くため。最初は嘘かと思ったけど、偶然にしては間抜けな反応が1人増えてたから確定したわ」
横の薄紫の頭を見ながら笑う。ぐぬぬ...と隣でちょっと聞こえた。
「なんで似てるか.....ね....」
足を前で組みながらそう呟くアイオラ....さん。
ふと、何かを発見したかのようにこちらを見てきた。
「もしかして....いや.....」
なにか葛藤している。
「言いたいことがあるならハッキリ言ったほうがいいっすよ」
「ふむ....じゃあ聞くけど」
「その似てるって子の血の名.....人間でいうところの苗字って、なにかしら。」
と聞いてきた。
ミソラの苗字は、保梨衣。ホリイ。
そう告げると、更に顔に影がかかり、ブツブツと何が言い始めた。
「まさか....?いや、そんなこと.....」
しばらく狼狽える時間を費やした後、だるそうに額に手を当てながら
「あんたの友に似てる訳だわ......そりゃ似るわよね....」
と悲観的に呟く。
「何が分かったの?」
「私の親は、ゲン・ホリイ。もうとっくのとうに死んでるけどね。つまりあんたの友達と私は血縁関係があるってこと。」
「で、でも!それだけじゃ理由にならないっすよ!まずなんでまるっきり同じなんすか!?」
それはそうだ。ただの血縁関係だとしても説明がつかないくらいにあまりにも似過ぎている。
「それに、まだ何者なのか言われてない」
商人の仲間だとするなら直ぐにでもカルアちゃんを連れて逃げ出さないと。
警戒する私たちを制するように手を前に出し、
「落ち着きなさい。心配しなくとも今から教えてあげるわ。」
「私がなんでこんな姿で何百年も生きているのか、私の父がどんなことをしたのか、全てをね」
何とか2月までに10万文字....
毎日投稿してる人達ってまじすごいと思う....そんなアイデアぼんぽんわかないもん...
誤字脱字毎回助かっております。