デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ! 作:片桐きな粉
これからも楽しんでくださると幸いです
「なんでぇーー!?」
ギャグ気味の悲痛な叫びが協会の広間に響いた。
目の先にはネクロちゃんが頭を抱えておんおん泣いている
通常自身のレートを上げるにはそれ相応の依頼をクリアする、証拠物品を持ってきたらランクアップできるのだが、配信と兼業だとそううまくはいかないらしい。特別なものがあるらしく、それが
「テスト用に送った物に、わたしが映らない...」
ネクロちゃん画面に映らない問題だった。
それぞれ
田舎の協会だったらそれぞれ先輩が個人個人に教えてくれるが、王都ではそうはいかない。
シンプル母数多すぎる問題である
だから教材として撮影したものをメディア教材として使い、それに相応しいものとしてどうなのかを判別するのがネクロちゃんが受けている試験なのだけど...
「うーん...ちゃんとネクロちゃん追尾してたはずなんだけどねぇ」
コウモリをツンツンつついて呟くカエデちゃん。
こればっかりはもうネクロちゃんの魔法が悪いとしか言えないのではなかろうか?
向いてないです。残念ですが.....さようなら
試行錯誤する事早一週間。
未だに受かっていないネクロちゃんの元に一通の依頼が届いた。
しかも名指し...名指し!?
「Dぉしてぇっっtななななんで名前っ!?」
慌てすぎでしょネクロちゃん。もうちょい落ち着いて
「おおおおお落ち着いてねねくろちゃん!!?」
あんたもですか
とりあえずその内容を見せてくれよ...と唯一正常なモエちゃんと私でその中身を見る。
差出人は
「___リュードペル家第3王子、ペジャスパー...?」
?誰だそいつ。私知らないぞ
早く落ち着いて教えてくれ、ネクロちゃん!!
息を整えたネクロちゃんが私たちの疑問に答える。
「ええーっと...リュードペル家というのはですね..多少の説明を省くと
シンバには色々な王族が暮らしている。王都って言うくらいだからね。
その中でも上位1割くらいのところの位置にリュードペル家はいるらしい。はえーすっごい
「...それでですね....実はここからがいちばんの疑問なんです」
顔を暗くしたネクロちゃんが囁く。
「姿を消していた時に噂話で聞いていたのですが、第3王子さん、今現在行方不明とされているんじゃないかって...」
「__えっじゃあその行方不明から手紙が届いたの!?なんでまたネクロちゃんに??」
さらなる疑問が深まる。どーゆー?
「それにまた噂なのですが、リュードペル家には実は隠された王女がいた、って言う噂もあって...」
「それを発見されないために王子が居なくなったという噂を流したんじゃないかって...」
....きな臭いねーーー。
モンスター倒して終わり!やったーとかじゃないじゃんこれ!
ドロドロしてそう!
あとなんでネクロちゃんに来るんだよ!いい加減にしろ!!
「...受けます?」
不安そうな顔。
まあそんな顔されたら...さ、
「....うん。なんでネクロちゃん宛に来たか、それも確かめないと。それに」
「困った時はお互い様ってやつ!仲間だもん!」
そうなんだよ善性の塊なんですようちの主人公ちゃん。だから厄介事に巻き込まれる!
「...ありがとうございます!あとこれリュードペル家に口利きしてもらえば試験スキップできるかも...!」
おうなんかずるいことしようとしてんな
というかこんなイベントスピンオフにあったっけ?
追えてないだけかもしれないけど普通に1話完結の探偵系のやつだったような記憶なんだけど...
まあ何とかなるか!おっけーーー!!!
「呼ばれた場所は、この辺でよかったかな...?」
静まり返った夜の街...の端っこ。リュードペル家の裏庭に来い、と書かれてあった。
「座標的にはここに間違いは無いけど...人の影はないね...」
念の為不安だからと結局4人で私たちはその場所まで辿り着いた。
見渡しても人はおらず、庭には似つかわしくない木箱が無数に置いてあるだけ。
一瞬、目線を合わせていた箱が少し動いたような気がした。
「モエ。炎」
そう言うとモエは私が言いたいことを理解し、辺りを照らすくらいの優しめな火を出した。
ネクロちゃんとカルアちゃんはとりあえず待ってもらい、モエの灯りを目印に動いた箱まで進んでいく。
蓋がズレている。中身が少しだけ見えた。
息を飲み、私とモエだけでその箱をあける。
「「__ひっ」」
_中には、人が詰められていた。
いや、人だったものがあった、と言った方が正しいのかもしれない。
服を着ている着ていないなんてものは小さなことで気にも留めなかった。
目に光がない。足の片方は既に壊死して黒ずんでいる。
関節があらぬ方向に曲がり、無理やり詰められたような体勢で固まっている
「...だれが、こんな悪趣味な...」
モエがそう言いかけた。その時私たちの後ろからこの4人から出る音ではない声が聞こえた。
「__悪趣味だって!?実に美しいだろう?...庶民の感性とは違うかもしれぬがな」
と少々鼻がつくセリフと同時に誰かが後ろに立っているのを確認した。
私たちは急いでネクロちゃん達を守るように手を広げ、警戒態勢をとる。
「あなたが、手紙の差出人?」
今更誰、とはならない。確実にそうであろう。
「いかにも。私こそリュードペル家の第3王子、ペジャスパー=リュードペルである」
尊大に自己紹介をする目の前の男。
その胸元には、木のような茶色に光る小さな石があった。
「_ッ宝石商!」
「_ん?ああ彼らのことか。もちろん協力してもらっているよ?私のコレクション達を作るためにね」
「...まさか、この箱たち全部」
開けてはいない。ふとそう思っただけ。でもまさかそんなわけはないと思っていた。
「!薄紫の貴様は気付いたようだな!...そう、全て私の作品だよ。美しいだろう?」
破顔をした男が憎たらしい目でこちらを見てくる。
「...あーそうそう、驚いて感激しているところ申し訳ない。先に私の目的を言おう。」
奥の方にあった箱を開け、その中身を大事なもののように抱えながらこちらにやってきた。
...手を動かすのが遅れた。
ネクロちゃんとカルアちゃんにはまだあれを見せていない。すぐさま動いて2人の目を塞ぐべきだった。
でも、出来なかった。
だって、その男が持ってきた
「ネクロちゃん...?」
髪色は黄色で、頬は痩け骨ばっているが、ずっと顔を見ていたのだから間違えるはずもない。でも、間違いであって欲しかった。
「その後ろに隠れているネクロ...いや、私の可愛い妹、シィヤ=リュードペルさ。」
男はそう言うと音沙汰もしないその骸に口付けをする。
「わ、わたしが...死んでる...?でも私はここにいて」
その死体と目が合ってしまったネクロちゃんはブツブツと独り言を喋り、カルアちゃんが呼びかけても戻らない。
男は恍惚とした表情をしてその光景を見ている。
「ああっ!なんて美しい!さすが我が妹!悩める姿も全て美しい!!ああっ!」
「気色悪い。殺しますよ」
明るいだけの炎から殺意のこもった質量のある炎を男に向けるモエ。
それに怖気付くこともなくそれを手で制し、ネクロちゃんに近づいていく。
モエが殴り掛かる__前に、男の魔法によって私たちは立方体の半透明な部屋に隔離された。
「なっ!?」
「私の魔法は少々特殊でね、しばらく邪魔はしないで貰えると助かるよ。....彼らから奪った面白い物を置いておくから、そこで暇を潰して居てくれ」
私たちを囲む四角の線対称の側に、大きい蜘蛛型が現れる。
あの時とは違う色、2体。
「さっさと倒してあれも倒す、ですよね、先輩?」
言われずとも。
目の前の障害を全て切り裂く。そしてあの二人を守る。
想いを込めた力は、契約とともに増大した。