デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ!   作:片桐きな粉

42 / 42
41 撃破

 

 

外の様子は白いモヤがあってよく見えない。

ひとまずこれを打開するには__目の前の敵を倒すだけ。

言葉にした通りだ。

 

「フメイル。用意して」

 

そう言い、後ろにフメイルを召喚。攻撃態勢を整える。

 

『えぇ?アレするの?まだ練習してないんだけど』

 

「いいから。さっさと終わらせるっすよ」

 

『仕方ないわねぇ』と少し乗り気でない様子だが拒否する訳ではなく自分の羽を扇形に展開し、羽の一つ一つを赤く発光させる。

 

対する私の3倍ほどの図体をもつ虫は小さく数が多い目玉を動かし、私の方を向くと勢いよく突っ込んでくる。

 

 

好都合だ。速攻勝負なら突進してくれる方がありがたい。

 

『...やってるからもう戻れないけど、負けたら普通に死ぬわよ?』

「何言ってんの、フメイル」

 

いつにも増して逃げ腰だ。いや、心配してくれているのか?

だとしても私の意思は変わらない。

ここでもし引いてしまって戦闘が長引いてしまったら...

 

外にいるであろう2人の安全が犯される。私たちが守ると決めたのだ。

 

「こんなとこで死んでたらこの先なにも守れないんですよ!」

 

『...良いわね!その覚悟!』

 

 

 

やる気を出したフメイルが発光する羽を全て放出する。

それは個は小さくとも無数が形を形成し、不死鳥のような形で虫へ飛んでいく。

 

私はそれに乗り、メイスを前に突き立て自身をその鳥の軸となるように体制を低くし、回る。

その光る鳥は速度を増しながら__

 

 

「__焰鳥螺旋突(バードストライク)ッ!!!」

 

 

馬鹿正直にでかい身体を叩くだけでは全くダメージを与えることができないなんてのは目に見えている。

大事なのは、速度とどうあの体を壊すか。

私は錐揉み回転しながら自分の力だけでは貫けないその図体を抉る。抉る。抉るッ!!!

 

「はあああああああああああッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

抵抗が無くなったと思った次の瞬間、私は見えない壁にぶつかり、光る鳥は威力とともに消滅した。

 

 

 

自分が対峙していた敵を向くと、腹にあたる場所に風穴を開け、ボロボロと崩れ去っている最中であった。

その体が全て塵になり消えると同時に私たちを隔離した空間もなくなり、空が開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルアちゃんに初めて会った時と同じ個体だ。

あの時の私はまだ弱くて、助けて貰ったんだっけ...

 

状況だけで言えば同じだ。1体1。でも、あの時の私とは決定的に違うところがある。

 

「そういう契約だからね。分かってるねグリちゃん」

 

『わーってるよ!使え』

 

明確な目的を持った。人生をかけて護りたいものができた。

それだけで私は強くなれたんだ。

 

 

帯刀していた双剣が光り、刃渡りが伸びる。あの時と同じ感覚。

 

「すぐに終わらせる__疾風束縛(ウィンドバインド)!」

 

両手に持つ剣を投げ、蜘蛛の前足ふたつを地面に突き刺して固定、動け無くさせる。

『グ...ガガガガガガ』

 

虫とは思えない声を出しながら刺さる剣を抜こうと別の足で触る...が、それを許さない。

 

剣から発生した実態を持つつむじ風が蜘蛛の足を全て飲み込み、雁字搦めで今度こそ動けなくなった。身を捩って動こうとするがそんな悠長なことをしている隙を見逃すほど余裕はない。

 

手から生成した剣にありったけの魔力を注ぎ、刀身が更に大きくなった。蜘蛛を等分できるような刃渡りにまで。

 

 

あの頃は手も足も出なかった。ただ指をくわえて見ているだけだった。

 

 

 

....これくらい倒せなくちゃ、示しがつかないの!

 

 

 

疾風斬(ウィンドブレード)、裁!!」

 

私の体よりも大きい剣を大振りし、その蜘蛛の体を縦に真っ二つに裁ち切る。グリちゃんの風も乗せた威力でそれを倒すのには十分な力をしていたらしい。

 

むしろ余剰だったのかもしれない。

私が切った余波がそのまま半透明な壁まで伝い__ヒビが入った。

 

その直後、反対側からドォン!と何かがぶつかったような音が聞こえたあと、その壁は消えてなくなった。

 

モエもあれを倒したらしい。じゃあモエも壁を壊すために攻撃したからあの音がしたのかと納得をし、周囲を見たわす。

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。これを倒して終わりじゃない。まだ本命が__

 

「カルアちゃん!「ネクロちゃん!」」

 

私たちのふたりの声が重なり、安否を確かめる。そこには....

 

何故か呆然としているネクロちゃんと、少し離れたところで棒立ちをしているカルアちゃん、そして....

 

「うぇっ!な、なぜ貴様らが生きている!?あの傑作を2体も費やしてやったんだぞ!!?」

 

と、情けない声を上げながら未だ体勢が転がっている状態から変わっていたい今回の元凶の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あれ、結構威力抑えめにやったはずなんだけど...』

 

状況がよく分からねぇ!

変態が近づいてきたかと思ったらすぐに吹っ飛んで行ったぞ!

アルカちゃんがなんかしたっぽいけど一瞬すぎてなんも見えんかったわい...歳かなぁ

 

 

ひとまずネクロちゃんを庇おう。なんかヤバそうだからあとから事情聞かんといけないし殺させるわけにはいかないしね

ネクロちゃんを守るように手を出して近づけさせないようにする...前に変態の近くにはカエデちゃん達がもう来ていた。

あれ?もう倒したのかぁ?あれ確か最初に出会ったやつだからsレート超えてたと思うんだけどな...若者の成長は早いよ...

 

 

じゃなくて!あの言葉から察するに主人公たちを閉じ込めたの殺すためだったのかよ!時間稼ぎとかじゃなくてさぁ!?

 

ふーん。もうぷっちーんですよ全くもう。せっかく土台がしっかりしてきたんだから殺されちゃ嫌なんですよ。

 

アルカちゃん。行こう。

そうやって言葉を出そうとし____あれ、出ない。

 

気付けばまた口元が覆われている。今度はモヤじゃなくて手でそのまま直接塞がれていた。

 

「ふごご」

 

『こんな無駄な所で自分の体を酷使しないで...それに』

 

『あんなの誰でも倒せるでしょ。あの二人に任せて、カルアは休みな』

 

どうしたのアルカちゃん。急に優しくなって...おじさん嬉し...いやでアルカちゃんの方が年上か...

 

 

私はその場でネクロちゃんに注意を向けながら見ていたけど、アルカちゃんが言っていた通りに物事は進んだ。

 

苦し紛れに召喚するヤギの角を持つ犬軍団はすぐに焼かれて叩かれて消滅。

次に撃ってきた実弾のようなものは風に弾かれて斬られて無くなる。

 

 

もう蹂躙だね。本体性能がかなりお粗末というか...ほんとに自分の娯楽にしか使ってない感じがして宝の持ち腐れ感が強い敵だな...

 

 

 

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