デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ! 作:片桐きな粉
「__カルアちゃん!!」
カルアちゃんが倒れた。
今度は前回とは違って血が溢れてその銀色の髪を赤く汚している。
私はその倒れた体を急いで支え、どこが怪我をしているかを急いで探る。
四肢...は服で隠れている場所は確認していないけど大丈夫だった。
「どこ...」
ふと、その支えているその美しい顔を見る。戦っていた時と少し違う痛みで顔が少し歪んでいる。
少しでもその痛みを和らげようとその顔を横から撫でる。
ぬらっ。
感触が違った。
これは、肌じゃない。
「...嘘。」
私が触れた手にはべっとりと赤色が着いていた。
震えながら彼女の髪をかきあげ、触れた場所を見ると、
耳が、無くなっていた。
今度は怪我の後そのままの状態で。肉がむき出しでその場所から血が溢れ出していたんだ。
「な、なんで.....」
魔力が切れたなら再生するんじゃないの?そもそもなぜまた大怪我をしているの?
疑問が私の頭の中を埋め尽くす。
呆然としていると、私を突き飛ばす人の影が見えた。
「__痛っ!」
2、3回ほど転がり、体勢を立て直した後突き飛ばしてきた方をみる。
「...カルアちゃんが....2人....?」
そこには、倒れたままのカルアちゃんと、姿が戦っているときの黒くなっている見た目のカルアちゃんがいた。
『.....』
もう1人のカルアちゃんはなにも言わず、倒れているカルアちゃんを抱える。
「ちょっと!?」
思わず叫ぶ。
『...うるさいな....』
声色と態度がカルアちゃんのそれとは全く似ても似つかなかった。
「貴方...誰なの?」
『気をつけろ!こいつは人間じゃねぇ!!』
グリちゃんが私の後ろに出て叫んで私に呼びかける。人間じゃない?
グリちゃんが言ったことが図星だったのか、心底ダルそうな声で
『めんどくさ....ただの鳥ごときが...』
と言っていた。すくなくともこんなことカルアちゃんは言わない。
関わりはまだ浅いけど、それだけは分かる。
『この気配は....お前、なんで人間に化けてやがる?』
「ってことは、モンスター...?」
教会で小さい頃聞いたことがある。契約完了したモンスターは力を得て凶暴化し、それを私たちは退治と称して討伐しているのだと。
まさか。
「カルアちゃんの....」
『正解。変なところだけ勘がいいね』
と褒めているのか貶しているのか分からないことを言われた。
そういえば、最初に出会った時に魚の影みたいなものがカルアちゃんの右手を覆ったあと、食いちぎられたように無くなっていた。
「カルアちゃんが...力を使う度に怪我しているのは....貴方のせいなの...?」
違うと言って欲しい。そんな小さな希望を持ってそう問いかけると
『.....はぁ........そういう契約だからね』
と、何も思っていないような声で返答された。
それを聞いた直後、私は武器を出現させ、攻撃態勢に入る。
グリちゃんの羽を模した双剣。ひとつを投げ、ひとつを持ってカルアちゃんじゃないカルアちゃんに飛びかかる。
だけど、
『おい!ダメだ避けろ!!!!!』
と言われて体が一瞬止まる。
その時にカルアちゃんじゃないカルアちゃんがその大きな尾びれで地面を叩いた。
瞬間、空気を揺るがす衝撃波が私を襲った。
「__ふっ!っぐぅぅぅ!!」
宙に浮いた剣は片手の人差し指と中指で摘まれ、持っていた剣は私が防御をした時に遠くに吹き飛んでしまった。
そのまま勢いを殺しきれなかったぶんが私を襲い、家の外壁まで吹き飛ばされた。
気道から強制的に息が漏れ、背中に痛みが来る。
『着いてこないでよね。弱いんだから』
と言い残し、カルアちゃんはあのモンスターに連れ去られた。
『....カエデ。あれは俺らなんかじゃ敵わねぇ。実感しただろ。』
「でも、それが行動しない理由にはならない。」
『だろうな。.....分かった。』
出会って数ヶ月だが、グリちゃんは私の言いたいことが分かっていた。
あの時耳があった場所から流れ出ていた血が彼女の行先を伝えている。
私はグリちゃんに跨って指示を出した。
「グリちゃん、目標まで全速前進。助けに行くよ。」
弱さに打ちひしがれているよりも怒りの方が今は強い。
叶うなら、カルアちゃんがもう傷つかないでいいように。
もう二度と私の目の前で苦しまないように。
私たちは血痕を頼りにあのモンスターを追いかけた。
おはようございます。
やっぱり起きるともう痛みはないんだよね。楽だからいいんだけど。
今回はカエデちゃんちの天井じゃなくて、めちゃめちゃ快晴の空が目覚めを出迎えてくれた。
少し心地よいけど頭の位置が気になったので寝返りを打つ。すると
『...んっ』
と上から聞こえた。
うん?
そういえば青空に枕なんてないぞ?
そう思って上向きのまま少し視線を横にずらすと、琥珀色の綺麗な目が私の目と合った。
『....起きた?』
うーーんと、これはつまり膝枕!?
役得ーーー!!!....あれ、なんか位置が違うな。
目を下に向けると黒色の大きい何かに私の頭は乗っかっていた。
鰭枕!!!!???????
おいおいマジですか。こんなシチュエーションぼくしらない。
興奮冷めぬまま起き上がろうとするとお腹を押され戻され、
『だめ。まだ私の枕を堪能して。特別製だよ?』
と言われた。
うーんそっか、じゃあ仕方ないよね!
存分に堪能するとしましょうか。
硬すぎることもなく柔らかめで湿っているけど嫌な湿り気ではなくて、心地よい空間を提供してくれた。
時々頭やお腹をさすってくれるのが気持ちよくて多分顔がだらけている。
しばらくして
『.....ごめん。食べたくなかったのに、あ、あたしが知らないあたしが勝手に動いて、』
とまた懺悔をし始めた。勝手に動く?
契約を遂行しようとしないとなんらかの力で動かされる?って感じなのかな。
とりあえず今はこの環境が気持ち良すぎて動ける気がしないので
「良いんだよ。美味しく食べてくれた?」
と聞いた。
『味。あじ.....あれ、分からない...気づいたら飲み込んでて、それで』
なるほど。そこまでは自動的になるのね。
えーーーー?
私は自分の意思でやって欲しいの!!!
「そっか....」と私は悲しそうな声を出し、
「どうせなら、美味しく食べて欲しいなぁ...」となるべく意志を持ってやってくれるように促す。
すると、苦虫を噛み潰したような表情で
『................わかっ、た...』
と言っていた。頼むぞ!後悔しながら噛み締めてね!!!!!
太陽が沈みかけた頃、リラックスを続けていた時に背後数メートルから私の嫌いな部類の声が聞こえた。
「おやおや!あの時の歪な少女ではないか!!傷つくぐらいならば最初から私にあの獲物を譲ってあのガキを寄越してくれれば良かったのに!!ああなんて可哀想だ!!!」
耳障りな声がした。
アルカが機嫌が悪くなったのを隠しもしない。私も悪いよ、せっかく良かった時間だったのによーーーっ!!
「だが、まあいい。今回は貴様を捕まえ、私の忠実な下僕としてやろう!光栄に思うが良い!!!!!!!」
本来主人公ちゃんが迷惑を被るきもきも貴族、ルビウスだった。
こんな三下みたいなセリフなのに、こいつしっかり敵軍の戦力の中央値よりも強いんだよね。