俺ん家の閃刀姫   作:猫好きの餅

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 閃刀姫レイとロゼに脳を焼かれました。


ライストと超融合は後攻デッキの希望の星

 

 

 

 

 

 

 

 

 「───────閃刀起動、エンゲージッ!」

 

  白金の長髪を翻し、赤い刀を持った真紅の鎧を纏った少女が空を駆け回る。そびえ立つ相手へ肉薄し、手にした刀を振り下ろす。

 

 たちまち真っ二つになった敵は爆散し、少女はそれに目もくれず次の相手へ向き直る。すると敵は彼女へ狙いをつけ、光を撃ち放つ。

 

「…ッ、…リンケージッ!」

 

 少女は真紅の鎧をパージすると、背後に現れた六角形のゲートらしき物から次の装備を取り出した。鎧の色が真紅から蒼へ変化し、周りに浮く大盾を翳した。直後、敵の攻撃が盾へ着弾する。

 

 天が震えるような衝撃音が轟き、余波が周りを焼いていくが、少女の盾はビクともしない。そのまま光を弾き返すと、敵から距離を取って淡く光る盾を全面に展開した。

 

「閃刀術式…、ジャミングウェーブッ!」

 

 直後、盾から光が放出された。

 

 少女に襲いかからんとしていた敵の身体に青い電流が走り、ギヂギチと音を立てながら動きが止まった。佇むソレは最早ただの的。そこを逃す少女ではない。

 

 少女の纏う鎧が再度変化する。身体を今度は黒と金色の装甲が包み込み、刀の峰の部分を合わせたような形の砲を敵へ向け、少女の右目に照準が現れる。

 

「術式!…ベクタードブラストッ!!」

 

 直後、彼女の構える砲から途方もないほどの太さの閃光が迸った。空気を切り裂いて瞬く間に敵へと到達した光は、ジャミングウェーブで縛られた身体ごと塵となって消える。

 

 周りの敵を一掃した少女は勝ち誇った顔で、敵の司令部へと砲を突きつけ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♢♢♢

 

 

 

 

 

 

【VICTORY!!】

 

 

「っし!…勝ったァ……!!」

 

 ばりんばりんと相手の手札とデッキが割れる音がして、自分が勝利したと知らしめるファンファーレが部屋に鳴り響く。

 

 かなりの激戦…という訳でもなく、1ターン目後攻で相手の盤面を一掃してワンターンキルを決めたことがすごく気持ちいい。俺はゲーム……決闘(デュエル)に勝った満足感のままソファに寝っ転がり、自分を勝利へと導いてくれた愛するマイデッキを眺める。

 

「…はぁ〜…回すのはムズいけど、絵は可愛いしストーリーは神だしで、構築した甲斐があったよなぁ」

 

 そういい、俺は画面の中に映る40枚と15枚のカードを指でつついた。そうするとカードが拡大し、タブレットいっぱいにそのモンスターのイラストが写る。

 

「……はぁ、くそかわいい」

 

 カードのイラストを見てこんな言葉を零すなんて変な人だと思われそうだが1人で住んでるこの部屋にそんな文句を垂れる人は居ない。俺は今日何度目かわからない程、『推し』を眺めていた。

 

 そのカード……いや、そのテーマの名前は「閃刀姫」。

 

 俺のメインデッキであり、最近どハマりしてるテーマである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然だけど自己紹介。

 

 俺の名前は神代出雲。20歳の新米デュエリストですっ。

 

 遊戯王自体は大昔、まだエクシーズが出たくらいの時によくわからず初めて挫折。ゲームアプリが出た昨今になってようやく復帰した。

 

 直接的な遊戯王歴は多分1年もない。最近やっとこさカードの効果を理解できるようになったくらい。……いや、まだそこかよって言われるかもだけど、遊戯王の効果ややこしすぎ無い?

 

 対象は取られないけど選ばれはするし、墓地に落として発動と発動して墓地送りは違う意味だし、効果処理だのチェーンだので最初の頃は頭「?」状態でゲームに示されるままにデッキを回して謎タイミングで除去打ったりしてた。

 

 フィールドのカードを手札バウンスする効果を表示されたままに脳死でスタンバイに打って、出てた自分のモンスターがEXデッキに引っ込んだ記憶は昨日の事のように思い出せる。ってか昨日それやらかした。ダメじゃん。

 

 というわけでこのマスターデュエルでまともに始めて、そんな中1つ目に引くカードがあったんだ。

 

 なんかいいデッキないかなと色々調べてカードを再生していたら、出てきたシークレットパックに俺のバチくそ好みの女の子がおりましたと。

 

 それが閃刀姫ってわけ。

 

 ただ調べてみると結構URが多いとの事で同パックを引いて出が良かった斬機デッキを組んで、その次にようやっと閃刀姫を組むことが出来た。

 

 そんでもってちょうどソロモードが出たのでストーリーも見た結果、無事脳を焼かれましたとさ。そのまま閃刀姫の漫画もかってその日に読んで、当分俺の語彙が「レイロゼ尊い」に固定された。

 

 つまり何が言いたいかと言うと、俺は閃刀姫が大好きだということだ。レイが色々装備を切り替えながら戦うのもいいし、ロゼとの合体術式も最&高。召喚演出も多いし出る度「可愛い〜」って言ってしまう。この前バイト先で出てたみたいで対面に座ってた同期にギョッとした目で見られた。ほんまごめん。

 

「あ〜、絵違い堪らん。それに新規できたゼロがまじ可愛いんだよなぁ」

 

 新規できたカードも強い上に可愛いしね。レムニスゲートのイラストのゼロの顔が癖です。

 

 そんなわけで、今日もバイトから帰ってきて遊戯王を楽しんでいた。ちょっとの休憩が終わったところでランクマッチに潜る。ランクはまだゴールドのパンピーなので優しくして欲しい。

 

 少し待ってマッチング完了。相手の名前とデッキケース、メイトが出て……それを見た俺はも思わず苦笑した。

 

「……って名前スペクトラって…めちゃ敵じゃんか」

 

 スペクトラっていうのはストーリー上で閃刀姫-レイが戦う敵国の名前。その名前ってことはデッキは閃刀姫なんだろうな〜?

 

 そうして俺は後攻を選択。手札を5枚引いてデュエルが始まる。

 

 

 ──────そこで、俺は目を疑った。

 

 

「……はぁ?………バグってんのか?」

 

 

 相手は突然、場に「閃術兵器-H.A.M.P.」を召喚した。このカードのレベルは8で、アドバンス召喚するにも生贄が2体必要だ。一応場の閃刀姫をリリースして手札から出ては来るけど、相手の場には何も無い。俺が困惑して見ていると…。

 

「……どうなってんだよこれ」

 

 H.A.M.P.がまた出てきた。あ、もう一体。……さらにもう一体って…いやおかしいだろ!?

 

 1デッキ2、3枚までのはずのカードが何枚も何枚も出てくる。しかも、それに続いて相手のH.A.M.P.が持ち上がり、こちらへぶつかってくる。2500ダメージを貰いながらターン表示を見るといつの間にか俺のターンに。1枚ドローして手札のレイを召喚するがすぐに攻撃されて破壊されてしまった。

 

「ちょ、なんなんだよこれっ!チートってやつか!?」

 

 もう付き合ってられるかとサレンダーをしようとするが、その部分が暗くなってて反応しない。その間にもH.A.M.P.が攻撃をしてくる。ターン表示を見るとフォントがぐちゃぐちゃで最早どっちのターンかもわからない。手札の閃刀魔法でどうにか破壊を試みるが後から後からどんどん召喚されてしまう。

 

「チッ、ならこれならどうだっ!」

 

 俺は裏側守備表示で召喚したロゼが破壊された次の瞬間に手札から「ライトニング・ストーム」を発動。モンスターゾーンに4体並ぶH.A.M.P.を薙ぎ払う。するともう召喚される様子はない。

 

 胸を撫で降ろしたも束の間。何故か今度は向こうのEXデッキから閃刀姫ージークとカメリア、アザレアが勝手に出てきた。原作再現のチーターってか?迷惑過ぎんだろうが。

 

 ゲーム自体がバグってるのか、もうデッキからカードが選べる。俺はデッキから超融合を発動させ、ジークとカメリア、アザレアを素材に「星杯の守護竜 アルマドゥーク」を融合召喚。こいつはリンクモンスター3体をリリースするか、それらで融合するとで出てくる汎用融合カードだ。後攻用だから入れててよかった。

 

 アルマドゥークが着地すると、今度はなんかアザレアがアーマーを装着した姿の「アザレア・テンペランス」を出してきたから、そのままアルマドゥークで戦闘。

 

 バグりすぎてデッキから自由に墓地に落とせるようになってるので、自分のEXデッキから「閃刀姫ーカメリア」を墓地に落としてアルマドゥークの効果で除外。カメリアの攻撃力分のダメージが入った。そしてそのままテンペランスをアルマドゥークで戦闘破壊。

 

 さっきから一体どうなってんだこれっ!?

 

 最早デュエルじゃなくなってる。アプリを閉じたら収まるかとタブごと消してみるが、再度起動してもまたこの無茶苦茶デュエル画面に元通りだ。

 

 あれだけ激しかった攻撃の雨が治まってるのが幸いか、相手はEXデッキから色々無視して「閃術兵器ーS.P.E.C.T.R.A.」を召喚。俺が知る限りの閃刀姫の物語のラスボスだ。つまり、これさえ倒せばもう出てこない可能性がある。

 

「……よくわかんないけど、閃刀姫を使う決闘者としては、スペクトラに負けたくねぇんだよな。………絶対後で通報してやる……!!」

 

 もう無茶苦茶を超えてカオスなデュエル。俺はそんな状況に、少し高揚感を感じてしまっていた。…いやだって、好きなデッキのシナリオのと敵とターン手番関係なしの殴り合いデュエルだ、燃えない方がおかしいだろ。まぁ前提としてチートではあるんだろうけど。

 

 

 

 俺はデッキをタップして、魔法カードを取り出した。さっき他の魔法を使いまくったせいで墓地には魔法が溜まってる。

 

 手札から発動した「閃刀術式ーアフターバーナー」でS.P.E.C.T.R.A.を破壊。盤面を更地にして……モンスターが追加で出てくる様子は見えない。

 

俺はこれを勝機と捉え、3枚入れているウチの最後の一枚……"推し"を取り出した。

 

「俺は手札から、『閃刀姫ーレイ』を通常召喚っ!そのままバトルだ!」

 

 白に近い金髪の長い髪に、綺麗な翡翠色の瞳。そして手に持つ赤い刀。そんなイラストが描かれたカードがガラ空きの敵へダイレクトアタック。アルマドゥークのバーンダメージと戦闘ダメージで削られ残っていた敵の6000LPが4500へと減る。戦闘を終えたところでレイの効果を発動。自身をリリースして閃刀姫リンクモンスターを特殊召喚できる。俺が召喚するのは……。

 

「いけっ、閃刀姫=ゼロっ!」

 

 出したのはこの前ゲームで追加されたばかりの新顔のゼロ。紙の方には前から居たそうだけど、そっちはやってないから知らん。

 

 閃刀姫と名前の間の"ー"が"="になってることから俺は勝手にレイとロゼの装備の合体だと思ってる。着地時に閃刀魔法カードをサーチする効果と、自分と相手ターンに自身が墓地のレイロゼと交代して場のカードを1枚破壊できる効果を持つ。デッキから「閃刀起動ーリンケージ」をサーチして、そのままゼロで攻撃っ!

 

 残りLP2500。

 

 俺はさっきサーチしたリンケージを発動。ゼロをリリースして、EXデッキから「合体術式ーエンゲージ・ゼロ」を特殊召喚っ!

 

 レイとロゼの合体攻撃のイラストが描かれたこのモンスターの攻撃力はリンケージの効果で攻撃力が1000上がり、2500。

 

「ダイレクトアタックッ!!」

 

 俺の声と共に、エンゲージ・ゼロが相手へ突撃、LPを削りきった。そのまま相手のフィールドが崩壊する。

 

「VICTORY!!」

 

「……………っ、……ぁ〜……!」

 

 ………勝った。

 

 俺は声にならない息を吐きながら後ろにひっくり返った。

 

 何がなんだか全然わからなかった。チートなのかバグなのか。ひとまず勝ってよかったけど、まじで疲れた……。

 

 しばらくそうして寝っ転がってて、そういえはランクマッチだったことを思い出す。

 

 起き上がって、画面を確認しようとしたその時。

 

 どさどさっ!

 

「……ふむぐっ!?」

 

 俺の上から何かが落ちてきた。本や小物とかのレベルじゃない重みが俺を床へ仰向けに押し付けられた。

 

 顔を顰めた俺の視界に、『白に近い金色』と、『艶がある灰色』が映りこんだ。さっきのデュエルが軽く吹き飛ぶ衝撃に頭が上手く回らないまま、とりあえず俺の上に乗っかってる何かを退かす。

 

「……う、……」

「…へ?」

 

 俺が退かしたそれから声が聞こえた。素っ頓狂な声を出しながら、脚の上に乗ってる重みの方を見ると、灰色の髪を2つに結った人がうつ伏せで倒れ込んでいた。

 

 そして今退かした方も見ると、白金の長い髪が特徴的な人……いや、女の子が倒れている。

 

「……え、………は?」

 

 え、なに?…俺は夢でも見てるのか?

 

 ……どう見ても、というか。見間違えるはずがない。

 

 俺の頭が理解を拒んでいる。さらに混沌と化す頭のままタブレットを見ると、ホーム画面に戻っている。震える指を伸ばしてデッキを選んでカードを見た。いや、まず体勢をどうにかした方がいいのはわかってるけど、この時ばっかりは本当に頭が働かなかった。

 

 そして、デッキ画面の中から、モンスターが二種類…姿を消している。

 

 そのモンスターとは。

 

「……れ、レイと、ロゼ…?」

 

 俺は、改めて周りを見る。……やっぱり、見間違いでも、白昼夢でもない………なぜなら。

 

 

 

 

 

 

 ─────俺の上に落ちてきた2人の少女を、さっきまでデュエルで使っていたのだから。

 

 

好きな閃刀姫は?

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