俺ん家の閃刀姫   作:猫好きの餅

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 だいたいタイトルの通り





制圧大型モンスターが2体も並んだんだが(捲りなし)

 

 

 

 

 

 

 シャワーから出て、俺の体を拭き隊とかいう謎の部隊を撤退させたあと。

 

 俺はちゃんと自分で体を拭いて、服を着ながら若干ショートしたままの頭を必死に動かしていた。

 

 ……俺に安泰の場は、恐らくもうないらしい。多分だけど、体拭き隊がいるなら他に体洗い隊もある可能性が高い。風呂すら1人で落ち着けないときたらもう、俺が本当にやられるのも時間の問題だ。

 

「……つーか俺、これからリミッター解除レイロゼに、あんな美咲と一緒に酒飲むんだよな……?」

 

 ……………やばくね?

 

 

 

 

 

 

 とはいえど、これからうちでワインを飲むのは少し楽しみ。でも、俺ワインだけはちょっと酔いやすいからなぁ。あんまり飲み過ぎないようにしよう。

 

 脱衣所を出ると、レイとロゼがなにやら料理をしていた。2人とも俺を見てぱぁと花が咲いたように笑う。くっそかわいい。

 

「何作ってるの?」

「…んとね、出雲たちが買ってきてくれたチーズもトマト使ったカプレーゼと、クリームチーズとレーズンとハチミツ混ぜたやつ。クラッカーに乗せて食べたら美味しいかなって」

「うわ、オシャレじゃん。ロゼは…カルパッチョ?」

「ああ、この前買ったサーモンが残っていたからな」

「2人とも、ほんとに料理上手くなったよね」

 

 ここに引っ越す前から料理は手伝ってくれてて、俺がいない間は大抵料理の勉強をしてたらしい2人の料理の腕は、もう俺を越してる。

 

 普段の買い物も自分達で行ってるくらいだし、本当にありがたい。俺はその感謝を込めて、2人を見つめて口を開いた。

 

「……いつも、ありがとうね」

「…っ、ぅ、うん」

「…あ、ああ」

 

 俺も手伝おうとしたけど、なんか真っ赤になったふたりに「す、座ってて!」とリビングに追い出された。3人だとちょっと狭いし、お言葉に甘えようか。

 

 少し待っていると、家のインターホンがなる。美咲が来たな。2人は料理中なので俺が出ることに。ドアを開けると、薄い羽織る系パーカーとショートパンツ姿の美咲が。その手には取ってに着いた大きめな瓶を持っている。

 

「おつかれ。両手塞がってるだろ。持つよ。つかどうやってピンポン押したの?」

「…ありがとっ。ピンポンは肘で頑張った。あと、あたしの家からサングリア持ってきたよ」

「有能。…ちゃんとガラス瓶のやつじゃん。手作り?」

「もちろんっ。こっちのはノンアルワインで作ったやつ。これならレイロゼも飲めるでしょ?」

「まじか。ありがとな」

「えへへ」

 

 あ、意外と普通に話せてる。美咲も気まずくなるのは嫌って言ってたし、さっきみたいなことには早々ならないのかも。

 

 そう、俺が安心して美咲を家にあげようとしたその時。

 

「……出雲くん。ちょっといい?」

「ん、どうした?」

「しーっ」

 

 脇の靴箱の上にサングリアを置いた美咲は人差し指を立てて静かにするように言ってくる。とりあえず頷いた俺に、靴を脱いで上がった美咲は。

 

「……はぁ…すき…」

「ちょっ」

 

 俺の首に腕を回して、しっとりと抱きついてきた。顔を見ると、数秒前とは違う「女」の顔になっている。

 

 ゆ、油断も隙もねェ!?

 

 まるで数年ぶりに再会した恋人のように、ピッタリと抱きついてくる美咲。そっちもお風呂上がりのようでポカポカした体の熱と、パーカー越しとはいえ胸あたりに当たるとんでもなく柔らかい感触に、俺のライフは大ダメージを受けた。

 

「……ん、…ずっと…やってみたかったんだぁ。…お風呂上がりのぎゅう…」

 

 全然戻ってないじゃんかよォ!!

 

 なんか最初いつものやり取り出来たから、ちょっと安心したらこれだよ。そんなふうに頭の中は荒ぶっているのに、昨日からあんまし言うこと聞かない身体の方は勝手に美咲の腰に腕を回して抱き返してる。

 

「…あ、……んふ…」

 

 美咲は俺の反応に嬉しそうに微笑むと、そのまま耳元で囁いてきた。

 

「……出雲くんは…?…今したいことない…?」

 

 もうあかん。誰か助けてほしい。一撃で俺持ってかれそうだよマジで。

 

 俺は全集中を振り絞って、かろうじて体を離した。

 

「……後で、な」

「……えへへ」

 

 あかん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、美咲も来た」

「おじゃましまーす。これ、ふたりも飲めるやつね。こっちの付箋貼ってる蓋のやつがノンアルコールだよ」

「わぁ、ありがとっ!イチゴがはいってるの?」

「うん。サングリアっていって、ワインに果物を漬けるんだ」

「…むぅ、私たちも酒を飲んでみたい」

「2人にはまだ早いかな。この国だと20歳からだからね」

「えぇ〜」

 

 お酒を飲んでみたいと駄々こねるふたりを美咲が宥めてる。料理はもう完成してるみたいで、モッツァレラチーズとトマトのカプレーゼに、クリームチーズとレーズンのカナッペに、サーモンのカルパッチョ、余ったサーモンを刺身にしたやつがテーブルに並ぶ。

 

「えっと、付箋ない方がノンアルじゃないやつだよな?」

「そうだよ。中のフルーツもグラスに入れるでしょ?」

「もちろん」

 

 美咲が作ってくれたサングリアにはイチゴの他に桃とオレンジがカットされて入っていた。薄く切られているのでグラスにも果物が入る。この果物が美味いんだよ。

 

 俺がグラスを受け取ってソファに座ると、なんか美咲とレイロゼで見つめあってる。……あ、ジャンケンし始めた。……で、美咲が勝った。美咲、ガチガッツポーズ。……これ、もしかして俺の隣でも争ってんの?

 

 ニコニコの美咲がグラス持ってこっち来たので、すすっとソファから降りるのを試みるが、無事に抑えつけられた。

 

「…ふふ、あたしが隣っ」

「くぅ…!」

「ま、負けた…だと…?」

「俺がソファから降りる案は?」

「却下デース」

 

 とりあえず、俺の隣は3人交代ということへ。ガールズバーかなここは。

 

 とりあえずみんな座り、飲み物を行き届いところで。美咲が小さく手を挙げた。

 

「……あ、乾杯の前にさ。…レイとロゼに伝えたいことがあるんだ」

「……ん、なに?」

 

 美咲の様子に何かを察したレイとロゼは真面目な顔になる。

 

「あたし、…出雲くんに告白したの」

「…そう、か」

「…うん。………そ、それで?」

 

 美咲が口にした瞬間、2人の肩が跳ねるのがわかった。それでも表情を変えず聞いてくるふたりを安心させるように、美咲は続ける。

 

「それで、出雲くんと話し合ったんだけど…。とりあえず、付き合うことはできないってことになった」

「……っと、…それって」

「私たちがいるからか?」

「そうだけど、別に2人のせいって訳じゃないからね。…むしろ、俺のわがままっていうか」

「それを言うならあたしのわがままだよ。出雲くんは最初、覚悟を決めてあたしを振ろうとしてたじゃん。……でも、出雲くんと気まずくなりたくなくて、レイとロゼとも仲良いままが良かったからあたし、出雲くんに頼んだんだ」

 

 そこまで聞いて、2人が安心ししたように肩の力を抜いた。

 

「……よ、よかったぁ。私、出雲と美咲が付き合ったらどうしようって思ってたから」

「……私たちとしては祝福するところなんだろうが……その、少し心配だった」

「うん、だからとりあえず安心して欲しいのと……2人に許可を貰いたくて」

「許可?」

 

 美咲の口から出た堅苦しい言葉にふたりが首を傾げる。

 

「……その、…あ、あたしも2人みたいに出雲くんと接してもいいかなって……み、見てて羨ましかったから」

「……それで私たちに許可を?」

「うん、どうかな…?」

「出雲はどうなの?」

「……俺はもう言いくるめられちゃってるから、2人が嫌じゃないならって」

「言いくるめられた?」

「だって、出雲くんいい人すぎるんだもん。少しくらい嘘つけばいいのにさ」

「だ、だって…」

 

 あの状況で嘘つけるほど頭回らんよ。何より美咲を傷つけないのを第一に考えてたし。

 

「ね、レイとロゼならさ。言外に「貴方のことは大切だけど、状況的に付き合えない。それに迫られたら我慢できないから、あんまり近寄らないでくれ」なんて言われて我慢できる?」

「無理だね」

「無理だな」

「だ、そうですけど?」

「……が、頑張ります…」

 

 ほんと、美咲に勝てないのはデュエルだけにして欲しかった。

 

 美咲とレイロゼの視線を感じながらする乾杯は、今までで1番しんどかったとだけ言っておきます。

 

 

 

 

 

 

「…いただきまーすっ。……んっ!このカナッペ美味しい〜!」

「ほんとだ。こっちだとサングリアじゃないワインも合うかも」

「ん、初めてにしてはよくできたな」

「サーモン美味しいよねぇ」

 

 俺だけがダメージを負った乾杯から少し。今はそれぞれで料理と酒を楽しんでいる。

 

 実際、サングリアはめちゃくちゃ美味しくて、ツマミと合わせてグイグイ進む。…いかん、ワインは酔いやすいからセーブしないと。

 

 ロゼ作のサーモンカルパッチョもうめぇ。水菜と玉ねぎをサーモンで巻いて食べると、グラスの中の酒が無くなる現象が発生する。サーモンはこの前行ったコ〇トコのやつ。初めて行ったレイロゼの反応が可愛かったです。

 

 そして俺のサーモン推しに当てられてレイもただいまサーモンにどハマり中だ。最近わさびが食べれるようになったとかで、刺身の上にわさびを乗っけて………あ、レイが食べた刺身、けっこうわさび付いてる……。

 

 俺が止める前に、レイは口に入れてしまう。すると、数秒後びくーんと身体を跳ねさせ、「><」の形で涙目になって声にならない声を上げた。

 

「……あゅぅ……わ、わひゃび……ぃ」

「「かっわい」」

 

 美咲とハモった。俺らマジ真顔だったよ今。

 

「だ、大丈夫かレイ?」

「うぅ……前のわさびはあれくらいついてて大丈夫だったのに…」

「多分、練りわさびだからかな?」

 

 前にお店で食べた粉わさびのことを言ってるんだろう。練りの方が辛いからなぁ。

 

 でもとりあえずクソかわいかった。写真撮ればよかったわ。

 

「……改めて、デュエリスト明利に尽きる光景だね。出雲くんが羨ましいよ」

「それはほんとに思う。2人の普段の姿見てて悶えない日がないもんな。この前なんか、2人のチャットの会話を間違えて俺とのグループでやっててさ、俺がスタンプ押したら2人してソファから発射してたもん」

「あははっ、可愛すぎるでしょそれっ!」

「……ふ、2人とも、…聞こえてるぞ…?」

「伝わるように話してるから大丈夫」

 

 顔真っ赤にしてるレイとロゼを見て、かちんと美咲とグラスを合わせた。酒が進む。

 

 そこで、ロゼがとある爆弾を落としてしまった。

 

「……こうして見てると、あまり関係が変わったように見えないな」

「うん、なんかいつも通りだね。その仲良さがちょっと羨ましいなぁ」

「え、そう見える?」

「ちょ、なんてことを」

 

 まって?今それはまずくない?美咲の目線がこっちに向いたのを感じる。そのままグラスをテーブルに置くと。

 

「……あたし、こういうのメリハリつけるタイプだし…?」

「「あっ!」」

「んむっ!?」

 

 突如くっそやわこい物に包まれる俺の顔。そして膝に乗る重み。俺からは見えないけど、多分膝に向かい合うように座られて、胸に抱き込まれたっぽい。

 

「……こういの、2人もやってるでしょ?」

「…っ、ぷはっ!」

 

 やばい、窒息すると思った。顔をあげると、膝に乗られたせいで少し上に美咲の顔が見える。少し酔っ払ってるようで顔が赤い。…いや、酒のせいだけじゃないか。

 

 美咲は立ち上がるレイロゼを他所に、そのまま俺にぎゅーっと抱き着いてきた。

 

「……んー…、幸せ…」

「…っ、あーっ!ずるいっ!」

「っ、私もっ」

「あ、ロゼっ!?」

 

 そこで動きが早かったのはさすがロゼ。ソファの後ろに回り込んで後ろから抱きつこうとしてるみたいだけど、美咲がもう一度俺を胸に抱き込んだせいで腕が空ぶった。あと俺息できん。何とか呼吸しようと埋もれたまま必死に呼吸する。

 

「……い、息…、あつい……」

「こ、こらぁー!」

 

 流石に我慢が効かなかったのか、レイとロゼの手によって美咲が剥がされた。俺は俺で色んな意味で生死の境をさまよって本当に死のそうだし、絶対今立ち上がれん。色んな事情で。

 

 そして美咲はちょっと嬉しそう。多分バレてるなアレ。

 

「…ね、これくらいならあたしも出来るんだから」

「き、強敵…」

「い、出雲の膝は、私のだもん…!」

「ちょ、レイっ」

 

 そこで今度動き出したのはレイだ。いつも座ってた場所に美咲が行ったから、頬をふくらませながら、いつもの様に膝に乗ってくる。そして、気づいてしまった。

 

「……あっ……」

「……だから、待ってって……」

「………」

「ほんとにやめてください」

 

 その動きは本当にまずいんです。

 

 流石にあかんのでレイを待ちあげて隣に降ろす。続いてやってきたむくれたロゼをとりあえず満足するまで頭を撫でる。

 

「……む………まぁ、後があるから、 ……今はこのくらいでいい」

「…後?」

 

 俺、もうここから脱出してぇ。俺頑張ってるよ?耐えてるよ?

 

 なんで耐えてんだっけ…って危ねぇ。その思考はあかんのです。

 

 気付けば俺、結構飲んでね?

 

 そんな俺を他所に、レイとロゼが何かひそひそしあってる。

 

 すると、ふたりでトイレっと言い残し部屋を出ていく。

 

 俺は横目で美咲を睨んだ。

 

「美咲」

「……でも、好きなんだもん」

「っ……っくそ、コイツはもうなんで…」

 

 ああダメだ。美咲もくそかわいい。咎める気持ちが一撃で跡形もなく吹き飛んで顔が熱くなる。

 

「……俺は、なんで奴をこれまで野放しに…」

「えへへ、だから責任とってね?……あーんっ」

「やめなさい、ただでさえ俺ワインで酔いやすいやだから、そのアルコール吸いまくったイチゴを食べさせてくるのは」

「でもコレすごい美味しいよ?」

「知ってるけど…」

 

 ソファの上でピッタリくっついて座る美咲。俺も回ってきたせいか、いつもの目を見て話す視線固定が効かなくなってきた。視界に移る、ショートパンツから伸びた美咲の白い脚に視線が吸われていく。

 

「……ふふっ」

 

 さらに追い討ちで、美咲は閉じてたパーカーのチャックを少し下げた。上4割程が空いて、中からキャミソールと、それに支えられる谷間がガッツリ見えた。視線はもう俺の言うことを聞かないっていうか、もう俺自体が見たいじゃんこれは。

 

 なんか、手玉に取られてる様でムカついてきた。

 

 気合いで視線を引き剥がし、何とか反撃を…とか考えていたら、ふたりが戻ってきたのか扉が開く。

 

「……お、おまたせ」

「え」

「……っえっ?」

 

 戻ってきた彼女は、長い白銀の髪を払いながら、俺の反対側に腰掛けた。そういや久しぶりですねその姿。初めて見る美咲はぽかんと口を開けて目を奪われている。

 

 

 

 

 

 

 

「出雲はわたしのでもあるんだから」

 

 そう言い、いつの間にか買ってたらしい黒のネグリジェを着た閃刀姫=ゼロは、俺を見てニコッと微笑んだ。

 

 

 ……そういえばさ、今のふたりがゼロになったら、俺への気持ちってどうなるのん?

 

 俺は、関係ないデッキから出てきたミラジェイドの隣にドラグーン出された時のような顔をしながら、この後を思って絶望するのでした。

 

 

 






 美咲をモンスターに例えるなら、月光舞獅子神姫(ムーンライト・ライガー・ダンサー)みたいな出すの大変だけど出たらヤバい系。

 ゼロって、大型……だよね?……大型ではあるよね?…こう、レイロゼの時よりも大きくなってるもんね(殴)
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