地獄か天国かわからないすりすりタイムを、2人が満足するまで付き合ったあと。予定通り2人の日用品を買いに行くことに。……ただ、問題がひとつあるんだよなぁ。
そんな中、レイが手を上げる。
「……はい、出雲っ」
「なんでしょうか」
「これからお店?に行くんだよね。歩いて行くの?」
「いや、車があるからそれで行くよ。……ただなぁ」
「どうした?」
訝しげに見てくる2人。その2人の服装は昨日貸したままのぶかぶかシャツ姿だ、これで外に出るのちょっと憚られる。
「……確かに、出雲のだから大きいよね」
「私は気を抜くと脱げそうで心配なくらいだ。……一応、閃刀モードになれば姿はマシになる」
「それもちょっとな。この世界だと閃刀モードの格好は目立つんだよ。それに閃刀を持ち歩いてたら警察に捕まるぞ」
「けいさつ?」
「俺たちの世界の治安を守ってる組織。俺が住んでるこの日本って国は刀剣や銃を持ち歩いちゃダメって決まりなんだ」
「……面倒な国だな。もし戦いになったらどうする」
「平和な国だから、そうそう戦いなんて起こらないよ。なんでそうなったのかは長くなるから後で話すけど」
しかも、2人は何気に有名人だ。コスプレと思われればいいけど、どの道人目は集めてしまう。だってこの子たちめちゃくちゃ美少女だし。デュエリストが見たら飛び上がって気絶するくらいには雰囲気が「本物」過ぎる。
どうしたもんかと悩んでいると、レイが何か考えがあるらしい。
「とりあえず、私達が出雲の服をぶかぶかで着なければ外に出れるんだよね?」
「まぁそうだな。サイズさえ合えばボーイッシュコーデ的な格好に見えるだろうし」
「……よし、ロゼ。ゼロになれば身長伸びたよね?」
「…あ、その手があったな」
「え、なになにどういうこと?」
ゼロになるって?俺が瞬きをしている間に、2人は虚空から閃刀を取りだした。それをかちりと合わせて、二人で同時に言葉を発する。
「「閃刀合体…エンゲージ……ゼロッ!」」
次の瞬間、2人が光に包まれた。
「おおおおお!!」
やっぱゼロは2人の合体かっ!……ただ、まさかの展開に興奮して立ち上がった俺の視界に、あるものが映り込んだ。
………………あ。
その、床に落ちたあるもの……脱げた2人分の服を見た瞬間、俺はくるりと後ろを向く。
それと同時に光が治まった。
「………どう?これが私達の合体した姿のゼロだよ?」
「……おう」
「……なんで後ろ向いてるの?」
……いや……その。
「合体直前に2人の服が逃げて落ちたから……その」
「…え、……きゃあっ!?」
普通に考えたら、そりゃ俺の服着たまま合体は無理だよね。
あっち向くの速すぎたかなと考えてる俺を誰か殴ってくれ。
「…もう、こっち見てもいいよ」
「…おう……………おぉ…」
言われて振り返ると、そこには銀髪の絶世の美女がいた。
言った通り合体すると身長が伸びるみたいで、160後半はあるんじゃないか?
あと何よりレイとロゼの瞳が混ざったような目がいい。顔立ちは目元がロゼであとはレイって感じる。声も二人のいい所取りだし、話し方も語尾が柔らかくなったロゼ。いい感じにフュージョン出来てらっしゃる。融合モンスターでしたっけ貴方。
「………出雲?」
「あ、…いやそのごめん、見蕩れてた」
「…そ、そうなんだ」
そして思わず本心がぽろりしてしまう俺。
ちょっと照れながらそっぽ向いてるゼロが俺に直撃なんだけど。この光景を是非とも全国の閃刀姫使いに見せてあげたい。死人が沢山出るぞ。
「…んんっ、でも服のサイズはいい感じになったな」
「これなら出かけられそう」
身長が伸びたお陰でぶかぶかだった俺の服も、ちょっとオーバーサイズだなくらいで着れていた。……ただ、より彼シャツ感が増した感じがしてなんともいたたまれない。そしてやっぱり、2人の時とは明らかに増したある部分に目が引かれそうになるが、気合いでゼロの目に視線を固定した。
因みに昨日は気付かないふりしてたけど、レイも結構着痩せするんですよ。ゼロはそれを超えてきたというか、順当に強化と言うか。
だから、今までよりも視線のコントロールが難しい。一応これまで一度も変なとこは見てないつもりなんだ。
「……い、出雲…?」
「…ん、どうした?」
「そ、そんなに……み、見蕩れてるの?」
「…え!」
やばい、視線の固定に集中しすぎてずっとゼロの顔を見つめてたみたいだ。俺は慌てて弁解をする。
「…いや、別に…見蕩れ………見蕩れ…………見蕩れてました」
「認めちゃった!?……出雲、……結構口が滑るタイプ?」
「……その、それを否定するのがどうも嫌で…」
「…そうなんだ」
だってどのデュエルでも1度は召喚する推しですもん。嘘はつけないよ。
変な空気になっちゃったけど、それを振り払って俺はゼロに車の鍵を見せた。
「とりあえず、まずは2人の服だな」
初めての車に目を輝かせるゼロの写真が撮りたい人生でした。
俺の住んでる街はそんなに都会って感じではないから移動は割と車が多い。近くに若者御用達のリーズナブル系の服屋で軽く揃えて、日用品や安物で済ませちゃいけない系の衣類(下着って言った方が良かったかな)は大きい商業施設で買う予定だ。
そういう感じで、最初はその服屋に来たわけだけど。
「…すごい……ここのみんな、全員人なんだね」
「あはは、ゼロからしたらそうか、こっちだと人間以外がそもそもいないんだけどね」
とりあえず入るかと店の中に進む。中に入るとやっぱりめちゃくちゃゼロが視線を集めた。今の彼女の格好は黒スキニーと白いロンT、長い銀髪をポニーテールにしていて、身長が高いせいでスキニーがめちゃくちゃ似合っていた。
ロンTのせいでスタイルも浮き彫りになっているせいで、特に男性客からの視線がすごい。
俺は何となく自分の体でゼロを隠しながらレディースの方にゼロを案内する。
「ここで自由に選んでていいから。俺はあっち見てるよ」
「え、なんで?一緒に選ぼうよ」
「…女物の売り場は居心地悪いんだよ」
そう言って離れようとするが、ゼロ袖をつままれた。やめてそれ可愛いから。
「でも、私こっちの服わかんない」
「……そうだった」
仕方がないので並んでレディースの売り場を歩く。うぅ、女性客からの視線が…………あ、みんなゼロの事見てるわ。なんか大丈夫そう。
「ここで服を選んだら、2人に戻るんだよな?」
「うん、その予定」
「なら、奥の大きい試着室がいいな。変なやつを置いてる店じゃないから、ゼロが自由に選んでも大丈夫だと思う」
「そう?…じゃあ…」
ゼロは少し売り場を歩いて、白の肩が抜かれたトップスと黒のプリーツスカート、黒のニーハイソックスに青と白のスニーカーをカゴに入れ、もうひとつのカゴに、白地が入った黒のワンピースとレイと同じ配色で色違いのスニーカーを入れ、そのまま購入。
「じゃ、ちょっと待っててね」
「了解」
そう言って銀髪を揺らしながらゼロが試着室に入っていった。カーテンが閉まるとちょっと中が光る。多分2人に戻ったな。
少し待つとカーテンが開き、試着室から美少女が2人出てきた。周りの客や店員が目を擦ってるのが面白い。
「…あ、出雲っ、どう?」
「…着心地はいいな」
え、ここは天国ですか?天使2人いるし、天国か(昇天)。
レイは見慣れた衣装に似た感じのコーデ。黒のプリーツスカートとニーソから見える絶対領域が眩しく。肩抜きのトップスが露出をいい感じにプラスしててすごく可愛い。
そしてロゼの方はシンプルにワンピースとスニーカー。ワンピースの方が白のラインが入ってキレイめな印象に、スニーカーと短いソックスがめちゃくちゃマッチしてる。
「おお、めっちゃ似合ってる」
「えへへ、ありがと」
「…ふんっ」
素直にそういうと2人ともちょっと照れてる。特にロゼは長めのスカーフ的なものを首元に巻いてる印象だから、結構新鮮。
「あ、ロゼ。ちょっと頭出して」
「なんだ?」
俺は待ってる間に買っといた物をロゼに被せた。……うん、やっぱりロゼと言えばこれだよな。
「これ、帽子?」
「そ。前のは軍だから被ってたんだろ?だから今度はオシャレなやつ」
「お、おおお…」
ロゼは俺がかぶせた赤のベレー帽をぎゅっと握りしめた。レイが「私には?」の顔をしてるので黒の蝶々からの髪飾りをあげてみた。レイの特徴的な髪飾りが戦闘で無くなっちゃってたからね。個人的にレイの髪留めで作ったクルッとさせてるところが好きです。
どうやら気に入ってくれたみたいで、レイもロゼも嬉しそう。2人で付けたのを見せあってるのが尊い。
とりあえず、買い物に行くための服は買い終わったので、2人を連れてもう少し歩いてパジャマを2セットずつ買った。
その後は3人で車に戻り買ったものを積んで出発。車の間もずっとベレー帽を取らないロゼに癒されつつ、30分ほど走り結構大きめの商業施設に着く。
「よし、じゃあ今日のところは細かい日用品を買おうか。大きいものはまた後日ってことで」
「はーい」
車は屋上に停めたのでエスカレーターに乗って下に降りていく。ここら辺の近代技術は向こうの方が進んでるだけあって閃刀姫の2人は特に驚いてない。やっぱり沢山いる人に目が向いてる感じだ。
まずは雑貨店に入り、2人用の歯ブラシとかタオル、食器を買う。2人とも自分のってわかるように、うさぎや猫の柄が入った箸や歯ブラシを買ってたのが微笑ましい。
「次は何を買うの?」
「あー、あそこ。二人で行ってきて」
「え〜、一緒に行こうよ」
「…あそこ?………あぁ…」
ロゼが俺の視線を追っていって何を指しているのかを理解した。そのままなんでなんでと可愛く俺に聞いてくるレイの肩をつんつんする。
「ロゼ?」
「…レイ、2人で行こう。…あ、あそこは流石に私達だけの方がいい」
「あそこって……ぁ」
レイもわかったようだ。顔を赤くしてちらっと俺の顔を見てくる。…俺?俺はもうここまで来ると悟りの領域ですよ。なんだろう、許容量以上の可愛いを摂取すると、「この子達は俺の邪な考えで汚せねぇ」と悟りを開く。だから今も穏やかな顔で女性物の下着売場と俺をチラチラ見るレイを眺めている。
「…じゃあ、俺は買った荷物車に戻して来るから、後でそこの広場で合流しよう」
「う、うん」
「30分くらいでいい?」
「構わない」
俺はレイとロゼにお金を渡すと、買ったものを持って歩き出した。
「……うぅ、恥ずかしい…!…ロゼっ、なんで言ってくれなかったのっ?」
「今のどこに言うタイミングがあったんだ…?いいから行くぞ。出雲を待たせる」
彼に変な気を使わせてしまった羞恥心と申し訳なさで顔を熱くしながらレイとロゼは下着売場に入る。
しかし、早速問題に直面した。
「私達、自分で選んで買ったことないよね」
「……私に言うか…?」
レイはともかく、戦う閃刀姫として創られたロゼはジト目を向ける。
色とりどり、形も沢山ある中でどれを選べばいいのかがわからない。
「と、とりあえず端から見ていくしかないだろう。…あそこに「夜付ける用」って書いてあるぞ」
ナイトブラのコーナーに入っていく2人。その棚にも沢山あるが、とりあえずここから選べばいいらしい。
「……自分の大きさは流石にわかるけど、ロゼは?」
「なんで教えなきゃならないんだ」
そう言い、自分の胸部を見下ろすロゼ。…少し止まって、Bと書かれた黒地のものをいくつかカゴに入れた。それならって、レイもDと書かれたものをいくつか入れる。
「……そんなにあったのか」
「昨日お風呂で見たじゃん」
「外からはそんなに見えないぞ?」
「うーん、着痩せって言うんだっけこういうの」
「私も……」
そう言い、じっとレイのものと自分のを見比べるロゼ。着痩せとやらで減衰されてるはずのレイよりも一回り小さく見える自分のに、はぁとため息を吐いた。
とりあえず、寝る時にこれを付ければいいらしい。それと普段用の下着を探していると、店の奥の方にまた看板が見えた。
「彼氏に効果抜群!……ってどういう意味だろ」
「カレシってなんだ?」
一体何に効果抜群なんだろうか?と首を傾げるレイとロゼに、1人の店員が近付いてきた。2人が入店した時から目を付けていたらしく、優しく話しかける。
「あの〜お客様っ。なにかお探しですか?」
「…あ、私達…普段使いの下着を探してて…」
「なるほど、それでしたあちらの棚にあるものがコスパいいですね」
「…了解した。……一つ質問してもいいか?」
「はい、なんでしょうか」
店員のしては突如店に現れた超絶美少女二人。当然接客に力が入る。そんな中、銀色の髪をふたつに括った美少女が看板を指さして尋ねてくる。
その指先には「彼氏に効果抜群」の文字が。そしてその棚には、女性にとっての戦闘服が置いてある、
「…彼氏とは、どういう意味なんだ?」
「彼氏…ですか。ご存知ないので?」
「うん、初めて聞く言葉だったから…何に効果抜群なんだろって気になって」
そんなことを言う2人に。彼女達の外見的に外国人なのかなと考えた店員はそのまま意味を答えた。
「…彼氏と言うのは、男性の恋人という意味ですよ。…わかりやすく言うと、大切な男の人という意味です。つまり、ここに売られている下着はその大切な男性に見せる下着…というものになります」
「…た、大切な……」
「お、男の人…」
店員の説明は完璧で、日本語の読みが苦手な外国人に意味が伝わる100点の物。
ただ、一つだけ誤算があった。
それは、彼女達が外国人なのでは無いこと。そして、彼女達の中の大切な人。それも男の。
「「…み、見せる…!?」」
レイとロゼの頭の中には1人の青年の顔しか浮かび上がってこない。
恋人というのは良くわからなかったが、大切な男性の意味だけがわかったレイとロゼは顔を真っ赤にさせる。
それぞれの頭の中で、目の前に置いてあるちょっと布面積がアフターバーナーしてるような下着を付けた自分が彼にそれを見せている光景を想像してしまった。
(何この子達超可愛いんだけど)
2人の顔からボバッと熱が爆発したと同時に、店員さんの鼻の血管もボバッと破裂しそうだ。このままだと噴射しかねないので店員は鼻をつまみながら、すごすごと裏へ下がって行った。
取り残されたレイとロゼは、同時に勝負下着の棚から目を逸らしながら後ずさり。
「そ、そそそそんな破廉恥な物が売っているなんて」
「と、ととりあえずさっき勧められた棚の方に行こっか?」
2人はよく回らない頭のまま勧められた方で下着をいくつか購入。店を出たところで、我に返ったレイがあることを思い出した。
「…あ、そうだロゼ」
「どうした?」
「さっき、流れでゼロになったけどさ。私達こっちの世界でも閃刀とゲートが使えるんだね」
「…確かに、言われてみればそうだ」
2人は顔を見合わせると、近くの通りから外に出る。人気のない場所まで移動すると、手をかざして閃刀を取り出してみた。
「ゲート……って、使えるっ」
「こっちも大丈夫みたいだ」
ゲートはインベントリだったり、装備の転送をする際に使う。最終決戦で2人とも全てを出し切ったので閃刀機は入ってないが、これに買ったものを収納出来る。
「そういえばレイ。お前今まで貯めた金とか全部ここに入れてなかったか?」
「うん最後だし、滅んだ国に置いとく理由もなかったから。……って、ことは?」
「………ああ。……しかもなんか単位がこっちのものに変わってないか?」
ゲートの中を見ると、日本円に変換されたお金が入っていた。額はそのままレイが決戦前に放り込んだままで、出雲に渡された紙のお金に書いてある数よりもかなり多い。
「……これなら、最初から出雲に世話をされなくて済んだな…」
「そ、そうだけど。……でも……」
「……ああ」
確かにこの量の金額があれば、最初から出雲に世話を焼かせることもなかった。
しかし、レイとロゼの中に出雲という青年の存在がもう無視できないくらいに大きくなっている。まだ出会って2日目なのに、彼に掛けられた言葉と、触れた時の温かさに2人は確かに幸福を感じているのだった。
とりあえずゲートに買ったものはしまい、店を出る。吹き抜けになっている広場でレイとロゼは出雲を待っていたのだが。
やはり、2人は周りから視線を集める。片や絹のようなブロンドの髪の明るい性格の美少女に、艶のある銀髪のクールな美少女。
そんな2人が立ち止まっていたのだ。見ていた客の中から、2人組の男性が彼女たちに近づいてくる。
「あのー、すみませーん」
「……え、私?」
「そうそう。君たち見ない顔だけど、どこから来たの?めっちゃ可愛いから思わず話しかけちゃったよ」
「……誰?」
「そっちの子も可愛いねぇ。ここで会ったのも何かの縁だし、どこか遊びに行こうよ」
レイとロゼに近寄って無遠慮に話しかけて来る。つまるところ、ナンパである。
これが昨日までのレイとロゼだったら「この世界の人間はこういう物なんだ」と考えていただろう。しかし、もう2人は
「ごめんなさい。私達、人を待ってるから…」
「え、その子も女の子?いいね、その子も誘ってご飯ととかどう?」
「……断ってるのがわからないのか?」
ロゼが不快なものを見る目を2人に向けるが、それも己の興奮の糧としたらしい男が「いいからっ」とレイに手を伸ばした。
レイがそれに反応して、伸ばされた手を払う。
「…っ、てぇな…!」
「いきなり暴力とか、ダメでしょそれは」
「…触ろうとしてきたのはそっちでしょ?」
「でも叩くのはねぇだろ?…ほら、一緒に来てくれたら許してあげるからさ?」
ロゼは思わず、閃刀を取り出し斬りかかりそうだった。だが、出雲に言われたことを守り、手を強く握りしめるだけに抑える。レイも普段の可愛い様子はなりを潜め、閃刀姫の顔になっていた。
自分がナンパした少女2人に睨まれ、少し気圧された男2人は、それを無視して再度手を伸ばす。近づいてくる男達にレイは思わず閃刀の柄に手を伸ばし──────。
「あ、ごめん。待たせた」
閃刀の柄に手を掛けようとしたところで、後ろから声が聞こえた。ロゼと同時に振り返り、は顔を綻ばせる。
「出雲っ」
「いや、ごめんね。俺も来るの久しぶりで道に迷っちゃって。買いたいもの買えた?」
「え、う、うん。…でも」
「出雲、あれ…」
「よし、買えたならそのまま昼ごはん食べに行こうぜ?あっちにいい店あるんだよ」
「ちょ、オイッ、待てよお前っ!」
まるでナンパ男など最初からいなかったかのように話を進めてレイとロゼを連れていこうとする出雲に、男は声を張り上げる。
それすらも無視し、ぽかんとしてる2人の背中を押して前を歩かせたところで、男が追いつき、出雲の肩に後ろから手を伸ばした。
直後、その手は空振ることになる。
「…って、誰かと思ったらタケシとシンジじゃん!久しぶだなぁ!」
「は、はぁ!?…お前のことなんて知らッ!…!?」
まるで、背中に目でも着いてるんじゃないかと疑うような動きで右に半歩ズレて手を躱した出雲は、その手の甲を包むように握りながら振り返る。
そして、振り返った動きのままその取った手を外側に捻られた男は痛みで声が出せなかった。
思わず膝を着きそうになったところで、そのまま捻り上げれて更に関節が軋む。周りからは男同士の再会の握手のようにも見えるせいで、特に騒ぎが起こらない。
呆気に取られていたもう一人の男も出雲に掴みかかろうとしたところで、その男達にしか聞こえない声で、出雲が呟く。
「ナンパ失敗してイラつく気持ちはわかるけど、お前らちょっとは落ち着けよ。…ほら周り見ろ」
「……っ」
男はそのままの体勢で周りを目だけで見て、彼らに突き刺さる非難の眼差しに我に返る。
レイとロゼは吹き抜け広場中の視線を集めていた。そんな中注目の的にナンパをしかけて断られ、一触即発の状態になったら誰だって見る。そして、会話の内容的にも男たちが悪いのが誰の目にも明らかだった。
「……話合わせてやるからそのままどっか行け。……わり、待ち合わせてたとこ悪いんだけどさ。これから親戚の子達を駅まで送んなきゃいけないんだよ。お前ら、間違えて話しかけちゃったんだろ?……な?」
「あ、ああ。そうだったわ」
「お、おう。すまん」
「じゃ、そういうことで。………ナンパするなら相手選べよ?」
そう囁き、2人の背中を叩いて行かせた出雲は、呆気にとられていたレイとロゼに向き直る。
「…よっし、んじゃご飯行こうか」
「で、でも出雲、さっきの人達」
「逃がしてよかったのか?」
「あのまままともに相手してたら、店の人が来たりして大騒ぎになるだろ?そうしたら昼ごはん食べられなくなるし、俺が連れていきたい店が閉まっちゃうよ」
ほら、と2人の肩を叩いて歩いていく出雲を、レイとロゼは追いかける。その途中で、2人して今触られた肩に手を当てた。
そして、何故か2人の顔が暖かいを超え、熱くなり始める。
(閃刀姫なのに、……守られちゃった…)
(大切な、……男……か…)
ちなみに、当の本人はこの2人の変化に全く気がついていないのだった。
好きな閃刀魔法
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エンゲージ
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リンケージ
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マルチロール
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エリアゼロ
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アフターバーナー
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ジャミングウェーブ
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ベクタードブラスト