───────閃刀姫の2人が我が家に来てから1週間とちょっとが過ぎた。
あれから、特には何も変わらない生活が続いている。俺はまだ大学の夏休みで1ヶ月半は暇だし、バイト行って、帰ってレイロゼに癒されてを繰り返していた。
生活自体は順調だけど、問題は1つある。……それは。
何故か知らないんだけど。
「……おはよっ、出雲」
「おはよう」
「…あの」
「なに?」
「なんだ?」
「なんでまた俺、寝かしつけられてんの?」
ロゼに膝枕された状態の俺は、上に乗っかって寝ているレイに問いかける。
2人は悪びれもせずにこう言った。
「「してあげたいなって思ったから」」
そしてロゼは優しい表情で俺の頭を撫で、レイは自前の着痩せして出るとこ出てる身体を押し当ててくる。そして、手はそれぞれ2人に握られて。
……最近、そろそろ理性が限界です。
「引っ越しをします」
今日はバイトは休みだ。結局あの後、ロゼ膝枕とレイ掛け布団が気持ちよすぎて2度寝をしちゃった俺はほぼお昼ご飯な時間帯でパスタを食べながら2人にそう言った。
引っ越し自体は前から考えてた。3人だと1LDKは手狭だからね。せめて部屋はあとひとつ増やしたい。
……って、思ってたんだけど。 引越しの前に正直、このペースだと俺が先に限界来そうなんだよなぁ。
だって、この子達俺との距離が近くなりすぎなんだもん。もう普通に膝枕してくるし、寝る時も同じ部屋だから逃げ場ないし。つか逃げたくないし。
レイは出会った時よりもちょっとイタズラと言うか、かまちょしてくるようになった。特に十八番が自慢のブロンドの髪で俺を擽ってくるやつ。あれこそばゆいしいい匂いだしで本当に厄介。
そしてロゼに至っては最近めっちゃ枕にしてくるし枕をしてくる。何を言ってるのかわからないと思うが(以下略)。
俺がリビングで座ってると近くに来て俺の膝に寝っ転がるし、そのまま頭撫でてって言うから撫でるとほんとに気持ちよさそうな顔するし。そのままなでなでしてたらレイも来てなでなでトライアングルが完成するし。
それが飽きたら「おかえしだ」とか言って俺を膝枕しだすし。そのおかげで、ロゼって下半身の肉付き意外といいんだなと変態的な発見があった。俺は自害した。
そんで、2人ともバイトから帰ってくる時は決まって玄関で待ってるし。1回コンビニで待ってた時もあってびっくりした。美咲とシフト被ってない日で良かった。
毎回俺を見つけるとてけてけと走ってくるのが可愛いし距離感近すぎだしで、もうダメになりそう。
…だから、出会った時より確実にレイのわんこ化とロゼのにゃんこ化が進んでるような気がする。
……包まず言うと、そろそろ俺なんかの拍子に2人を襲って斬られそうで怖い。斬られちゃうのかよ。
それに、下世話な話をすると家だと2人が常に一緒だから、アレを発散する機会もない。そんな中2人は俺に色々してくれるわけで。
……どうしたもんかなぁ。
そんな俺の葛藤など露知らず、俺の言った引っ越しの言葉に2人は頷く。
「前から言ってたもんね」
「私はこの広さでも良いが」
「個人的にせめて部屋は分けたいんだよ」
その言葉にえーっと抗議の声を上げる閃刀姫2人。
「えー、なんで?みんなで寝るの良いじゃん」
「君らが良くても俺がダメなんだよ」
「でも、私たちが寝かしつけると出雲はすぐ寝てくれるじゃないか」
「それは、……そうだけど。……2人と俺の距離感、やっぱ近すぎだと思うんだけど」
「……そんなの知ってる」
「へ?」
てっきり無自覚かと思っていたから、ロゼの返答に素っ頓狂な声が出た。見ると、ちょっと頬を種に染めたロゼがふいっと目を逸らしている。
レイを見ると、同じくらい顔を赤くしていた。
「……え、じゃあなんで?……俺程度はいつでも倒せるから?」
「そんな物騒な理由じゃないよ?……なんというか、その……ロ、ロゼっ」
「わ、私に振るなっ!………ぅう…」
なんかめちゃ言いにくそう。確かに2人への俺の好感度が謎に高いのは自覚してるけど……。問題はそれをどういうつもりでやってるかってところ。
最近本当にヤバい時はレイとロゼを犬か猫だと思ってる凌いでるけど、それでも限界はあるんだよなぁ。
「……ま、いいけどさ。……そんで候補はもう見つかってるんだよね」
「え、そうなの?」
「ああ、友達に紹介してもらったんだ。ちょうど2LDKが空いてるらしくて」
「ここから遠いのか?」
「そんなに遠くないよ。5キロくらい?バイトは車で行けばいいし、そのくらいだったら自転車もありだな」
美咲から聞いたんだけど、結構いい所なんだそうだ。家賃も順当だし。
そう伝えると、じっとふたりが俺を見てくる。この子ら俺が美咲とデュエルしてる時もかまちょが凄かった。果ては俺がデュエル中にノって「閃刀姫レイを手札から…」って言ったら「ん、呼んだ?」って返事しちゃったし。誤魔化すの大変だった。
なんならゼロ出したら2人で前来て、「ゼロする?」「合体しとく?」みたいな顔してるのが本当に可愛かった。後でアイスあげた。
2人の美咲に対する反応はヤキモチチックでちょっと嬉しい(屑)。
「で、今日の午後からその部屋を見に行こうと思うんだけど……ただ」
「ただ?」
「多分3人で行くと絶対変な目で見られる」
「そうなのか?」
年頃の男女ならまだ同棲かーってなるが、女の子2人と男1人は流石に「親戚の子です」と言っても無理がある。
というわけで、
「悪いんだけど合体して貰ってもいいかな?そしたらまだ説明着くんだよ」
「それなら……」
「わかった」
2人は頷いて、早く行きたいのかそわそわしながら合体を………。
────俺はどうやらアホだったらしい。
まさか、前回のことをすっぱり忘れてるなんて。
「よしっ、合体完了……ぁ…」
「あ」
なんて説明するか考えてたせいで合体の瞬間を見逃してしまう。
そのせいで、俺の目がゼロの一糸纏わぬ身体を隅から隅まで見てしまった。
ここはアニメとか漫画じゃないので隠してくれる都合のいいモノもないし、髪で隠れるなんて奇跡もそうそう起こらない。
そしてゼロの方も忘れてたらしい。自分の状態に気がついたゼロはその白い肌を真っ赤に染める。
「…ひゃあっ!?」
「……すみませんでした」
俺のライフが7900削れました。そしてしっかり目に焼き付きました。
「……い、出雲……見すぎ…!」
「大変申し訳ございませんでした」
えっと、俺がひとりで引っ越した方がいいですか?
「その、そんなに謝らなくていいから…」
「いやでも、ケジメなんで」
身を投げ出し土下座を敢行した俺に慌てたような声が届く。
「べ、別に気にしないで?今のは私が悪いし」
「……うん、わかったよ。わかったから早く服着て……!」
ごめん、もう頭から当分離れないです(変態)。
ふたりで車に乗り、その候補のマンションへ。ここから車で15分くらいだから、聞いた通り5キロちょいくらい?
聞いた通り綺麗なマンションだった。美咲のやつ、なんでここの部屋空いてんの知ってたんだ?
管理人さんの後ろを説明を聞きながらついて行く。1回ゼロをびっくりした目で見られて、「ご同棲されるんですか?」と聞かれたので「はい、来年結婚するんです」と答えた。
ゼロさん?そんなに顔真っ赤にしないで?嘘なのばれるからっ!
部屋の間取りは2LDK。これで俺と女の子勢とで部屋が分かれる。入って左手に一部屋に、反対側にトイレ、洗面所とお風呂。奥にリビングダイニングキッチン、その右手にもう一部屋だ。
管理人さんから説明を受ける。
「いいな、ここ」
「うん、綺麗でいいね」
近くにコンビニやらレストンやら寿司屋もあるし、歩きで行ける距離にスーパーもある。便利だなぁ。
ゼロにここにする?聞くと、見惚れそうな笑顔で頷く。
引越しは1週間後に決まった。
そして、1週間後。
部屋の片付けをしたり、掃除したり、レイロゼに癒されたりして引越し当日。大抵は業者さんに運んでもらったので手荷物とダンボールに詰めるやつだけ持って新居に向かう。
朝から始めたけど、荷解きが終わるにはもう夕方だった。
「終わった〜っ!」
「…疲れた」
「これでも断捨離した方なんだけどなぁ」
特に配線類が時間かかった。まだ細かいものは出し終わってないけど、とりあえずこんなもんだろ。
3人でリビングにあたらしく買った大きなL字型ソファに座って伸びをする。
3人がけのソファで右端足を伸ばせるようになってるところにロゼが寝っ転がり、疲れたのか「あ〜」と声を上げている。灰色の半袖パーカー赤チェックのスカートにタイツ姿で緩んだ顔を披露しながら、座面ツインテールが広がっててくそかわいい写真撮りたい。
ちなみにレイは柄プリントの白Tシャツにデニムのショートパンツ姿。合間合間に服も揃えてきて、目の保養になってますありがとうございます(最敬礼)。
ちょっとの間3人で休んでいると、時間はもう18時前。レイがソファの上でちょっと身を寄せながら聞いてくる。
「……出雲ー、夕ご飯どうする?」
「今から作るのはだるいよなぁ」
「というか、そもそも何もないぞ」
冷蔵庫の中身も引越しに合わせて食べ尽くして来たのでご飯を作る食材もない。
俺はスマホで地図アプリを開いた。
「そういえば、2人って寿司食べたこと無かったよな?」
「「寿司っ!?」」
わお、すごい食いつき。まんしょんの向かいに大手チェーンの回転寿司屋があったので聞いてみると、2人の瞳が輝き出す。
「じゃ、そこの寿司屋行こうぜ」
「やったーっ!」
「……コーン軍艦…!」
え、ロゼさん。食べたいのそれなん?
「……回っ……てはないんだね!?」
「最近回るの減ったよなぁ」
回転寿司って印象強いけど、回ってる店ってあんましない気がする。
寿司はテレビやら動画やらで見て1度食べてみたかったとワクワクするふたりを連れてブロック席に入った。
「サーモンっ、私サーモン食べてみたい!」
「コーンマヨ軍艦っ」
「ロゼのそのコーンマヨ軍艦推しなんなの?」
2人の様子に笑いながらタッチパッドで注文をする。2人の注文確認をみると、サーモン、炙りサーモンマヨ、コーンマヨ軍艦、ハンバーグって小学生か?
俺もサイドメニュー頼みすぎる民だから気持ちはすごいわかる。寿司屋、途中で揚げ物挟みたくならない?
2人は注文して爆速で届いた寿司を取り、ぱくりとひとくち。お気に召したようですっごい笑顔だ。周りの客からすごい視線を感じる。
「ま、今日はいくらでも食べてくれ。引越し祝いだし」
「うんっ!…出雲のおすすめってある?」
「おすすめ?…うーん、茶碗蒸しなんでどうだ?」
「もう頼んだっ。3つだな?」
すごい。ロゼの指が目にも止まらぬ速さで寿司を注文してる。でも一度に頼めるのは4皿までたぞ?
「…ん〜♪……どれもこれも美味しくて、次何食べようか迷っちゃう〜」
「……ここは甘いものも置いてあるのか。交互に食べると無限に行ける」
「わかる」
途中で大学芋を挟んでご満悦のロゼがえび天巻を頼む。隣のレイは炙りえんがわに夢中。サーモン艦隊から渋いの行ったな。
え、俺?………とろサーモン連合艦隊ですが何か?
子供舌とか言うなっ。普通の食べて、とろサーモン食って、オニオンサーモン食って、炙り食ってってやると最初の普通のが食べたくなるジレンマ。途中でマグロとかエビ行っても、どっからでもサーモンの誘惑がくる。サーモンはフリーチェーンだった?
で、そこに挟むガリがいいのよ。2人は辛くて食べられないみたいだった。もったいない。
そして案の定というかなんというか、2人からあーんもされた。俺も頼むからいいって言ってんのに、「でも2巻あるよ?」との事で食べさせられる。
途中飲み物持ってきてくれた店員さんとタイミング被ってすごい羨ましそうな目で見られた。へっ、いいだろっ。
「……って、だいぶ食べたな」
「…お腹いっぱい」
「私も」
「レイが1番食べてたからなぁ。動ける?」
「もちろんっ、これくらいで動けなくなるようじゃ閃刀姫なんてやってられないよ」
「………」
「……ロゼ?」
さて会計するかとそこを経ったところでら俺の袖が引っ張られる。見ると恥ずかしそうな顔をしたロゼが袖をつまんでいた
「…………」
「………もしかして、動けないのか?」
「…ロゼ…」
ロゼはこくりと頷いた。
「これ、どうやって運ぶ?」
「これとか言うなっ」
「おんぶできそう?」
「ん」
「なんで偉そうなのこの子…?」
レイが肩を貸して会計を終え退店。
マンションまでそう遠くないので俺がおんぶすることになったんだけど、「よしきた!」みたいな顔で手を広げるロゼがくそかわいい。
そういえば何気におんぶするの初めてだ。おんぶ自体は酔った美咲にやってるからコツはわかる。これ、どうやっても太もも触るのどうにかならんかな?おんぶ紐とか携帯するか?
そんなことを考えつつもロゼをおぶった。ロゼは俺の首に腕を回してぎゅっと力を入れてくる。
「……」
「ロゼ、大丈夫そう?」
「……ああ、大丈夫だ」
ロゼの太もも柔らかいなぁ。でもハリがあると言うか。人によって違うのがわかる。
あと、ロゼの吐息が耳にあたってくすぐったいです。
「…ロゼ、やっぱり苦しいの?」
「……え、そんなことはないが」
「いやなんか、息が荒いから」
「……大丈夫だ」
本当に大丈夫?
ロゼは大丈夫と言い張って俺の肩に顔を埋めた。それをレイがじとーっとした目で見る。
「……私にも帰ったらしてね?」
「なんで?」
俺の背中はアトラクションじゃないよ?…でも、推しを、おんぶできると聞いて下がるわけもなく。
「……まぁいいけど」
「いいのっ!?」
「むぅ……」
帰宅っ。
とりあえずロゼを降ろすと、今度はレイが手を伸ばしてくる。あーもう可愛い。なんでこんな可愛いのこの子たち。
「同じじゃつまらんだろうし、……よいしょ」
「…えっ、…わわっ!」
俺はレイの両手を自分の肩に置かせると、彼女の座裏と背中に手を入れて持ち上げる。俗に言うお姫様抱っこってやつだ。
ロゼにはやってたけど自分がやられるのは初めてのようで、レイは驚きで顔が真っ赤だ。
「ぇ、…ぅ、…い、出雲…?」
「軽っ。俺でも全然持ち上がるぞ?」
そろそろ降ろすかと考えたその時、レイの両手が俺の首に伸びる。落ちないようにかな?
そして、至近距離でレイと目が合った。可愛すぎて直視ができない俺は数秒で目をサッとそらす。
「……そのままベッドまで連れてって?」
「……なっ!?」
「…それは眠いからってこと?」
そう出ないと俺がどうにかなるくらいの威力だったぞ今の言葉。恥ずかしそうにこくりと頷いレイに一安心して、2人の部屋までお姫様抱っこて運ぶ。
そしてあたらしくふたり用に買ったダブルベッドに優しく降ろした。レイの金髪が白いベッドに扇状に広がって、俺を潤んだ瞳で見る彼女にちょっとドキッとした。
もう降ろしたのに、レイが首に回した腕を解かない。
「……あの、レイさん?」
「………もうすこしだけ……だめ?」
「喜んで」
ああもう、今のは反則だろ!俺の理性も風前の灯。レイを抱き直してベッドに腰掛ける。俺の膝の上に横向きに座る形になったレイはずっと瞳を潤ませて、俺の顔へ…って近い近い!
そして、ロゼはと言うとベッドに登ったと思いきや、俺に後ろからもたれかかってくる。
俺の片手を取って、まるで「私も忘れるなよ…?」と訴えてきてるみたいだ。
………あのさ、もうここまでされたらさ。流石にさ…、我慢無理があると思うんですよ。
つか、なんで俺我慢してんの?
あまりに近い2人のせいで俺の頭もおかしくなったようだ。ロゼに取られてない方の手でレイの頭を優しく撫でると、そのまま俺の首筋に顔を埋める。そしてロゼには取られた手ごと彼女の腰を抱き寄せる。
「……ん」
「……あ……」
正直博打じみた行動だったが、2人は嫌がらない。むしろより甘えるように撫でられてる頭を俺の手に擦り付けて来るし、密着した身体をさらに押し付けてくる。
全員、自分の行動はおかしいと感じているはずなのに、誰も止めない、止まらない。
やばい、このまま行ったら……俺……。
ピンポーン。
「「「ッ!?」」」
突然なったインターホンに、俺たちはビクッと身体を跳ねさせる。
「……誰だろ…」
レイを降ろして立ち上がる。ただ、2人はまだ離れたくないみたい。ロゼは指を絡めてきてるし、レイは、後ろから背中にくっついてくる。
「ちょ、こんな姿人に見せられないからっ」
そう言って、何とか手は離してもらう。でも服の裾は掴まれたまま、諦めながら玄関を開けた。
「……よ、引越しおつかれ出雲くん」
「……え、美咲?」
そこには、俺の腐れ縁の女子の姿。格好は部屋着みたいなラフな感じで外から俺に会いに来た訳ではなさそうだ。というかコイツに部屋番伝えてないのになんで俺の部屋わかんの?
「え、なんでここにいんの?」
「なんでって、……あたし、君のお隣さんだもん」
美咲はピンクのパーカーの袖から伸びる指先で右隣の部屋を指さし、イタズラが成功した子供みたいに笑う。そういう事か。だから部屋を紹介してきたってことかい。
美咲は俺の顔を見て微笑み。
「………えへへ、びっくりしたでしょ?……ね、引越し祝い持ってきたから、あげてよ。………せっかくだし、ふたりで……一緒…に……」
「あ」
彼女の視線が、だんだんと俺の背後に向かうのがわかって……俺はこめかみを抑えた。
振り向くと、レイとロゼがじっと美咲のことを見つめている。
そして、美咲も、2人のことを呆然と見ていた。
「………ぇ…えっ、と……
………その子たちは、だれ?」
……………俺の推しですが?
これからのレイロゼと出雲くんの関係性の方針
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レイロゼの欲のままに、行くところまで行く
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日常話的な感じで緩ーく生活する