転生しちゃった…奈良最強さんに   作:ヴィクトリーロードは世界編を出してくれ

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初投稿です



転生しちゃった!

 静寂たる原野を駆け抜けているかのような気がした。

 何の音もなく、ただ縦横無尽に駆け巡る。

 終わりはなく、ただ走りぬく。

 向かい風はなく、追い風すらない。

 己の思うままにフィールドを駆け巡り、自由に動く。

自分がこの世界に流れを生み出し、すべてがそれに呼応して動く全能感に包まれる。

 

 

 しかして、次第に自らの肢体が炎に包まれ、何よりも速かった存在は次第に速度を落としてゆく。

そして最後には焦げる痛みにすら気付かずに、灰燼すら残さず燃え尽きるのだ。 

 

 

 

 

 

チュンチュン…チュンチュン…

 

 

 

 

 「っは!…はぁ、はぁ…」

 

 カーテンの隙間からさす陽光。まだ早朝と言ってもよい時刻だったが、太陽はすっかり昇っている。

 寝覚めはあまり良い物ではなかった。先ほどの()()の所為だ。

 急に目が覚めたせいか、目がしょぼしょぼして痛い。

 動きをやや鈍らせたまま、ベットから降りることになった。

 しかし、アラームは早めにかけていたにも関わらず、それよりも少し早く起きてしまった。

 体力的にも睡眠時間を増やした方が効率が良くなるのだが…

 

 

 

 最近、目を瞑ればいつもあの夢を見る。

 自分がどこまでも孤独に駆け抜けていき、最後は無に帰すという刹那的な、あの夢。

 心臓に手を当てると、鼓動が激しくなっているのを感じる。それほどまでに臨場感のあるものだった。

 体は覚えていないけれど、魂で記憶しているのだ。

 恐ろしい内容でもあるが、僕はどこか興奮を覚えているようだった。

 

 

 

 

 今まで感じなかったこの熱は何処から湧き上がってきたのだろう。

 まあ、自分でもわかっているが、恐らくはサッカーなのだろう。

 ボールを全力で蹴り、キープしながら走り抜く瞬間の高揚感は夢のそれに近しい。

 実際に、コートに出た時にアレを感じることができるんだろうか?

 故あってそう簡単に出来る事でもないが、学生のうちに味わってみたいものだと思う。

 

 

 

 

 

 そういった思考に現を抜かしていたところ、ふと忘れていた用事を思い出した。

 今日は朝特訓をする日だったのを思い出したからである。

 急いで身支度をし、我が中谷邸からひっそりと抜け出し、急いで練習場所に向かった。

 父親は忙しい人間なので、起こしてしまうと悪いからだ。

 また、その練習場は大してあまり遠くはないものの、別に急がなくとも良いのだが、これは学業との両立のために早めに切り上げておきたい。

 小学生だからとは言え、勉強内容はそこまで苦ではないものの、今の内に勉強習慣をつけないと中学生の時に大変、らしいと母さんに言われたので素直に従っている。

 無論、オフの日も作っている。オーバーワークになって故障してしまえば後が怖い。そもそも疲労骨折なんてこの年齢(トシ)でするものでもない。

 それもあって、大体、水曜日、土日を休みにしている。週休三日制とは素晴らしい物で、今日まで怪我無く続けられることができたのがその証拠。

 学校もそうしてくれればありがたいのだが…。

 これは高望みしすぎかな。

 

 

 そう考えているうちに特訓場所についた。

 お気に入りの特訓場所はシカ公園だ。

 家からも近いし、朝は人が少なく、うるさくない。

 そして何より、落ち着いた雰囲気がたまらない。

 自分が集中するためのコンディションが整えられるのを感じるのだ。

 ただ、シカが起きてしまわない様に、物音を立てる時は集中しなければならないのがネックだけれど…、そこまで気にしなくていい。

 騒音という騒音の出る特訓はしていない。朝っぱらからシュート練をするつもりはないし、そこまでやってしまったら、シカどころか人間から苦情が来てしまう。

 いつもそっちは放課後に回している。

 

 

 

 配置されているポールを活用し、ドリブル練習をしている間、ふと、中学に進んでからの事を考えてみることにした。

 奈良県には現状強い中学、というか強いチームすら存在しない。

 それは他の県にノウハウのあるコーチ、監督が行ってしまっていて、こっちに回ってこないという理由もあるが、一番はサッカーをするコミュニティが乏しいのである。

 当たり前だが、サッカーが好きな少年少女がいない、という訳ではない。前述の理由で集まったところで大したプレーができる訳もなく、出来て草野球ならぬ、草サッカー程度までしかいかない。

 そもそも、サッカーに興味を持っても、やる仲間が居なければサッカーは出来ない。だからこそ、サッカーに惚れてしまった人間は一人で特訓あるのみなのである。

 苦節9年、サッカーを始めたのは2年前くらいだが、花が開くと言える段階には来ていない。

 負けん気だけで続けてきたのだ。何とか実ってほしい物だ。

 

 

 

 今日のメニューは一般的な筋トレ、走り込みくらいだが、場所的にはそれくらいできれば十分だ。

 シカとサッカー出来ればもっとドリブルが鍛えられそうなのだけれど、シカが2足歩行してボールを奪う世界にでも行かなければ無理だろう。

 ロボットとかでもいいかもしれない。人間では考えられないような高度な戦略を立ててくるロボット監督と、人間じゃできないような超精密なプレーをしてくるようなロボット選手。それに交じって僕なりの最高のサッカーをやるのだ。

 もしくは、有名な選手が偶然やってきて、僕のために最適化された訓練メニューを考えてくれたり、過去から伝説の選手がやってきて、一緒にプレー出来たり……なんて、そんな馬鹿なことを考えるのはやめにしよう。

 

 

 

 そうしてメニューをこなし、公園の整備された部分を使って、走り込みをしている内に悲劇は起きたのである。

 走り出しは順調で、このまま特訓を終えるか、と思っていた頃。

 ゆっくりと減速しようとしたが、道の半ばにやや大きめの石ころが落ちていたのである。

 それに僕は気付かず、愚かにも体勢を崩してしまい、腕につけていた重りを振り落としてしまったのだ。

 凡そ500g程のコンパクトに纏まったブレスレット上の重りである。

 その重りは重力による加速を受け、放物線を描き、落下していったのだ。 

 そして、たまたま寝ていたシカの前足に直撃してしまったのである。

 

 シカは一気に目が覚め、数秒の間に事態を把握し、僕に襲い掛かってきたのだ。僕は自分のやらかしに気付いたものの、動揺して上手く逃げることができずに、シカの強烈なボディーブローを受けたのだ。そのまま自身の頭からゆっくりと倒れて行き、僕はシカさんごめん…と心の中で思って、めのまえがまっくらになったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハッと目が覚めると、時刻は既に開校時刻ギリギリだった。

 早めに家を出ただけあって、走れば間に合う位の時間だ。

 前を見ると、シカは既に落ち着きを取り戻しているようだった。

 また、自分の思ったよりもシカタックルによるダメージはなく、顔見知りのシカだった事もあって助かったのだろう。

 気絶はどちらかと言えば驚いて転倒した事によるものなのかもしれない。

 怒らせてしまったシカに謝罪をし、急いで学校へと向かった。

 幸い、いつも特訓後に直接学校に向かっているので、荷物は必要な分だけ持っている。

 そうして僕は重りをとりあえずシカ公園に置き、全力で走ったのだった。

 胸に抱いた若干の違和感を置いて…。

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン・・

 

 ギリギリ何とか間に合った……。

 そう思っているうちに先ほどの違和感について考えてみる。

 明らかに何か…今まで大事にしまっていたような、何か忘れていたことを思い出した感覚だ。

 すると、友人の紋間が声をかけてきた。不審な動きを見せていたからだろう。

 

 

 「おーい、中谷大丈夫か?いつもと違って変だぞ~。腹でも下したのか?もうすぐ1時間目始まっちゃうぞ〜」 

 

 「いや、別にそんなんじゃないよ……。」

 

 「じゃあいいんだけどさ。」

 

 どうやら、彼には心配を掛けさせてしまったらしい。

 自業自得なので申し訳ないな。

 折角、声を掛けてくれたものだから、僕は昨日TVで見たお笑い番組の話をしようとした。

 その時、紋間はこのようなことを急に言い出した。

 

 「そういや、お前サッカー好きだろ。

 ちょっと前にさ、フットボールフロンティアの中継やってたから見たんだけど、凄かったなあ。

 俺もやってみようかな~って思っちゃったよ。まあうちの地域じゃジュニアチームないし、今から始めるにしてもそんな詳しくないから、まともにプレー出来るかも分からないし……。

 後、もし中学でサッカー部に入って、でそのまま勝ち進んでも帝国学園に勝てるビジョンが……浮かばね〜。

 あそこまで極めれるのすごいよなぁ。」

 

 

 

「…?今、なんて?」

 

 

 

「いやだから、帝国強すぎじゃんって話。

 ほら()()()()。お前が前強いって教えてくれた学校。

 キーパーも無敗記録持ってるらしいし、何か良く分かんないオーラっぽいの出すし、挙句の果てにペンギンがどこからか生えてくるし、サッカーってあんなヤバいんだな~。

 大丈夫?…話聞いてる?」

 

 

 

 

 帝国、ペンギン、異常なサッカー、そして僕の名前の中谷真之。ようやくこの違和感について決着がついた。いや、ついてしまった。

 

 僕は超次元サッカーをするイナズマイレブンの世界に、中谷真之(奈良最強)になって転生したらしい。

 

 




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 紋間くんは完全なオリキャラではないです。一応奈良出身のステータス高めで技が渋いモブがいたので、その子を使いました。
 現状、各4シリーズから近畿地方の強豪校を片っ端から調べたのですが、あまり芳しくないです。手伝ってくれる方がもしいるのであれば協力して頂けると幸いです。
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