転生しちゃった…奈良最強さんに 作:ヴィクトリーロードは世界編を出してくれ
「真之~、朝よ~?」
「…ぅうん、もう朝か。起きてるよ、母さん。」
「あら、起きてたの。いつもよりは起きるの遅いじゃない?
まあ、ぐっすり眠れたなら良いのよ。」
普段より遅めに起きてしまった。
ただ、いつもより睡眠時間が多いおかげで、体調はすこぶる良い。
今後は早めに寝ておくのもいいかもしれない。
そう思った僕は布団から起き上がり、歯磨きをすることにした。
一日は細かい準備をすることで決まる、と思っている。だからこそ、妥協してはいけないのである。
シャカシャカと音を立てながら、僕はあることについて考える。
僕と原作の中谷くんはどういう関係なのだろうか、ということだ。
記憶を思い出す前の中谷くんは原作の人格で、そのままあのシカタックルの衝撃で人格が消え、今の自分の人格になったのか。
あるいは、そもそも転生してから原作の中谷くんという存在はなく、自分がずっとこの世界で生まれ育ち、偶々自分のいる世界と酷似したアニメ、ゲームを知っていた記憶を思い出したのか。
はたまた、自分はシカタックルのせいで頭がおかしくなり、変な認知を得たまま、傍から見れば気の狂った事をしようとしているのか。
等々、色々と考えは浮かんできた。
まあ、そんなことを考えてもキリがない。
そうこう考えていたら、朝のノルマが無事終わった。
時間もないので、そのまま学校に向かう事にするつもりだ。
今日は特訓はオフの日にしているのもあるし、起床が遅れてしまったので、今から特訓をしようにも中途半端になってしまうからである。
出来れば、そういうことはちゃんと纏まってやりたいタイプ、それが中谷真之こと僕なのだ。
さて、色々と時が経ち、既に太陽は南中し、燦々とした日差しが肌を焼く時刻になった。
一応、ゲーム内でも「かおがわるいわけではない」、と褒められている僕の美白イケメンフェイスを守るために、日焼け止めは既に塗っている。
これは転生を自覚する前からやっていたので、親の教育の賜物なのかもしれない。
改めて教室の周りを見回してみる。
レベルファイブの世界にいるだけあって、同じ小学生なのに大人並みの貫禄を持つ子、明らかに人間じゃなくて宇宙人とかだろ…みたいな見た目の子、こんな美人がこんな辺鄙な小学校にいていいのかって位の美貌を持つ子であったりと姿は様々だ。
自分が違う世界に来てしまったのがヒシヒシと感じられる。
昼休みは給食を食べ終わった子から先に遊べるシステムとなっているため、即座にご飯を食べて校庭に向かった。
ついでにおかわりをしたのは内緒だ。
何故そんなに急いでいるかと言うと、自分のスペックを確認しておきたいからである。
朝練はオフにしたが、サッカーをしないとは言っていないのだ。
やはり記憶にあるだけの情報と、実際に体験する情報には大きな差がある。そこを埋めるためにも、早めに調べて置きたい。
昨日の内に確認しておいたが、うちの倉庫にはゴールポストが置いてある。それを活用すればちょっとは前進するだろう。
まずは超次元じゃない一般的なサッカーだ。
検証するのは、ドリブルとキック。
ドリブルは缶コーヒーの缶を置いて、ボールをキープ出来るか確かめる。
ボールを蹴り上げないようにゆっくりとキープし、ボールを止めるところはビタっと止め、遠心力を利用して身体を加速させる、といった感じでスルッと出来た。
自分で言うのも何だが、やはり上手い。まだ精神と肉体の齟齬があるのか、思うように行かない瞬間もあるが、まあ上出来と言っていいだろう。
キックは、倉庫から出したゴールポストに向かってボールを10回蹴ることで検証する。
ゴールポスト内のどこのエリアに蹴るのかを決め、全身を使うように動き、全神経をボールに触れる右足に集中させて蹴り上げる。
なんと、10球中8球は狙い通りの場所に蹴ることができた。
小学生でこれ程出来るなんて最強だな、風呂食ってくるガハハ
なんて気を抜いてやれる程楽じゃない。
本チャンの中学サッカーをやるまで、後3年ほどしかないのである。
充分時間はあるんじゃないの?という疑問も生まれるだろうが、そもそも、自分の目指す場所はFFIで活躍することなのだ。
自分が自分を完璧に操れるようになるまで、そして縁故採用をしてくれるようにコミュ力を上げることが最重要なのだ!
……最後は余計だったかもしれないが!
身体は丁度良く温まってきた。
そろそろ、必殺技を確認したい…のだが、今の自分はまだ
普通じゃありえない跳躍力で飛び、そこからシュートするであったり、オーラ的な物を出してシュートするなんて一般的な想像力を持つ自分にはまだ厳しい。
明後日の方向に行ってしまったり、これ明らかに普通に蹴ったほうが決まりそうだな…、とつい思ってしまう位の威力しか出ないのである。
色々と頑張ってみたはものの、如何せん超次元サッカーの領域に踏み入れられる気がしない。
絶対に前世基準であれば天才サッカー少年の屋号を得られる位には上位層になっている。
勿論、この世界でもサッカーをしていない人であったり、何となくサッカーをしている人に比べれば、上手い……のだが、青天井すぎて話にならない。
うーん、行き詰まったか……?
いや、まだそう断じるには早いだろう。
必殺技を打とうと策を弄している内に、校庭で遊んでいた他の子達はぽつぽつと校舎に帰っているようだ。
流石にこれ以上やっていると遅刻してしまう。
取り敢えず、必殺技については後で考えようと思い、教室に向かうことにした。
急いで片付けをし、廊下を走っていると、ドスンとぶつかってしまった。
昨日のシカタックルの再放送をしてしまったか。
流石に、シカと小学生ではシカの方が強いに決まっているので、そんなに痛みは感じなかった。
ただ、相手は痛がっているようだ。
それは当たり前で、普通はぶつかったらありえない程痛いし、それが小学生であれば、その場で泣いて先生を呼ぶくらいはしそうなものである。
しかし、目の前の少年はそうはしなかった。
痛みを堪え、くぅ、と声を漏らしながら、キリッ!と僕の方を一瞥すると、ささっと教室に入っていった。
なんという美少年なのか…サラサラとした髪に、整った顔立ち、男の自分でも見惚れてしまった。
油断していると、いつの間にかチャイムが鳴り始めたので、急いで教室に駆け込む。
「きりーつ、気を付け、礼!」
ギリギリ号令がかかる前だった…セーフ。
昼は必殺技を決められずに悔しい思いをしたので、シカ公園に向かった。
完全にオフの日とかじゃない!っていう事実は内緒。
シカ公園近くの階下、コンクリートに向かってシュートを繰り返していた。
シュッ ぎゅい〜〜〜〜ん スカッ
キュッ グググググ スカッ
かれこれ数時間経つものの、一向に決まらない。丸でループ再生を繰り返しているようである。
しっくり来る感というか、これが必殺技だー!っとなるようなビビッと来る感覚が中々起きない。
「うーん、どうしたら威力を高められるんだ…?
そもそも、やろうとしていることが全く違うのかなぁ…」
うーん、うーんと首を傾げながらボールを蹴っていると声を掛けられた。
「あれ?君はさっきの…」
例の美少年だ。髪が金と茶色のツートンカラーと何とも奇抜で浮世離れしている。何故か声が聞き覚えがあるような…?
「昼休み、ぶつかっちゃったよね。ごめん。」
「そういや、謝罪は貰ってなかったね。
別に、そんな事はいいんだ。アレは俺も悪かったから。
それより、今やってるのってサッカーだよね?
こんなところでシュート練習するなんて…他にやる場所ないの?」
無知なのか何なのか…おかしなことを聞かれたので素直に答える。
「そうだよ。ここら辺の地域には、サッカークラブどころか同好会もないからね……
サッカーをやるには一人で頑張るしかないんだ……」
「ふーん。
俺はさ、最近引っ越してきたばかりだから、その辺に疎いんだよね。
良かったら色々教えてくれない?」
道理で彼のことを知らなかった訳だ。
流石の僕でも同学年の顔くらいはしっかり覚えている。前の記憶が完璧に消えている訳でもないからね。
に、しても……やはり聞き覚えがある声だ。イナズマイレブンの世界では聞き馴染みのある声。具体的に言えば……吹雪士郎っぽいような……。
身も蓋もない事を言うなら、CV宮野◯守だ。
「あ、そうそう!
サッカー俺もやってるんだよ!
一緒にやらないかい?」
「そう言ってくれるのは嬉しいね。
僕も練習相手がいないから困ってたんだよ……!」
「じゃあ、決まりだ。
今日はもう遅いからさ、明日付き合うよ。」
とんとん拍子でコトが進んでいった。
実際、必殺技を編み出すにも、一人じゃ限界がある。しっかりとサッカーに興味があり、やる気も十分な彼が居れば道が拓けてくるだろう。
「ところで、こう約束を取り付けたはいいものの、君の名前を聞いてなかったよ。
教えてくれるかい?」
「ああ、僕の名前は中谷真之。そっちは?」
「俺の名前は乙女仙次郎って言うんだ。
苗字が乙女って珍しいよね〜、聞いたことないでしょ。」
その後、お互いに自己紹介をして、サッカーについて語り合った。
話を聞く所、FW志望の様子だ。
僕もFWをするつもりだから、ライバルが出来たような感じがして、今後がより楽しみとなったのである。
そうして家に帰り、夕食を食べている頃だったか。
♪GOD BULL翼を授ける〜♪
TVでは丁度番組が中断し、CM中であった時である。
「そういや、真之。あんた、最近引っ越してきた乙女さん家の子が同じ小学校通ってるらしいじゃない。もう会ったかしら?」
「ちょうど今日あったよ。僕と同じでサッカー好きで、意気投合しちゃったんだよね~」
「意外と相性良いのね~。仲良くやるのよ~」
わかった、と言い箸を進める。
そう言えば、乙女という苗字は既視感がある。自分がイナズマイレブンのキャラクターであると気づいた時のような感覚と同じだ。
あっ、と声を上げると、既視感の正体に気づく。
何故気づかなかったのか…。恐らく、世代が違うから意識の外にあったのだろう。
何を隠そう、彼は数十年後、常勝となった王者雷門中のサッカー部監督、
お気に入り登録、評価ありがとうございます。
とうとう原作キャラが出ましたね……。
まだ英雄たちのヴィクトリーロードが出たばかりですが、一部ネタバレ的な要素があるかもしれません。
今の所、乙女監督の若いころを書いている方は見受けなかったので、我先にと書かせていただきました。
新規キャラなので、別にどの地域で育とうが関係ない筈なんや…!