転生しちゃった…奈良最強さんに   作:ヴィクトリーロードは世界編を出してくれ

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更新が遅れてしまい申し訳ございません。
当方やや忙しい時期でして、毎日更新を心掛けているのですが時間が掛かってしてしまいました。
その分、頑張りましたので、是非楽しんで頂けると幸いです。


乙女仙次郎という男

 「ウーン、なんで必殺技出ないんだろうな…」

 

 「確かにね、君の練習量からしても、明らかに1個ぐらいは自然に出せそうなものではあるけど…

 イメージはあるんだろ?」

 

 「うん…。こう、高く跳躍して、そのエネルギーを踵に全部注いで打ち込む…、みたいな?」

 

 「そこまで出来てるなら何故出ないんだろう…?

 俺もまだまだ素人みたいなもんだけど、雛形みたいなものは2、3はあるぞ…。

 多分……、酷な事を言うけど、気の使い方がそこら辺の素人よりへたくそなんじゃないかな……。」

 

 

 今日は日曜日、ほぼ全員の人間にとって至福の日である。サラリーマンは自らの仕事を終え、学生は平日勉強を頑張ってきたご褒美として存在する日曜日。

 その休日の時間を朝からある一人の少年と一緒に過ごしている僕こそが将来の奈良最強こと、中谷真之である。

 一緒にいるこの前髪と後ろで2つの髪色に分かれた、独特な雰囲気を纏った少年、乙女仙次郎と出会って数週間、彼と放課後になると一緒にシュート練、一対一のドリブル特訓などをしている。

 奈良県というサッカー後進県ではまともなサッカープレイヤーがいなかったことを考えると、今この時期に同志が、しかも同じフォワードというポジションの人間が増えたのは純粋にうれしい。

 

 その中でこの乙女仙次郎という男。

 彼は円堂守の息子である円堂ハルのライバル、園崎アイルの父親であり、作中の王者雷門での陰謀は全てこの男が仕組んだものだ。

 理由はまあ納得のものであるため、同情の余地はあるタイプだ。

 そもそも、帝国学園の影山やエイリア学園の吉良と比べればやっている事はみみっちく、息子が乙女という苗字じゃない時点で、相当お労しい事になっている。

 彼と出会えたのは元からそうだったのか、或いは僕の転生によるバタフライエフェクトで出会ったのかは分からないが、出来るだけそんな風な愚行を犯さないように、今のうちに矯正していきたい所存だ。

 

 

 2人でサッカーボールをコンクリ壁にシュートし、それを繰り返す。

 お互いのフォームのおかしいところを指摘しあい、実際のボールの取り合いの練習が出来るようになったのはかなりデカい。

 この色々と上向いている状況下、僕の頭を悩ますのは、必殺技が出せない事だ。

 必ず殺す技と書いて必殺技。

 この字の通り、鉄壁のディフェンス、堅牢なキーパーを破るための決定打となるシュート技を獲得するのは、ほぼマストと言っても過言ではないだろう。

 そもそも、相手も必殺技でシュートの威力を減衰させたり、必殺技でシュートを止めたりする世界なのだ。

 それがないとお話にならない。

 良くてベンチ行き確実、下手すれば試合にすら出られないだろう。

 

 そんな超必須の技術を使う大前提の概念、「気」が僕を困らせているのである。

 何だ、気って。ドラ〇ンボールなんですか?舞空術みたいな技もあるしドラ〇ンボールなのかも…(白目)

 なんと、この概念は唐突に出てきた設定ではない。

 我らが主人公オブ主人公、円堂守さんの作品内の活躍の源流となる技である、あのゴッドハンドも気を右手に集約させる技である。

 さも当たり前のように作中の人間は使っているものの、実際は何が何だか分からない。

 

 ほら、別に難しくはないだろ、とけろっとした表情で、炎やら氷みたいなエフェクトがぼんやり出ているシュートを放つ仙次郎。

 現代日本の精神を宿している僕にとって、自分のやっているサッカーの延長線上にアレがあるとは、到底思えないのである。

 脳内で「厳しいって、勝てないって」とほざくメンズコーチ〇ョージがつい浮かんできた。

 無理もないだろう。サッカーでてっぺんを取る、と息巻いた矢先にこの様である。穴があったら入りたいとはこのことだ。

 

 「絶対に筋は悪くないし、明らかに必殺技以外は出来てるから、時間の問題だとは思うんだけどね。

 多分、後一手が足りないのかも。

 火事場の馬鹿力、なんて言葉もあるくらいだし、逆境を前にして土壇場で出す、なんて状況にしないと枷を破れない域に来ているんじゃないかな。」

 

 「そうだね……、じゃあいったん後回しにしてみるのもありなのか……。

 折角、上手くいきそうだったんだけどなぁ……。」

 

 「フフ…そういうものさ、サッカーってものは。

 必ず耐えればサッカーは答えてくれるよ……。」

 

 「そういうものなのかな?

 じゃあ、お言葉に甘えるようにするよ。」

 

 

 そのまま、シュート練習とドリブル練習に励んで数時間、既に3時を過ぎたころ、僕と仙次郎は休憩をしに、僕の家によることになった。

 友達を家に呼ぶことなんて滅多にないことだったのが、彼と出会ってからは親子ともども仲良くしている。

 自分の精神年齢は一回り上だからこそ、大人びている彼の性格は非常に話しやすく、これまでの記憶の中でも、一番親しい人間の部類に入っているのである。

 

 「お邪魔しまーす。」

 

 「あら、いらっしゃい仙次郎くん。ゆっくりしていくのよ~

 そろそろおやつの時間かしら。

 真之、戸棚にあるから取って行ってね。」

 

 「分かった、母さん。」

 

 お菓子を持ち、そのまま自分の部屋に上がった。

 ちなみに、今日のおやつはポッキーと煎餅である。

 

 「いつもわざわざ上がらせてもらってすまないね。

 で、例の計画は進んでいるのかい?」

 

 「フッ、仙次郎さん。しっかり進んでいますよグヘヘ」

 

 そう悪ふざけをしている僕ら二人。実際、僕らがやるつもりの計画があるのだ。

 それは、地元にサッカーチームを作るのである。

 前述したとおり、奈良はサッカー後進県、お遊戯サッカーチームすらない絶望的な状況だ。

 だからこそ、奈良にいるサッカーをしたい少年の集まる場として、サッカーチームを作ることは急務だ。

 

 「場所は決まったのかい?」

 

 「先週、父さんに頼んで調べてみたんだけど、たまたま近くに何も使われていないサッカーができるくらいの空き地があったんだよ。

 普段は社会人有志の陸上クラブとか、外で講演会をする時とかに使われているらしくて、町会に申請を出せば使えるらしいよ。」

 

 「それは良い!

 後はメンバーと指導者かな。

 うちの小学校はバスケとかの方が人気だから、意外と人集まらなそうなのがネックだね。

 後一年くらいでミニサッカーができるくらいのメンバーは集めきりたいけど……。」

 

 「メンバーは頑張れば集まりそうだけど、コーチはね~。

 乙女の前住んでた所のコーチ呼ぶわけにはいかないし……。どうするべきなのかな。」

 

 中学に入ってから考えろよ、というのはなしだ。

 純粋に人を集める屋号としてチームがあるというのは強い。

 それで強いプレイヤーが発掘できるかもしれないし、自分の中学でも対戦相手が出来るというのはかなりアドだ。

 それだけでなく、一つチームが生まれれば、今までチームを作っていなかった奈良の他の地域の人も作りやすくなるし、そうなれば奈良全体にサッカーを頑張ろうとするムーブメントを起こせる。

 仙次郎と僕はそれを狙っているのだ。

 

 「そっか、前のチームがあったか……!

 それでいうと、あの人に連絡してみよう。

 ……、あまり気は進まないが、計画のためには仕方ない。連絡してみるよ。」

 

 そうつぶやくと、おもむろに携帯電話を出し、メールを打ち始める。言うまでもなく、ガラケーである。

 かちかちとボタンを押し、送信ボタンを押すと、彼はその人物に連絡を取らなかった理由を言い始めた。

 

 「その人はあの伝説のイナズマジャパンの選手なんだけどね、来てくれるかどうかわからないんだ。

 まあ、全員地元にいるくらい中の良いチームだから当たり前何だけどね。

 だから、あの人の知ってる中で都合のつく方がいるか聞いて見る。」

 

 伝説のイナズマイレブンと繋がりがあるらしい。

 素直に驚いた。

 というか、稲妻町出身だったのか、乙女仙次郎は。

 四十数年後、雷門の監督をやるだけあってそういう繋がりがあるらしい。

 

 「あの、伝説のイナズマイレブンだって…⁉

 そんな人が居れば百人力だよ。どうしてそんな事実を教えてくれなかったんだい?」

 

 「言ったでしょ……。気が進まないって。

 今も忙しいらしいし、あんまり頼るものでもないからね。。」

 

 そう言えば、伝説のイナズマイレブンとはなんぞや?という人もいるだろうから説明しよう。

 伝説のイナズマイレブンとは、今から四十年前くらいに、当時の中学サッカーを席巻していた雷門中のサッカー部の事だ。

 監督はあの円堂守のおじいちゃん、円堂大輔。

 それだけで、絶対強いなとわかる布陣である。

 

 「それで、その人の名前は?」

 

 「会田力って人だ。」

 

 なんと、会田さんだったらしい。

 彼は円堂守の地元の稲妻KFCというサッカークラブの監督である。

 日本サッカー界を牛耳る巨悪、影山零治に屈さず、サッカーを愛している所を見るに相当なサッカーバカと言っていいだろう。

 

 「なんだって!?僕でも知ってるぞ!?

 そんな人と関わりがあったんだな…。」

 

 「意外かい?

 多分、真之の必殺技習得の鍵にもなりそうだし、頑張って見るさ。」

 

 そうこうしていたらもう5時である。

 仙次郎は門限だと言うので帰っていった。

 僕はそのまま流れるように就寝した。

 

 

 

 【翌日、学校にて】

 2時間目の後の中休み、その間に仙次郎が教室に来た。

 昨日のメールの返事が帰ってきたようである。

 

 「結局どうだった?

 話が着いたのなら嬉しいけど。」

 

 「まあ、上手く行ったよ。

 当たり前だけど、会田さんは来なかったけどね。

 最近出会った知り合いが暇してるらしくて、奈良まで来てくれるらしい。」

 

 「成る程ね〜。楽しみだな〜!

 どういう人が来るんだろう…。」

 

 「そうだね。

 会田さんが推薦したんだ。

 よっぽどでもない限り、変な人は来るはずないよ。」

 

 「まっさかねえ〜。そんな事はないよ。

 きっと凄い人が来てくれるんだよ。」

 

 ハハ、ハハハハと呑気に談笑する僕らは知らなかった。

 大ハズレの監督が来るなんて…。




【次回予告】
 サッカークラブを建てる目処が着いた中谷真之と乙女仙次郎。
 全てが順調かのように思われたが、クセだらけの絶対に来てほしくないような監督が奈良に襲来してしまう。
 2人は彼を前にして平常心を保つことが出来るのか?
 「フッフッフッ、ワタシの名前は…」

 次回「超変人、趙金雲襲来」
 次回もゼッテー見てくれよな!

 
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