転生しちゃった…奈良最強さんに   作:ヴィクトリーロードは世界編を出してくれ

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等々狂言回したる趙金雲が奈良に到着…。
一体どうなっていくのか。是非楽しんで頂けると幸いです。


超変人、趙金雲襲来

 今日は夏らしい天気で、気候は雲一つない快晴。

 強い日差しが降り注ぎ、気に留まった蝉達はうるさいくらいにミンミンジリジリと鳴いている。

 そんな中、二人の少年が門の前である人を待っていた。

 その二人とは雷門の将来の監督、乙女仙次郎と将来の奈良最強となる僕、中谷真之である。

 

 「いやー、もう会田さんが紹介してくれた例の人が来るのか。

 意外と早いもんだね。」

 

 「ああ、一応サッカーは上手いらしいけど、詳しい事は聞いてないよ。

 サプライズって感じかな?仲良くやれるといいんだけどね。」

 

 連絡が来ておよそ1週間。僕たちは会田さんからの連絡で、監督をやってくれるらしい人と奈良TV前で待ち合わせすることとなった。

 曰く、気の良い人らしく、見た目は辮髪、小太りの中国人の方らしい。功夫が得意とも聞いた。

 

 功夫と言えば中国武術の一種で、色々と技を使ったり、気を使う武術として創作物で描かれがちだ。

 もしかしたら、気の扱い方も上手くなるかもしれないと思い、そう期待を膨らましていた僕たちだったのである。

 奈良TVはこういう地方のテレビ局にしては珍しく、しっかりとした防壁のある無駄に防御性の高いテレビ局だ。

 しかも、警備員さんが居るので気軽に入る事は出来ない。

 大した秘密でもある訳でもないし、どうしてこんなに無駄の多い構造なんだ…。

 

 

 

 「あー、もうまだ来ないのかな?

 結構暑くなったし、早いところクーラーの効いたところにでも行きたいんだけどな~。」

 

 「そうは言っても、奈良TVの社内は気安く入れる訳じゃないし。

 後、曇りガラスでお互いに発見できないし…。

 大人しく待ってるのが得策だよね。」

 

 

 しょうがないか、と僕は言い、そのまま待つことにした。

 十分、二十分、三十分と待ったが一向にそれらしき人物は来ない。

 予定していた時刻からは大分過ぎているのにだ。

 ただ、時間は過ぎるのを待つだけ。

 目の前のクルマが行き来する光景しか見えない。変化がない。

 なぜ監督は来ないんだ。会田さんの紹介だから、とてつもなくだらしない人が来るわけはない。きっと何かあったのだろう。

 しかし、待てば待つほど、空気のジメジメとした暑さにやられそうになる。汗が止まらず、持って来ていた水も飲み切ってしまった。

 

 隣を見ると、仙次郎はすでに参ってしまったのか、顔がやや紅潮し、足がしびれたのか地面にへたり込んでいる。

 流石にまずいと思い、一度帰宅を提案してみたが、

 

 「もう少ししたらくる、絶対に来るはずなんだ。」

 

 と、意地を張って聞かなかったので、せめて飲み物をおごることにした。

 もとはと言えば、この計画を提案したのは僕だし、僕一人だけ立って熱中症でもう一人は休みですなんて洒落にならない。

 小学生の百数円は通常よりもかなり貴重なものだが、背に腹は代えられない。

 仙次郎はふらふらな状態で立ち上がり、申し訳なさそうにスポドリ900mLを要求してきた。

 …流石に600mLで我慢してくれと思ったのは内緒だ。

 

 

 若干のひもじさを感じつつ、そのまま駆け足で正面のコンビニに向かった。

 ちなみに、他の建物はふつうのビル群なので、どうしてここだけ和風なのかと市長に問い合わせたくなる。

 奈良の景観を考えてくれるのなら、一つの建物だけそれっぽくするだけじゃ意味ないのにさ…。

 

 

 そうして、コンビニの中に立ち入ったのだが、飲み物コーナーを通りたいのに立ち読みしている男が邪魔で通れないことに気づいた。

 このコンビニはオフィス街特有の小スペースで何とかしているコンビニで、通りは一方通行。

 もっと広いコンビニもちょっと離れた所にあるのだが、いつも割かし混んでいて、こちらは逆に狭い分、普段は空いているのだ。

 だから、今日もこのコンビニを使ったのだが、その判断が仇となったか…。

 

 よくよく見ればこの男、中々の巨漢だが、こちとらそんな人に怯えてUターンする気はない。そんなことしたら仙次郎が熱中症で倒れてしまう。

 堂々とその男の側面に立ち、立ち読みを止めて貰おうとする旨を伝えようとした。

 

 「あの、すみません。どいて貰いませんか。通れないんです。」

 

 「あ~、立ち読み中は邪魔しないで貰えます?」

 

 男は読んでいたグラビア雑誌を閉じ、眉をひそめながら自分の方へ体を向け、自分が立ち読みというこのコンビニにおいて悪質行為をしている自覚があるのか、もしくは開き直ったのかそんなことを言った。

 説得は難しそうだし、ここは無理やり押し通るかと思い、改めて彼の方を見ると、何か見覚えがある。

 謎の赤い道着、でっぷりと太った腹、程よい長さに切り揃えられた顎髭、細くまとめられた触角みたいな口ひげ、そして辮髪。

 『イナズマイレブン アレスの天秤 オリオンの刻印』に登場する趙金雲とそっくりなのだ。

 なぜこんなところに彼が居るのか、理解は出来なかったがそれはそれ。

 このまま突っ立ったままでいると仙次郎が危ないので、無理やり押しのけてスポドリ二本を購入し、足早に仙次郎の元へ向かった。

 

 「ふー、もしやあの子ですか…。」

 

 

 

 

 

 

 「仙次郎!買って来たよ!」

 

 「中谷…。ありがとう…。」

 

 仙次郎はウキウキでスポドリを開け、ごくごくと飲んだ。

 よほど喉が渇いていたんだろう。いい飲みっぷりだ。

 次第に意識がはっきりしてきたのか、頬の照りが収まっていた。無事熱中症は回避できてそうだ。

 

 「そう言えば、今、仙次郎って…。」

 

 「あ?…あぁ、名前で行っちゃったか!?

 馴れ馴れしかったかなぁ、訂正するよ…。」

 

 「いや、いいよ。

 というかここまで付き合って苗字で呼び合うのも変だし、そろそろ名前で呼び合おうよ。

 …ねえ、真之?」

 

 「そ、そうだね。

 じゃあ、これからは仙次郎って呼ぶよ。

 よろしく、仙次郎!」

 

 「ああ!…しかし、結局まだ来ないね。例の監督。」

 

 「確かに、もう一回会田さんに確認してもらおう。手違いがあったかもしれな「そーの必要はないですよぉ。」…!!」

 

 急に声をかけられた。全く気付かず、僕ら二人はどちらも動揺していた。

 ふと気づけば、先ほど出会った趙金雲が真正面にいたのだ。

 気の扱いがドへたくその僕は置いておいて、ある程度使える仙次郎が気配を読めないなんてなんて奴だ…!

 しかも先ほどの雑誌が右手に掛けているコンビニ袋の中に見える。どんだけ読みたかったんだ…。

 思考を整理しつつ、もしや…と思う。

 それが合っているのならば、なぜ彼がここにいるのか説明がつくと思い、おっかなびっくりで趙金雲に質問する。

 

 「あのー…、つかぬ事をお聞きしますが、もしかして僕らの監督をやってくれるという…?」

 

 「えぇ!ワタシこそが困り果てた君たちのきゅ~せぇっしゅ!、天才カントクの趙金雲です!」

 

 「なんと、そうだったのか!」

 

 「一切いることを感知できなかったなんて…すごい監督だ!

 おいお前も挨拶するんだ、真之!」

 

 「ああ、ごめん。

 ◯◯小学校3年の中谷真之と言います!よろしくお願いします!」

 

 「同じく、◯◯小学校3年乙女仙次郎と申します!よろしくお願いします!」

 

 「ああ、よろしくね。」

 

 「…ってあれ?」

 

 仙次郎は趙金雲の底知れぬ実力に感嘆し、何故か唖然としている僕の頭を掴んで一緒にお辞儀をさせられた。

 早くも敬意を抱こうとしていたようだ。自分の恩師たる会田さんからの推薦もあって非常に高感度は高いだろう。

 が、右手のコンビニ袋の中身が気になったようで、中が入っているか見ようとお辞儀をしたままちょっと背伸びをしていたが、見えてしまったのか、少しキョトンとした顔になった。

 そして、スポドリを飲む前と同じ位に顔が紅潮し、キュ〜と音を出して倒れてしまった。

 驚いたことに、思ったより仙次郎は初心だったのだ────。

 

 

 

 

 「おーい仙次郎。おーい…お!

 漸く意識が戻ったか。

 熱中症になっちゃったのかと思ったよ。」

 

 「全くです。

 まだ挨拶しかしてないのですから、こんな適当な感じでやるつもりは毛頭ありましぇ〜んよ。

 次からは、乙女くんに刺激の多いものはなるべく近づけないようにしましょうか…。」

 

 「あれ、俺何してたっけ。ごめん…気絶してたみたいだ。

 心配かけさせてごめんね。真之、金雲監督。」

 

 「いや、この件に関しては監督が悪いよ。気にしなくていい。」

 

 

 仙次郎の意識が戻った。およそ3分ほどだったが冷や汗をかかされた。

 趙金雲を肘でつつく。

 流石にふざけまくる彼でも今がどういう場面かわかっているようで、場を弁え、ひっそりと本を仙次郎の見えない所に置いた。

 もし倒れられたら申し訳なさで死んでしまう。

 勿論、多分グラビアを熱心に読んでたコイツも一緒に死んでもらうが。

 やや恨みの篭もった視線を趙金雲に向けると、それを知って知らずか話をし始めた。

 

 「コホン…!

 乙女くんの意識が戻ったことで、今後の方針について話しましょう。

 …ただ、選手は聞いていた通り2人しかいないのが残念ですねえ〜。

 そういうのは貴方方が頑張ってから、ワタシを呼んで貰いたいものですが…今回は良いでしょう。まだ小学生ですし、そこまで厳しいことを要求するつもりもありませんしね。

 と、言うことで、作戦を持ってきましたよ〜。」

 

 捲し立てる勢いで自分の主張を言う趙金雲。

 ただ、小学生には慈悲があるのか、ちゃんと大人な対応をしてくれている。

 これが中学生となったらまともに話をせず、ゲーム片手間に色々言われるかと思うと戦々恐々としてしまう。

 

 「作戦?作戦って何ですか?」

 

 仙次郎がそう問いかける。自分もそれは気になっていた所だ。

 この県はサッカー愛に溢れた少年は基本合わないように作られているのか、知り合いに片っ端から声を掛けても無碍にされてしまう。

 仙次郎と僕が会えたのがまるで奇跡のようである。

 趙金雲は見てくれは信用ならないものの、中身は相当に優れた指示役だ。

 現状を打破する素晴らしい策を考えついてくれるだろう。

 …ただ、変な内容をやらされることはほぼ確定と言っていいだろうが…。

 

 「聞いちゃう?聞いちゃいますか?当ててみて貰っても構いませんよ〜♪」

 

 「…いや、それはいいです…。」

 

 「そうですか、勿体ないですねえ。

 では言っちゃいましょうか、今回のクラブメンバー集めの秘策。

 その名も!あの声で蜥蜴食らうか時鳥*1大作戦!」

 

 ドンドンパフパフと持っていたパフパフラッパをいじって効果音を付け足す趙金雲。どこから持ってきたのだろうか。

 原作通り、聞くだけでは全く分からない作戦名だ。

 一体どういう作戦なのだろうか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 「中谷くん、乙女くん、良いですか?

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 「「えぇ~!!!!」」

 

 「しかも女装です♪」

 

 どうやら、この人とんでもないハズレ監督みたいだ…。

*1
(あのこえで とかげくらうか ほととぎす) 意味:物事は外見や表面だけでは判断できない




 【次回予告】
 遂に新監督趙金雲と出会った中谷真之と乙女仙次郎。
 サッカーをやろうとしていたのにも関わらず、何故かアイドルをやることになってしまう。
 しかも女装なんて、小学生になんて倒錯した趣味を教え込むつもりなんだ趙金雲!!ちょっとアブないゾ!!
 
 「キャ〜!!仙子ちゃんこっち向いて〜!!」
 「真ちゃん、好きだ───!!」

 僕ら大丈夫なの?
 次回
 「アイドルマ◯ター♂、趙金雲の真意」
 次回もゼッテー見てくれよな!

 
 

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