転生しちゃった…奈良最強さんに   作:ヴィクトリーロードは世界編を出してくれ

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ショタに女装をさせて楽しむ変人、それがワシじゃ。
本編を是非お楽しみくださいませ。


アイドルマ◯ター♂、趙金雲の真意

 会田さんに紹介された趙金雲監督と出会って数日、僕らはサッカーをする筈が、何故かダンスの練習をさせられていた。

 動きが激しめで、静と動がはっきり分かれているタイプの奴である。

 それだけならなにも文句はないのだが、女装をさせられているのだ。意味が分からない。

 例の作戦を伝えられてすぐにレンタルスペースへ直行、即座に衣服を着替えさせられ、趙金雲のお手本通りに音源に合わせて踊るといった経緯だ。

 現在のコーデはアキバ系のメイド衣装。フリルがついて、色は濃青色の、可愛い女の子が来てそうなお洋服…恥ずかしすぎる。

 

 趙金雲曰く、

 「キミたちには、このスペースにいる間、中谷真之であること、乙女仙次郎であることを辞めてもらいまーす♪拒否権はないので理解してくださいね。」

 だとか、僕らは一人のアイドルとして変身するらしい。

 僕は、「中谷真之」ではなく、甘党の妹系アイドル「真(まこと)」として。

 仙次郎は、「乙女仙次郎」ではなく、ワイルド生意気系アイドル「仙子(せんこ)」として。

 このレッスンを乗り越えねばならないのである。

 寝る前はウォークマンに落としたほぼ洗脳と言っていい設定集が朗読された音声を聞かされているため、ふとした瞬間、マコトの人格があるかのように錯覚したという経験は数度ある。

 

 

 原作知識があるから、まともに指導してもらえるものだとは思ってなかったが、まさかサッカーやトレーニングをせず、このような屈辱的な行為をしなければならないなんて想像がつかなかった。

 

 しかし、趙金雲は有能な監督だ。いくらおふざけしていても、決して無意味なことはしない。(本人の趣味嗜好が無駄に混ぜられていそうではあるけど…)

 さらに恐ろしいことに、スカートの下は縞パンツを履かせられた為、足元がスース―するだけでなく、それが親に見て欲しくない光景を作り出しているのだ。

 

 

 

 僕はこの拷問とでも言えるまだ抵抗感があり、動きがやや鈍くなっている。

 普段着ているTシャツとは違い、身体の可動域が狭くなっているのもその一因だ。こういうのはレッスン着のようなものを使うのではなかったのか?

 もしや、レンタルスペースのレンタル代で予算オーバーになった訳でもないだろう。違うよな…。

 

 

 

 一方、仙次郎は仙子であることを受け入れたのか、ダンス中の表情づくりまで自主的にしている。

 彼はこういうノリを嫌がらない人種ではあるものの、流石に最初の数時間は嫌そうに踊っていた。

 途中で、趙金雲に文句も言っていた。羞恥心からか顔も赤くなっていたし。

 しかし、次第に現状を受け入れたのか、はたまた抵抗する行為の無意味さからか諦めたのか。

 今はまるでゾーンにでも入ったのかのようで、若干目がキマっちゃってる状態でダンスをしている。

 

 「仙次郎。見るからに疲れてそうだよ。そろそろ休憩しよう。」

 

 僕のそろそろ休まないかという提案に対し、

 

 「誰だよ、仙次郎って。私は仙子だぞ~♪あんまり変なこと言ってるとオシオキしちゃうぞ♡」

 

 と、既に壊れてしまったことが容易に推察できる回答が返ってくる。既に乗っ取られたようだ。僕も真之である時間はそう遠くないのかもしれない…。

 

 

 

 

 

 そう現実逃避めいたものに考えを巡らせていると、ちょうど休憩中だからなのか、趙金雲が話しかけてきた。

 

 「真さ~ん♡そろそろ慣れましたか?

 出来れば、早く自分がアイドルであると自己催眠して貰うと良いんですが…。

 文句もあるでしょうが、仙次郎君が仙子であることに違和感を持たない様になってきたので、作戦を次のステップに進めたいと思いま~す。

 様子を見るに、真之君ももうすぐと言った所ですし。」

 

 「ハーイ、分かりました♡何のためにアイドルになったか説明してね。」

 

 「…。(あまりの入り込み具合に茫然としている様)」

 

 「おおっ、いいですねぇ。ちゃんと返事が出来る人は良い子ですよ。

 では、次にあなたたちにして頂くこと、それは一週間後、デパートにて公演をして頂くことです。

 勿論、既にあちら側の予定は抑えてあるので、キャンセルとかは出来ませーん。

 というか、君たちが練習している間に、ビラをあちこちに撒いておいたので引くに引けない状況ですよぉ。頑張って下さい。」

 

 「よーし!漸くそれっぽいこと出来るね!一緒に頑張ろう、真ちゃん♡」

 

 「…。(とんでもない事をさせられることに絶望している様)」

 

 

 

 

 

 

 【in デパートのイベントスペース】

 

 時が経つのは早い物で、一週間後。既に人はそこそこ集まっていて、子連れの親、カップル、小学生集団、顔だけ見たことのある人という布陣だ。

 まだ、変なおっさんが数人観てるだけだったら心を虚無にして踊れていたのだが、知ってる顔があるだけでなく、日常の一ページにいるような人たちの前でこのようなことをするなんて、公開処刑と言って過言ではないだろう。

 

 

 舞台袖で、既に仙次郎は仙子として準備をし終えている。完璧にアイドルになりきっているだろう。

 そんな中、僕はまだマコトになり切れずの状態だった。

 当たり前だろう、そもそも人集めのための策だったのに、こういう恥ずかしいことをしなければならないなんて聞いていない。

 まだ、僕のまともぶろうとする本能とアイドルであることに身を委ねようとする理性が拮抗することは必然の事なのである。

 

 

 色々と感情が渦巻いている僕をお構いなしに時間は過ぎ、公演は開始してしまうのだった。

 司会として、趙金雲が僕らの紹介をし始める。このまま帰ろうと思ったが、仙次郎だけに恥をかかせる訳にはいかない。

 やや小さいステージの前には新しいアイドルの誕生を待つ視線でいっぱいだ。

 今日を乗り切れればもう終わるだろう、そう思って腹を括ったのである。

 

 「キャ〜!!仙子ちゃんこっち向いて〜!!」

 「真ちゃん、好きだ───!!」

 

 一部の人の歓声がすごいことになっているな。

 ややプレッシャーを感じながら、ステージ脇から二人で上がっていき、そして自己紹介をしようと思うと、司会の右側にいるとある人物が目に留まり、思考停止した。

 その姿は、毎朝毎晩自分のためにご飯を作り、いつもよくしてくれている人物である。

 

 

 そう、母親だ。

 彼女を見た瞬間、自分の羞恥心はオーバーフローしたのを覚えている。

 そして、それ以降の記憶はない。

 

 

 趙金雲が言うには、思ったよりウケは良く、作戦としても十分であるらしい。仙次郎も元に戻ったので一安心だ。

 その後、夕飯の時に自分がとんでもないことをしたのを執拗に指摘された。親としては公認らしく、今後もやっていいと許可を頂いた。

 ただ、「毎回私に事前に見せてね。」だの「ママ友にうちの子がやったのよって言いふらそうかしら。」だの恐ろしいことを色々と言われた。

 二度とやるか、こんなもん。そう思い、なるべくこの十数日のレッスンの記憶がなくなるようにと願い、床に伏したのだ。

 結局、趙金雲が何をしたかったのかは分からず、僕たちの心に深い傷を残したのであった…。

 

 

 

 

 

 数日後、趙金雲は初めて会った時のように奈良シカTVの前で待ち合わせをするよう言った。その間は会っていない。

 僕ら二人は、またアイドルをする拷問をやらされると思い、戦々恐々としていたが、出会った瞬間の趙金雲の一言により、その考えは払拭された。

 

 「アー、元気にしてましたか?色々と苦行をさせてしまったらしく、すみませんね。

 謝罪の意を込めて、初公演のCDを刷ったので差し上げたいと思います。いつでも見返していーんですよぉ。」

 

 「やめてくださいウッ頭が」

 「ちょっと記憶から抹消したいからいらないかなあ。」

 

 「そうですか、残念ですねえ。どうせだから郵送で送っときます。

 まぁ、そんなことはイ〜んですよ。君たちに朗報です。

 なんと!ワタシたちのチームに参加したいという方が現れました♪」

 

 「色々と恐ろしい事実が聞こえた気がしますね…。

 けど、そんなことが起こるなんて…本当ですか?」

 

 「えぇ、九名の方が応募してくれてます。丁度、イレブンが組めるなんて、なんて運が良いのでしょうか、ワタシ達は。」

 

 「なんと!…しかし、どうやったらアレで人が集まるんだい?」

 

 「簡単ですよ…キミたちは覚えていないかもしれませんが、あのアイドル達はこのクラブのマネージャーと言う設定です。ライブの最後に観客に言っておきましたが、多分キミたちはトランス状態で聞こえてなかったんでしょうね。」

 

 「え…じゃあ今来そうな人は女装に釣られたバカってこと?

 そんな人とサッカーしなきゃいけないの?」

 

 「ちょっと仙次郎は言い過ぎですけど、そういう心づもりの人で無理やり埋めるのはちょっと拒否感ありますよ。

 それに、結局そのマネージャーも存在しない人じゃないですか?

 どうするんですか、一瞬で辞めちゃいそうですよ。」

 

 「いえいえ、そう難しい話じゃないんです。一度引っかかったら離さかければ良いという、至極簡単なのです。」

 

 「そう上手く行くんですかね…。」

 

 「フフッ、まあ上手く行かなそうな時はキミたちが何とかして下さい。あくまでワタシは頼まれてるから来ているだけですからね。」

 

 そう話しながら歩く僕らと趙金雲。向かう先は将来サッカークラブとして使う予定のグラウンドだ。今日の利用分は先んじて予約している。

 

 「取り敢えず、電話をして頂いた九名には、今から1時間後に来て貰います。どのような人が来るかはお楽しみですね♪」

 

 「そう気楽に行けませんよ。顔合わせですぐに辞める可能性もあるんですから。」

 

 僕らが色々と新メンバーに対して不安がる様を見て、趙金雲は何故か笑っていた。

 それほど自分の計略に自信があるのだろうか。

 それほどプレイヤーとして期待はできる人が集まってくれたのか。

 僕と仙次郎は一抹の不安を感じながら、恐る恐るグラウンドに入った。

 

 正直、まだ時間はあるものの緊張してきた。

 仙次郎は堂々とした立ち振舞いで、グラウンドを見ながらリフティングしている。その姿を見ると、自分の緊張している様が馬鹿らしくなり、次第にそれは解れていった。

 

 「さて、1時間もあることですし、少しウォーミングアップでもしましょうか。

 まず、私から2人がかりでボールを奪ってみてください。暴力はダメですけど、それ以外なら何をしてもいいです。技でもハッタリでも何でも。

 別にレクリエーションなので重く捉える必要もないですが、全力でやってみて下さい。」

 

 いくら小学生とは言えど、二人対一人では不利である、という結論にはならないだろう。この辮髪の太った見た目をした中国人はサッカーも得意なのだ。

 そんな中で、この人に勝てると考える程、思い上がってはいない。

 しかし、アイドルの恨み、全力で晴らさせてもらう。

 

 「ン?何故か調子が良い気がするけど…。

 フッ、なんで取れないんだ。」

 

 「仙次郎君はボールに意識が向きすぎて真之君との連係が疎かです。気をつけて下さいよぉ。」

 

 「ハッ…あ~、また間違えた。」

 

 「真之君はワタシの身体に注意が行き過ぎです。フェイントで取れた取れないの土俵にすら上がってこれてないのは勿体ないですよ〜。」

 

 ガッツリ強い。正直、一目置いていたものの、どこか舐めている気持ちはあった。恨みパワーでちょっと惜しい所まで持っていけるんじゃないかとすら思っていた。

 しかし、実際に体感するとここまで強いものなのか、この人は。

 

 「ふーむ、やはりまだまだですねぇ。健闘はしていますが、やはりもう1打点欲しいものです。一旦ストップです。」

 

 悔しい…出来ればもう少しやってみたかったのだけれど。

 改めて先程のレクリエーションを振り返ると、いつもよりやけに集中が続いたことに気付いた。十数日サッカーをしていないから鈍っていると思ったのだが、そんなことはないらしい。

 

 「ところで、お二人が気付いているかは分かりませんが、今回のアイドル特訓で鍛えられた事があるのですが。」

 

 「やや体が軽くなった気がするけど…それかな?」

 

 「仙次郎君、大セーカイ!

 キミたちが上達したもの、それは気の使い方です!

 トランス状態下による功夫の動きを取り入れたダンスにより、無駄なく気を扱わせていたのです。」

 

 何っ、と驚いている仙次郎を尻目に、自分はそのことに納得する。

 僕は気の扱い方が赤ちゃんより下手くそ(仙次郎評)なのである。そんな僕が、少しでも気に関して進歩するものがあれば、飛躍的に能力が上がるだろう。

 僕は、あの苦痛でしかない一連の流れは無駄でなかったことに安心した。

 

 「さて、そろそろ丁度良い頃合いですね。もうすぐ新メンバーが来るでしょう。今回は男子八人、女子一人が加入してくれます。仲良くして下さいよぉ?」

 

 グラウンドについてから時間は一瞬で、既に新しい加入者達が到着する時刻だ。

 すると、遠くから9人の人影が近づいて来る。

 

 

 仙次郎が喉をゴクリと鳴らし、僕はしっかりと遠くの彼らを見つめる。

 さて、一体どういう人達なのだろうか。




 【次回予告】
 遂にサッカークラブ創設のメンバー集めと気の技術を高めた二人。
 何と女子も混じった混合チームになると言う。
 どういう人が来るかのだろうと楽しみにしていると、色々と強そうな奴らが来てしまう。
 
 「宜しく…私は小鳥遊忍って言うんだ…。君たちが私を楽しませてくれるよね…?」
 「アレ、マネージャーいないの?
 まあいいや。俺は属性賀組織、ここには兄弟で入ろうと思ってね。宜しく。」

 彼らの実力はいかほどに?
 次回
 「新メンバー登場、普通に僕らより強くてビビる」
 次回もゼッテー見てくれよな!

 
 

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