基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生)   作:暇なグリッチ

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またまた閑話的なアレ


君の隣に立っていたい

「…デートなのにここで本当に良かったのか?」

 

「うん、別に大丈夫だよ…?」

 

俺達は今、おつかい横丁の桜町フラワーロードという商店街の前にいる。その理由は一つ、先日のヤツ…ミツマタノヅチとの戦いの褒美、といった感じだ。

 

「他にもあったろ?そよ風ヒルズのひょうたん池博物館とか、定番すぎるかもしれないがさくら中央シティとか。そっちじゃなくてよかったのか?」

 

「そういう人が多そうなところは…その、あんまり得意じゃないから…」

 

「あぁ、そういうことか。ごめんな?」

 

「だ、大丈夫だよ…!そんな…!」

 

あわあわとしながらそう言うホル。あれから人の姿になったホルだが、はっきり言おう。

 

―――思ったより可愛くて困る

 

まず一つとして、今までより距離が短くなった。自分に今まで以上に自信がついたからかよく身を寄せてくるようになった。時折自分からやってきたくせに頬を染めるのもズルい。

 

二つは健気なところ。最近自分で料理に挑戦しており、最初は酷いとしか言いようがなかったがそれも確実に成長していった。おまけに料理を始めた理由が"俺に喜んでほしいから"とまで来た。全く、参るぞ…

 

俺としても、まさかホルがここまで変わるとは思ってなかったし、そもそも俺はこんなに人にドキドキしたりするんだなと思った。自分で言うのもあれだが、周囲への関心は結構ない方だと思っている。だから正直、仮にこの世界で彼女ができたとしても素直に愛せないんじゃあないかと不安だったのだ。

 

でもまだ付き合ってすらないホルが相手でこれなら杞憂だったようだ。

 

「ね、ねぇ…まずは本屋に寄ってもいい…? 楽しみに来てた小説の新刊が出たらしくて…!」

 

「あぁいいぞ、俺もそのうち本を見たいと思ってたからな」

 

そして今、ホルは人の姿に化けている。まぁ翼がなくなる程度でほとんど外見上に変わりはない。そのためか、その整った様子を見てチラチラとこちらを見てきている不埒な輩もいる。まだ見ているだけなら許すが、手を出そうとした瞬間そいつの命はないだろう。

 

…あぁそうだ。そもそも進化しないはずのホルがなぜ人の姿に進化したのか。それはウィスパー曰く…

 

―――あくまで私の予想の範疇に過ぎないのですが、そもそもホル…トホホギスは相手をトホホ…とさせると同時に自身もネガティブな妖怪。でもケイジ君がその心を少しずつ取り除き、さらにケイジ君への強い思いが重なったことでトホホギスが新たな妖怪、"ホル"として進化し、生まれ変わったのではないでしょうか。要するに愛の力は偉大ってやつです!うぃす!

 

だ、そうだ。想いで人は変われるというが、妖怪は想いで存在すら生まれ変わらせることができるとは…妖怪って凄いんだな

 

「ケイジ君…大丈夫…?」

 

「…あっ、すまん。考え事だ。気にしないでくれ。ほら、行くぞ」

 

「うん… ね、ねぇ…ケイジ君…」

 

「ん?どうした?」

 

ホルはいきなりもじもじしながら、こちらに手を出した

 

「その、手…繋いでほしい、な…」

 

「…ふふっ、喜んで」

 

あぁ、敵わないなぁ…これは…

 

――――――――――――――――――

 

「いっぱい買っちゃった…本当に良かったの…?」

 

「あぁいいさ、思ったより金は集まるもんでな」

 

ホルが両手に抱えた本の入った袋を見ながらそう言う。最近、妖怪が俺との決闘をするときに金を何故か落とすようになり、始めの頃はいらんと言っていたんだが、勝手にその文化が出来上がってしまったのか気づけば俺と戦うには金が必要みたいなことになっていた。

止めてもいいや、受け取ってくれ!の一点張りでどいつもこいつも聞かないので俺は今金を持て余している状態なのだ。そもそもそんな物欲もないから買うものもなかったし、こういう時に使えるのはありがたい。

 

「それで、次行きたいところはあるか?」

 

「…」

 

「…お前、さては本を見ること以外考えてなかったな?」

 

「あうぅ…」

 

全く…まぁ、そういうところも俺は好きだけどな。

と言っても俺も全く考えてない。時間を無駄にするわけにも…あ、そういえば…

 

「…行ってみるか」

 

「ど、何処に…?」

 

「お前、せっかくだしおしゃれしてみたい、とか思わないのか?」

 

「えっ…?!そ、そんな、ボクがそんなことしたって、似合わないし…」

 

相変わらずそういう卑屈な所は中々直らないか…ま、関係ないがな。

 

「うぇっ?!あ、その…?!」

 

「ほら、行くぞ」

 

今度は恋人繋ぎで、彼女をとある場所まで連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

「や、やっぱりボクには無理だよぉ…」

 

「今まで強くなろうとちゃんと努力できたんだろ?ならきっとできるはずだ、頑張ろう?」

 

「あうぅ…」

 

着いたのはカリスマスタイルという店。つまるところ服屋だ。本当はやっぱりさくら中央シティの方に行ったほうがいい服屋はあるんだろうが、流石に今から行くのは時間がかかりすぎる。

 

「服を見る、ってのもデートっぽくていいだろ?」

 

「そ、そうだけど…」

 

「俺も一緒に見てやるから、な?」

 

「…ちょ、ちょっとだけ、だよ…?」

 

「よし来た」

 

少し迷った後、渋々ながらもしっかり頷く。やっぱりやれる奴なんだ、ホルは。

 

「じゃあ選んでみるか、何か良さそうなのがあったら遠慮なく言えよ」

 

「う、うん…」

 

 

――――――――――――――――――

 

あれからしばらく見た後、一旦着る服を決め、今ホルに着替えてもらっている。やっぱりホルはあんまり派手なのは嫌だろうから、地味に見えないシンプルなコーデを一緒に探してみた。ちなみにホルはやっぱり決められずじまいだったから俺がだいたい決めた。つまり俺のコーディネートというわけだ

 

どうしよう、全然似合ってなかったとかだったら。ただそれだけならいい、俺が反省するだけだ。それでホルまで落ち込んでしまったら流石に申し訳なさすぎる。

 

どうなるのか…と緊張しながら待っていると、試着室の方から声を掛けられる。

 

「き、着替えたよ…?」

 

「あぁ、わかったわかった。早速見せてくれ…」

 

思わず目を見開いて硬直してしまった。黒パンツにピンクベージュのブラウスのホル。シンプルだがちゃんと大人っぽさとオシャレさが出ている。それなのに本人は顔を赤くしてるのがズルい。普通に色気が出てしまっているのだ。

 

「ケイジ君…大丈夫…? どうかした…?」

 

「…あぁいやっ、綺麗すぎてビックリしたんだ」

 

「綺麗…っ?!」

 

俺の言葉に、彼女が余計顔を赤くして手で顔を覆ってしまう。本当に参ったな、仕草の全てが愛らしい…俺ってこんなんだったっけ…

 

「じゃあ、それ買っとくか?」

 

「う、うん…ケイジ君が、そう言ってくれるなら…」

 

ちなみにこんな甘い雰囲気だったのに昼ご飯はラーメンだった。雰囲気の欠片もないが美味かったよ。




ただイチャイチャしてるだけじゃあねぇかテメェらッ!幸せにでもなってやがれ!!

コメント、評価、お気に入りのほどよろしくお願いします!もっと!伸びるんだッ!
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