基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生) 作:暇なグリッチ
「…やっちまったな…」
部屋で妖怪ウォッチを見ながら、そう呟く。あのミツマタノヅチとの戦い。勝てたのはいいんだが…
「どうしたの?」
「いや、あいつとの戦いでだいぶ無茶しただろ?そのおかげで妖怪ウォッチがな…」
「あらら、これはやっちゃってますねぇ…」
そう、針もイカれてしまったのだ。恐らく木にぶつけられた時とかに逝ってしまったのだろう。無茶するもんじゃあないな…
「時間見るときとかに結構ちゃんと使ってたんだがな…」
「早く直してもらわないとじゃん!」
「いや、でも妖怪ウォッチなんて直せる人いるのか?」
「あ、そっか。う〜ん…」
「ふっふっふっ…いるんですよ、それが!」
ユキが首を唸りながら考えていると、ウィスパーがそう声を上げる。
「本当か?」
「えぇ、団々坂にあるチョーシ堂という時計屋です。 なんとチョーシ堂の店主は代々人間と妖怪の仲を取り持つ家系なのです。妖怪ウォッチも彼らが開発したもの。直す程度お手の物でしょう!」
「なるほど…」
まぁ、妖怪と交流している人間が俺だけ、なんてそんなわけないだろうしな。そういう人間もこの世界には多くいるんだろう。
「と言うわけで、チョーシ堂へレッツゴー!」
「ゴー!」
「行くか…」
――――――――――――――――――
「ここか…」
着いたのは団々坂の駅の近く。古いが何だか親しみを感じる店だ。
「時計屋なんて初めて来たなぁ、早く入ろうよケイジ!」
「あぁわかってるよ。こんにちはー」
「ようこそチョーシ堂へ。いったい何の用だ?」
店の中に入ると、店主らしき老人が快く出迎えてくれた。だが、なんだこの違和感は…まるで妖怪と会った時みたいな…
「あぁ、この時計の事で…」
「時計? どれどれ見せてみな…こりゃあ妖怪ウォッチじゃないか!それに後ろの妖怪たちは…」
ああ、やはり見えるのか。そりゃあ妖怪と人間を取り持ってるって言われるくらいだしな。
「執事妖怪ウィスパーでございます。うぃす!」
「私ゆきおんな!ユキって言われてるんだ!」
「やっぱり見えるんだな」
「あったりめえよ。何を隠そうこのワシも妖怪なのさ」
「何…!?」
あ、あぁそうか。妖怪と人間の仲を取り持っている家系と言われていただけで人間とは言われてない。妖怪の家系ってこともあるのか…
「世の中にはこうして社会に溶け込んで暮らしている妖怪もいるのですよ」
「なるほど。本当にいろんな妖怪がいるんだな」
「にしても思いがけない客が来たもんだな。それで、妖怪ウォッチがどうしたってんだ?」
「あぁ、針がイカれちまってな…」
「何?そいつは大変だな。というか妖怪ウォッチをちゃんとした時計として使ってるやつ、久しぶりに見たぞ」
「あぁ…」
まぁ、どちらかと言うと"妖怪を召喚するガジェット"としての側面が強いしな。言いたいことは分かる。
「よしわかった!ワシが修理してやろう!一瞬貸してくれるか?」
「あぁ、頼む」
そして俺の妖怪ウォッチを受け取って分解すると、店主が驚愕の声を上げた。
「な、なんだこりゃあ?!歯車もネジもバネもイカれてやがる!?」
「…マジで?」
「大マジだ!何やったらこうなるんだ小僧?!」
思わず顔を手で覆う。…やっぱり、無茶ってするもんじゃあないんだなぁ…
「あぁ、ちょっと強い妖怪と戦ってな」
「そういうことか…というか時計がこんな壊れ方したってことは、お前攻撃でも食らったのか?」
「あぁ、前線で戦ったから当然だ」
「前線で?!」
思わずこちらに前のめりになる店主。目が飛び出そうな勢いだ。
「こりゃあ大物が来ちまったなぁ…しょうがねぇ。歯車とネジとバネ。とりあえずこの3つのパーツを取りに行ってくれねぇか?」
「いいが…どこにあるんだ?」
「ネジは自転車に頼んでおくよ。お前は受け取るだけでいい。歯車は竹林のおんぼろ屋敷に、バネはさすらい荘にあるはずだ」
なんでそんなところにあるんだ…と思いつつ、文句を言っても仕方ないため立ち上がる。
「あぁわかった。行ってくるよ」
「おうよ。お前はまだまだ子供なんだから、そう無茶するなよ」
「わかってるさ…」
「…嘘だ〜」
ユキがそう疑いの眼差しを向けてくる。心外だな、わかってはいるよ。うん。わかってるだけだけどな!
――――――――――――――――――
あれからさすらい荘、自転車屋、おんぼろ屋敷を巡ってなんとか3つのパーツを手に入れることができた。
特におんぼろ屋敷は妖怪もいるし中は入り組んでいるしで大変だった。まぁ案外楽しかったけどな。
「疲れた〜…」
「でもこれでパーツは揃いました。妖怪ウォッチを修理できますよ!」
「やっとか…帰ってきたぞ、じいさん」
「よしよし、無事にパーツを集めてきたみたいだな。それじゃ、さっそく…と言いたいところなんだが…」
やっと修理…かと思ったら、突然店主が言葉に詰まり出す。
「今度はなんだ?」
「あぁ、実は銭湯で大事な勝負下着をなくしちまってな…」
「勝…っ?!」
「あの、そういう意味のものじゃないですよ…?」
いきなり顔を赤くするユキ。おい、お前そっちの意味の勝負下着考えただろ。このムッツリが…
「それがないと調子が出ないんだ。悪いが代わりに取ってきてくれねえか? 番頭に忘れ物を調べてもらったんだがどうにも見つからないって話でな。昼間は人が多いから営業時間が終わった夜に出直せって事だったんだが…すまんが店を留守にできんのだ。ワシの代わりに銭湯で探してきてくれ」
「いや、すまないが夜は出歩けなくてな…親に心配をかけてしまう」
「あぁそうか…う〜ん、バクでもいてくれりゃその悩みも解決できるんだがなあ…」
「バクのこと呼んだ?」
そうして店主が頭を悩ませていると、光と共に妖怪ウォッチからバクが現れた。あぁ、そういえばおんぼろ屋敷で戦い、なぜか気に入られて友達になっていたんだったな。
「おぉっ、もう友達になってたのか!そりゃ話が早い。お前さんの悩みはコイツがなんとかしてくれるはずさ」
「なんとかしてくれる?どういうことだ」
「コイツが眠気を吸い取ればお前は寝なくっても元気いっぱいてまいられる。部屋を抜け出したい時はお前に化けて親の目をごまかしてくれるオマケつきだ」
なるほど、俺のダミーにもなってくれるわけか。それならバレることもないな。夜更かしすることに変わりないのが少し嫌だが…文句を言っている暇はないだろう。
「な〜んだ、それだけでいいの?それならラクショーだよ。ごちそうごちそう!」
「それは素晴らしい。うちに帰って早速活躍してもらいましょう!」
「だな」
だが、この時の俺はまだ知ることはない。
寝ないで外に出る"悪い子"が、どんな目に合うかを
嫌な予感がするぜ…あの感覚だ、夏休みでちゃんと宿題リストを確認するのを忘れてて何か俺の知らない宿題が回収されないかというあの感覚…ッ!
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