基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生)   作:暇なグリッチ

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どうでもいいけどキング・クリムゾンってかっこいいね


ビバ!ゆであがり!

あの鬼に追われた現象、あれはウィスパー曰く鬼時間と言うらしい。

鬼時間とは子供の見る悪夢。鬼は夢を見る者の心配事や恐怖心の象徴。そして鬼に捕まらず無事に出口にたどり着くと心が強く成長して目覚めるとされていると言われているらしい。

そして鬼に捕まるとそのまま目覚めるだけ…もしかして返り討ちにしたのは俺が初めてだったのか?*1 何はともあれ、やっと銭湯に着くことができた。

 

「…あら?こんな時間にどうしたの? 営業時間はもう終わりよ。お風呂に入りたいならまた明日にしてね」

 

「いや、そうじゃなくてな…忘れ物を探してくるよう頼まれたんだ」

 

「そうだったの?でも残念ながら届けられた忘れ物はないわね…貴方の探し物が見つかるまで待っててあげるから、探してみたら?」

 

「あぁ、ありがとう」

 

「それじゃあお言葉に甘えて早速探し物を…むむむ!感じましたケイジ君!」

 

早速風呂場に探しに行こうとすると、ウィスパーが突然俺を止める。

 

「ん?どうした」

 

「お風呂の方からキョーレツな妖気を感じます! これはまさしく悪い妖怪の気配。放ってはおけません!行ってみましょう!」

 

「そうか…仕方ないか」

 

マズいな、先程でかなり消費したせいでまともに戦えそうにないというのに…そう思っていると、ユキが俺の手をギュッと握った。

 

「…ユキ?」

 

「ここに友達がいるのに、そんなに不安?」

 

真剣な眼差しでそう問いかけてくる。あぁ、そうだな…

 

「悪い、その通りだ。失礼だったな…頼むぞ、ユキ」

 

「うん!!」

 

そして、俺達は大浴場に入った。

 

 

――――――――――――――――――

 

「…反応がかなり強いな」

 

「間違いありません、ここのようです!」

 

一番大きな風呂から強烈な妖気が放たれている。レンズを向け、そこを調べると巨大な豚の妖怪が姿を現した。

 

「はあぁ〜…風呂は最高だな〜、カッポーン!」

 

「こいつが妖気の正体ってわけか…」

 

「また大っきいなぁ…」

 

「どうやら風呂に入っているようですね。非常に気持ちよさそうです」

 

「…それだけなら放っておいてもいいんじゃあないか?」

 

そんな会話をしていると、俺たちがいることに気づき、豚の妖怪がその巨体で立ち上がった。

 

「うるせえなあ〜…さっきからゴチャゴチャと。 ワシに何か用でもあるのか?カッポーン」

 

「あぁっ!あの妖怪が履いているフンドシは! 紛れもなくチョーシ堂店主の勝負下着に違いありません!!」

 

こいつフンドシ履いて風呂入ってるのか…しかも人の…

 

「見てください、ちゃんと名前が書かれてあります」

 

「何処だよ…? まぁいい、その下着返してくれないか?それの持ち主が…

 

「な、なんだとぉ?!お前、まさか追い剥ぎってやつか!」

 

はっ?いや、違…」

 

俺が急いで弁解しようとすると、ヤツが風呂から飛んで出てきた。

 

「子ども相手だからって手加減しねえぞ!カポーーーーーン!」

 

「やるしかないか…ユキ!!」

 

「了解!」

 

ユキが俺の前に出る。一応俺も援護に入るつもりだが、なんとかなるか…?

 

「フンッ!!」

 

「来るぞ!」

 

「任せて!」

 

ヤツが桶をぶん投げてくるが、ユキはひょいっと飛んで避ける。普通に投げたかなりの速さ、当たれば大変だな…だが、ヤツは恐らく…

 

「それっ!」

 

「うぉぉぉっ?!寒ぃぃ?!」

 

大当たり(ビンゴ)だ。風呂を好んで入ってるなら、寒さには弱いんじゃあないかと思っていたが、その通りだったらしい。実際かなり効いている様子だ。だがいつまでこの優勢が続くか分からない、短期決戦で行くしかないか…!

 

「や、やめろ!湯冷めしちまうじゃねぇか!!」

 

「やめないもんねー! わぁっ?!」

 

そうこうしているうちに、またヤツが桶を投げ、ユキが攻撃の手を止める。その隙にヤツがその巨体で飛び上がった。

 

「ぶっ潰してやるぜ!」

 

「ユキ!!」

 

「ひゃぁっ?!」

 

なんとか避けられたようだが、あの巨体でその身軽さ。こいつは厄介だぞ…

 

「避けやがったか!これでも食らいやがれ!」

 

「あいたっ?!」

 

ユキがコケた?!あいつ、何を…石鹸か!石鹸を投げて滑らせたのか!案外頭も回るらしい、小賢しい真似を…!

 

「隙アリィ!今度こそぶっ潰してやる!カッポーン!!」

 

「させるかダボがッ!!」

 

「うおぉっ?!」

 

その隙にヤツが桶を振り上げたため、咄嗟に間に入り、ヤツの腹に強烈な蹴りを叩き込む。流石に効いたらしく、思わず後退する。

 

「大丈夫か!」

 

「うぅ、ヌルヌルする…」

 

石鹸まみれになって、なかなか動きにくいようだ。…いやいや、そんなこと考えるな!!流石に最低だぞ阿呆ッ!!

 

「お、おぉ…テメェ…」

 

ヤツが腹を押さえて苦しんでいる。狙いやすかったからへそを狙ったが…まさか、弱点なのか?

 

「おい!へそを積極的に狙うぞ!ユキ!」

 

「わかった…!」

 

ユキが後ろから氷を飛ばしながら、俺がヤツのへそに連撃を与える。

 

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!どうだ!!」

 

「うぎぇぇぇぇぇ?!」

 

いいぞ!効いている!…だが、なんだ?あいつの肌が先程より濃くなっている。それにこの嫌な予感…

 

「ッ、まさか!! やめろユキ!!へそを攻撃しちゃいけない!」

 

「えっ?!」

 

しかし時既に遅し。ユキの放った氷がへそに当たり、ヤツの体は真っ赤に染まってしまい、ただならぬ妖気が溢れていた。間違いない、これは…!

 

来る、必殺技ッ!!

 

「痛ぇーッ!!でも効くぜーッ!!」

 

「マズい、来るぞユキ!!」

 

「…!!」

 

ヤツが両手の桶を放り投げ、息を大きく吸う。

 

「フンッ!フンッ!ぶちかますぜ!―――ビバ!ゆであがり!!

 

鼻から強烈な火炎放射が放たれる。だがユキは何も恐れずヤツの前に立った。

 

「いつまでも…守られてばかりの私じゃ、ない!!

 

―――ゆきんこシャーベットッ!!

 

二つの必殺技が拮抗し、辺りに凄まじい余波が伝わる。

 

「ふっ飛ばされちゃいますー?!」

 

「ユキ…ッ?」

 

なんだ?今、あいつの持っていたクシが光ったような…

いや、そんな事を考えている暇じゃあない。みるみる押されていく…!

 

「くっ…うぅっ…!」

 

「ちょっとはやるらしいが、ワシには勝てん!カッポーン!!

 

ひゃくれつ肉球ーッ!!

 

な、何ぃ?!カポーンッ?!」

 

突然の乱入により、ヤツが押し切られ後ろに倒れる。

お、お前は…!

 

「ジバニャン!!」

 

「夜に散歩してたら、強い妖気を感じてきたらやっぱりやってたニャン…」

 

「た、助けにきてくれたの…?」

 

「ただの気まぐれだニャン。その代わり!!明日チョコボー奢れニャン!!」

 

「そっちが目的でしょ!!」

 

全く、ジバニャンらしいな…だが、今このタイミングで来てくれるのは非常にありがたい。てっきり寝ていると思って呼びにくかったのだ。

 

「いくら増えようと一緒だぁ!!」

 

「ぶっ飛ばしてやるニャーン!!」

 

「負けないんだからー!!」

 

先程まで押され気味だったが、ジバニャンが来てから状況は一変。ユキが後ろから氷を放ちながら、ジバニャンが前線でヤツを引っかきまくる。2人のコンビネーションでヤツはみるみる追い詰められていった。

 

「う、嘘だ!ワシがたったこんな妖怪2匹に…!」

 

「これが私たちの力!」

 

「思い知るニャーン!!」

 

「カポーーーーン?!」

 

そして2人のトドメの一撃を食らい。ヤツはついに倒れ伏した。

 

「ひとっ風呂のぼせようとしたのに、ひどい…カッ…ポーン…」

 

まぁ、気の毒な感じはあるが俺の言うこと聞かずにいきなり襲ってきたのはあいつだし、お互い様だな。

 

「勝負下着も律儀に落としてくれたし、これで大丈夫だな」

 

「えぇ!全く、勝ててよかったですケイジ君!」

 

「あぁ、これでやっと直せるな」

 

「善は急げです。店主のもとにこの下着を届けましょう!」

 

「じゃ、オレっちは先帰っとくニャン。バイバイニャーン…」

 

「今日は助けてくれてありがとー!」

 

あくびをしながら帰っていくジバニャンを見送った後、俺達はチョーシ堂の店主に勝負下着を返し、時計を直してもらうのだった。

*1
野暮かもしれないけど当然です




戦闘になると毎回長くなるぜ…

コメント、評価、お気に入りのほどよろしくお願いします!もっとパワーを分けてくれーッ!
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