基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生)   作:暇なグリッチ

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博物館って実際たまに行くと結構面白かったりする


博物館へ行こう!

「ちょ、ちょっと!そのハメ技やめてってば!?」

 

「断る」

 

俺は今、今田の家で格闘ゲームをしている。横から何か聞こえるが関係ない。俺は今目の前のゲームに集中してるんだ。余所見なんかしてられないんでね。

 

「さっき1回負けたからって、容赦ないですねぇ…」

 

「知るか。やられたらやり返すんだよ」

 

「あっ! …ケイジって、ホント負けず嫌いだよね」

 

「正解」

 

ウィスパーが後ろから呆れた様子でそう言ってくるが、俺は何が何でも負けっぱなしは嫌いなのだ。容赦なくコンボ技でハメ、見事勝利を勝ち取った。よし、満足だ。とふとテレビの横を見ると、1枚の紙が目に入った。

 

「…これは?」

 

「ああ、そうだ。それの話をしようと思ってたんだよ。パパから博物館のチケットをもらったんだよ」

 

「博物館って、ひょうたん池にあるあの博物館か?」

 

「そうそう、ひょうたん池博物館。期限が切れちゃいそうでさ。勿体ないし、これから行かない?」

 

ひょうたん池博物館。このそよ風ヒルズにあるひょうたん池公園のすぐ前にある博物館だ。どんな所なんだろうと前から気になってたので、丁度いい。

 

「あぁ、いいぞ」

 

「お、返事が早いね。こういうのを見ておくと教養もつくし、女の子にもモテるしね」

 

「いや、後者はいいかな…」

 

「なんでさ、女の子にモテたくないの?」

 

「まぁ、そうなる…」

 

「ふーん、変な奴」

 

これ以上モテたら、背中刺されそうですもんね。と後ろからウィスパーが視線を送ってくる。全くその通りだ。

 

この前、ユキが進化してふぶき姫になったが、進化してからなんかもっと愛が重くなってきている。この前、女性が落としたハンカチを拾ってあげたら、いきなり後ろから出てきて「他の人の匂い、ついちゃったわね」とか言って俺の手にキスをしてきた。うん、(恐怖で)ドキドキしたよな。

 

「じゃあ、それあげるから、一緒に行こうよ」

 

「あぁ、俺は少しトイレしてから行くよ。先に行って待っててくれ」

 

「そう?じゃあ先に行っておくよ」

 

ユキが俺を想ってくれてるのは嬉しいが、想われ過ぎるというのも考えものだ。幸せな悩みだな、と思いながら俺は今田を見送った。

 

――――――――――――――――――

 

「あ、来た来た。もしかしたら来ないのかと思ったよ」

 

今田は恐竜のコーナーで待っていた。てっきり博物館の入り口で待っていると思ったから、少し来るのに時間がかかった…

 

「お前、てっきり入り口にいるものだと思ってたから…」

 

「あぁ、そうなの? それは悪いね。ところで…そっちの綺麗な子は…」

 

「こ、こんばんは。ホルって言います…」

 

緊張した面持ちで、ホルが今田に頭を下げる。ここに来る途中、たまたまホルと出くわしたのだ。友達と博物館に行くんだと言ったら、「ケイジ君以外の人間とも、関わってみようかな…」ということで、同行することになったのだ。

 

「ぼ、僕は今田干治。よろしくね!ホルちゃん」

 

「はい、よろしくお願いします…」

 

「…」

 

…こうなるのは何となくわかってはいたが、やっぱり今田が鼻の下を伸ばしている。ホルの勇気には勿論頭を千回撫でてやりたいくらい賞賛したいのだが、こういう目で見られるのはどうも気分が良くない。

 

「…で? この恐竜コーナーで何してたんだ」

 

「あ、あぁ。ティラノサウルスの骨格模型を見てたんだ。ケイジは恐竜、好きだろ?」

 

「まぁ、嫌いではないな」

 

「だよね。恐竜の絶滅理由には色んな仮説があるけど、特に有名なのは隕石の落下だよね。隕石の衝突で巻き上げられたチリが、太陽の光を遮って生態系を壊したんだ」

 

「そうなんだ…なんだか凄いね、ケイジ君…」

 

「確かにそうだが、それだけじゃあないな。光が遮られたから気温が下がったのは勿論、植物が光合成できなくなったり、別の地域で火山が大噴火を起こし、それによりさらに崩壊が加速したとの意見もある。」

 

「凄いね、ケイジも結構知ってるんだ」

 

「まぁな?」

 

(ケイジ君、ホルさんに良いところ見せたいんですね…)

 

こちらも前世でなんとなくで調べた知識をこれでもかと活用してぶつける。ホルが困ったような笑顔を浮かべている。俺の負けず嫌いをよく知ってるから、今回もそれだと思ってるんだろう。大正解。こいつだけにいい思いさせてたまるか。

 

「…今日のケイジ、随分張り切ってるね」

 

「カンチ君に負けたくないんだと思うよ…えへへ…」

 

――――――――――――――――――

 

それから三人(+白玉一匹)で、一通りのコーナーを回り、エントランスへと戻ってきた。

 

「ケイジ君、今私のこと失礼な呼び方しませんでしたか?」

 

「さぁ、何も話してないぞ。気のせいだろ」

 

「ああ、楽しかった。女の子にモテるためには、こういう知的な趣味を持たなくちゃね」

 

「確かに、そういう趣味を持ってる人は、魅力的だと思うよ…」

 

「だよね!ホルちゃんはよくわかってるや」

 

女性が目の前にいるのに、そういう話するのか…?と思っていると、今田が少し残念そうな顔をした。

 

「まぁ、探し物は残念ながら見つからなかったけどね…」

 

「探し物…?」

 

「そうなんだよ、ホルちゃん。実は最近、この博物館に変なウワサがあるんだよね」

 

「ウワサ、か」

 

「そう、展示物が動き回るとかなんとか…」

 

まるでポルターガイストみたいだな。でもまぁ、そういう類いなら大抵妖怪の仕業か…と思っていると、受付の2人の会話が偶然耳に入ってきた。

 

「ねえ、あのウワサ本当かしら?」

 

「もしかして…夜になると動き出すっていう、あの…?」

 

「そう。あのウワサよ。実は私、見ちゃったの。展示室の隅で目を光らせて、今にも動き出しそうな大鎧の姿を!」

 

「ちょっと、怖いこと言うのやめてよ!」

 

「だって…」

 

その会話を聞いていると、今田が嬉しそうに俺とホルに喋りかけてきた。

 

「今の聞いた?あれこそ僕が求めてた情報だよ。夜になると動き出す大鎧の秘密…とんでもない事実が隠されてるかも」

 

「うん、なんだか怖そう、だけど…」

 

「大丈夫だよ。実はこの間、読んだ雑紙で超科学について特集されてたんだよね。幽霊や妖怪といった存在も、未来では解明されるかもしれないって。本当にそんなものが存在するかどうか、僕はこの目で確かめてみたいんだ」

 

(目の前にいるけどな…)

 

お前の目の前にいる綺麗な子はその妖怪だぞ、と言いかけたが、何とかこらえる。まぁ、言っても恐らく冗談としてしか捉えられないだろうが。

 

「なるほど、カンチはそれが気になって博物館に来たがっていたんですね。動く大鎧の正体、私も気になります。もしかしたら悪い妖怪かも知れませんし」

 

まぁ、人間の手が加わってないなら、どう考えても妖怪だろうな…と考えていると、今田がこちらに一歩近づいてきた。

 

「ケイジ!一緒に来てくれるよね?」

 

「…俺が?」

 

「そう。勿論ホルちゃんも来たいなら歓迎する。こういうのは、手分けして探すのが一番だし、もしかしたら超科学の発見者になれるかも。それに手分けするなら、人数は多いに越したことはないしね」

 

最近夜更かし続きであまりいい気分ではないが、もしこの件が妖怪の仕業で、俺が行かなかったせいで今田が妖怪に襲われて怪我をした…ともなればそれはそれで違う。

 

「…わかった、行こう。ホルはどうする?」

 

「け、ケイジ君が行くなら、僕も…!」

 

「決まりだね。夜になったら博物館前で待ち合わせだよ」

 

動く大鎧…また波乱が起きそうだと、俺は気を引き締めた。

 




天野ケイジ
大人びているが、最も大人げない奴。
ホルが他の人間とも関わってみたい、と言った際は祝う気持ちと嫉妬に駆られないかの不安でせめぎ合いになっていた。

ホル
やはりメインヒロインな女。
ちなみに身長順はケイジ>ホル>カンチとなっている。サラッとケイジが身長高めだという情報開示である。

今田カンチ
見事ホルに初恋を奪われた少年
ホルに見下されることに少しドキドキしている。ちなみにその時ケイジの眼力が凄いことになってることには気づいていない。
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