基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生) 作:暇なグリッチ
「あ、見えてきたよ!」
反応を頼りに、俺達は魚屋まで辿り着いた。あ、確かここって…
「そういやこの交差点、急ブレーキかける車が多いって話だ。気をつけろよ」
「ほほう、ビビっと来ましたよケイジ君!」
「何がだ?」
「これこそ妖怪の仕業に違いありません。この交差点を念入りに調べてみましょう!」
なるほど、そういうことか。確かに一考の余地ありだな。
試しに言われた通り交差点を探してみると、レンズが赤い猫を捉えた。…あれ、こいつ見たことあるぞ。というか知ってるぞこいつ
「ニャニャニャニャニャ…」
「す、凄い気迫ですね…やはりこの妖怪が物凄く強いのでは…」
「…そうか?」
なんとなくゆきおんなの方が強いような気がするんだが…*1
「ニャニャ! 来たニャン!!」
そう言うと目の前の猫は車道に出て、目の前から迫ってくるトラックの前に立ち塞がった。こいつ、何を…
「ニャ〜ン…来たニャ〜…」
妖怪は普通の人には見えない、目の前の猫には気づかずトラックはドンドン近づいてくる。
「あ、あのままじゃ危ないよ…ケイジ君、止めないの…?」
「いや、いったん様子を見る」
そしてもうぶつかりそうな距離まで近づいた途端、猫は後ろに一回転し、さらに空中に飛び上がり一回転した。
「くらえ!車め! 必殺、ひゃくれつ肉球!!」
すると目にも止まらぬ早さで拳の連撃を車に与え、まさかこれで止めるのか…と思ったのも束の間。
「バゴニャン!?」
…あっさりふっ飛ばされた。トラックに真正面からふっ飛ばされて大して傷が見られないのは流石妖怪と言ったところか
「また負けた…また負けたニャン…」
「…大丈夫か?」
「人間? オレっちが見えてるニャン!?」
俺が声をかけると、起き上がりながら目の見開く猫妖怪。
…うん。やっぱりすごく見覚えがある、ほとんど覚えてない俺でも名前はわかるくらい有名な猫だ。
「そうだアンタ! エミちゃんを…エミちゃんを知らんかニャン?!」
「…エミちゃん?知らんな」
「そうか…知らんニャか…」
これは…また訳アリそうだな。そう言えば何か暗い過去があったような記憶があるが…
「オレっちがまだ猫だった頃…この交差点でトラックにはねられて死んだのニャ…」
「…」
「その時、大好きだったオレっちの飼い主、エミちゃんはこう言ったニャ…」
―――トラックにはねられるなんて…ダサい
「…!」
「…でも、結局車ごときにはねられて死んだオレっちが悪いニャン! だから、車を倒せる強い猫になって、エミちゃんに会いに行くつもりニャン!」
「でも…いつもはねられてばかり…他の妖怪にもバカにされる毎日ニャ… おまけに大事なエミちゃんの写真もその妖怪たちに取られるし…」
「…取られたのか?写真を?」
はっきり言ってもうプチっと何かが切れそうで仕方ないが、一応話を聞くことにする。
「そうなのニャ…オレっち、本当にダサいニャ…」
「その写真を取った
「ニャ…? そこの魚屋の裏にいつも集まってるみたいだけど…それがどうかしたニャ?」
なるほど、いかにもそういう奴らが群がりそうな場所だ…
「何でもない。お前はここで休んでろ。…俺は天野ケイジ、お前は?」
「死ぬ前のことはエミちゃんのこと以外覚えてないニャン。自分の名前も…でも、他の妖怪からは地縛霊の猫でジバニャンと呼ばれてるニャン」
「ジバニャンだな、わかった。」
――――――――――――――――――
「このダボ共がッ!!俺を散々イラつかせやがって!!」
「ひぃぃぃ?!」
「に、逃げろぉー?!」
とりあえずどの妖怪が写真を奪ったかわからないから、とりあえず俺が妖怪が見えるガキだからと調子に乗って近づいてきた妖怪を全員蹂躙した。後悔はない。
…最近不良みたいになってきている気がするのは気のせいだろうか。
「あ、あったよケイジ!」
「本当か?」
「多分、これだと思うよ…」
どうやらさっき襲ってきた妖怪共の誰かが落としたらしい。これがエミちゃん、って奴か。
…正直、不快には思ったがキレてはいない。あまりにも言葉の意図が分からないからだ。悪意が籠っているのかどうなのかが絶妙に分かりにくい…本人の口から聞くか、誰かに教えてもらうかしないと俺は許すか許さないかの判断すらできない。
「ともかく、よく探してくれた。ありがとな、ユキ、ホル」
「どういたしまして!」
「えへへ…」
「ぐぬぬ…わ、私の立場が…」
後ろで何やらソフトクリームが嫉妬しているが気にしない。ともかくこれを届けに行かないとな。
「ニャ?!こ、これはまさかオレっちの…!?取り返してくれたのニャ?!」
路地裏から出ると、写真を見てジバニャンがすぐに駆け寄ってきた。…それはいいが赤信号で渡らないようにな。
「あぁ、大事なもの、なんだろ?」
「あ、ありがとニャ…うっうっ…」
「写真一つ自分で取り返せないなんて、やっぱりオレっちは…」
「…ダサい、なんて言うつもりじゃあないだろうな」
「!」
ジバニャンが顔を上げ、こちらを向く。
「あくまで俺個人の意見だが…全くダサくないと思うぞ。見返すんじゃなくて見直してもらうためにトラックへ何度も挑むその姿勢…俺は好きだ」
「俺はそういう努力が、一番好きなんだからな」
「うっ…うっ…ありがとニャ…ありがとニャーー!!」
涙ぐみながら笑顔でそういうジバニャン。ついこちらも笑みを浮かべてしまう。
「…頑張れよ。俺は応援してるからな」
「ありがとニャ!オレっち頑張るニャ!」
そしてお互い腕を突き出すと、光が放たれメダルが現れた。
「オレっち達は友達ニャン!いつでも呼び出して欲しいニャン!」
「あぁ、頼りにしてるぞ」
今日はイラついてばかりで嫌な日だと思っていたが…悪いことばかり、ではないんだな。
「元気を取り戻したジバニャンからは強い妖気を感じます!期待できますね〜! やはり私の直感に間違いはなかったようですね!うぃす! …まぁ車には勝てませんでしたが…」
「最後はわざわざ言わんでいい」
いい感じで終わりそうだったのを、このソフトクリームめ…
「まぁまぁ、それではケイジ君!ドンヨリーヌと戦いに家へ帰りましょう!」
「だな、今なら勝てるはずだ」
否、勝たなければならないというべきか。そろそろあのデカブツには俺のプライベートから退いてもらうとしよう
次回、やっとドンヨリーヌをぶっ飛ばします
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