基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生) 作:暇なグリッチ
「さて、ドンヨリーヌ…だったか。待たせたな」
「あらやっと来たのねジョワーン、でも残念だけど負けないジュバーン」
余裕綽々といった感じが、先ほど勝ったからと少し調子に乗っているらしい。
「行きましょうケイジ君!今こそジバニャンを呼び出すのです!」
「あぁ」
そういえばちゃんと召喚するのはこれが初めてか、妙に緊張してきた。妖怪ウォッチのレンズを開き、ポケットからメダルを取り出し、勢いよくセットした。
「俺の友達、出てこいジバニャン!」
プリチー!召喚!
プリチー!オレッチ、トモダチ!ふくはウチー!
「ニャーーーッ!!!」
そして光からジバニャンが現れ
「バゴニャンッ!」
「あっ…」
「あっ…」
…天井にぶつかった。
すまん、こんなところで勢いよく飛び出したらそりゃそうなるよな。
「も、もっと広いところで呼び出すニャン…」
「ごめん…」
「ま、全然大丈夫だけどニャン!」
だが元気よく起き上がり、胸を張るジバニャン。まぁトラックに何度轢かれても大丈夫だもんな、お前
「さて、お前らもいけるな?」
「任せて!」
「こ、今度は負けないよ…!」
二人とも力強く頷く、どうやらホルもユキも準備万端らしいな。
「さぁ、この3人でやっつけてしまいましょう! …わかってますよね?ケイジ君?」
「流石に今回は自重するって…」
まぁ最近俺が出しゃばってばっかりだしな、せっかくいるんだし、今回は友達に任せよう
「やっつけるなんてひどいジョワーン、でも負けないボボジョワーン」
「こっちのセリフだ、俺の友達を舐めるなよ。行け、お前ら!」
「ニャーン!」
「よーっし!」
「え、えーい…!」
まず先陣を切ったのはジバニャンだった、爪でドンヨリーヌを引っ掻き倒す。戦闘能力は高いらしい。
「痛いジョワーン!」
「ニャニャ?!」
いきなり引っ掻かれて怒ったのかなんとその場で飛び上がり、ジバニャンにのしかかってしまった
「あ、あの巨体でなんと機敏な動き?!」
「関係ない、ホル!」
「わかった…!」
ホルが俺の合図と共に羽ばたくと、起こった風が刃と化し、ドンヨリーヌを切り裂く。やはり最初にむやみに飛びかかったのかいけないだけで、別に実力がそんなに足りないというわけじゃないらしい
「私だって負けない!それっ!」
「ボボジョワーン!?」
さらにユキの追撃により、ドンヨリーヌがカチコチに凍ってしまう。なるほど、これはむやみには使えないな…あれ?
「…ジバニャン、まだ乗られてなかったか?」
「…あっ?!」
「づ、づめだいニャン…」
ドンヨリーヌの下には顔を真っ青にしたジバニャンがこちらに手を伸ばしており、慌ててユキに引っ張られてなんとか出てくることができた。
「し、死ぬかと思ったニャン…」
「ごめんなさい!私また…」
「おい、また来るぞ!」
少しするとドンヨリーヌが氷を破り、再び動き出した。しかも今度は何やら嫌な予感がする。
「…ホル、ちょっと頼みたいことがある。いいか?」
「…? うん、どうしたの…?」
俺はホルの耳…耳何処なんだこいつ。まぁいい、小声でホルに話す。
「…ってわけだ。できるか?」
「…こ、怖いけど頑張るよ…!」
「よし、流石だな」
こいつも知らない間に大分成長したらしいな、今後が楽しみだ。そうこうしている間にも、ユキとジバニャンがドンヨリーヌをだいぶ追い詰めてくれたらしい。
「余裕だニャン!」
「この調子で押し切っちゃえ!」
「つ、強いジュバーン…」
一見かなり優勢…なんだろうが、やはり先ほどの嫌な予感はまだ残ってる。となると、まさかこいつ…
「でもこれで終わりじゃないジョワーン!」
やはりか、先程までへばっていたが、突然体を起き上げ、一気に必殺の体勢に入ったのだ。
「ニャニイ?!」
「マズいですケイジ君!必殺技が来ますよ!」
「やっぱりな…ホル!」
だから、俺はこのために用意させておいた。ホルに。
そう、ホルも俺の後ろに隠れてとっくに必殺技の体勢に入っていたのだ。
「やらなくちゃ…トホホの砲…!」
「ボボジョワーン…?!」
ホルが俺の合図と共に大量の霊魂をドンヨリーヌに放ち、ドンヨリーヌは堪らず攻撃の姿勢をやめ、後ろに後ずさってしまう。
「よし、今だ!ジバニャン!」
「任せるニャン!喰らえ!ひゃくれつ肉球!!」
その隙にジバニャンの渾身のラッシュが決まり、ドンヨリーヌを大きく後ずらせ、遂にドンヨリーヌは負けを認めた
「わ、私の負けだわジュバーン…ごめんなさいなのジョワーン…」
「完全勝利、だな」
「やったー!」
「オレっち達大勝利ニャーン!」
だが俺達が勝利を喜んでいると、突然ウィスパーが何かに気づいたように辺りを見回す。
「むっ!どうやらまた別の妖怪が近づいてくるようです!」
「ま、また…?」
「お、お前!こんな所にいたボーノ!」
そして紫の煙と共に出てきたのは黄色いフワフワな妖怪。ドンヨリーヌとは違い、とても温かい雰囲気の妖怪だ。しかも現れた途端、俺の母さんたちに取り憑くと一瞬で喧嘩をやめさせてしまった。
「喧嘩はダメだボーノ! オレが言い過ぎたホノボーノ!機嫌を直してくれボーノ!」
「オ〜ホノボーノ!私の方こそ勝手に家を飛び出してごめんなさいジョバーン!」
「どうやらお二人は夫婦のようですね〜」
「夫婦…?!」
妖怪に夫婦ってあるのか?!初めて知ったぞ?!妖怪ってどうやって結婚するんだろうか…
「ウチの嫁がご迷惑を掛けたホノボーノ」
「仲の良い夫婦を見てたら悔しくなって取り憑いちゃったのジュワーン」
「そ、そうか…」
駄目だ、妖怪に結婚とかの概念があるのが衝撃的すぎてあんまり話が入ってこない。まぁ要するにただの嫉妬だったわけだ。そんな本気の悪意を持ってやったとかじゃないらしいのは良かった。
「お詫びにお友達になってあげるわボボジョワーン」
「あぁ…」
ついでに成り行きで妖怪メダルも貰ってしまった。呼び出す機会あるんだろうか…
「強い男は好きよジュワーン、いつでも呼んでねジュバーン」
「あぁ、またなんかあったらな」
それ夫の前で言ってもいいのか…?俺は小学生ではあるけど、安易にそういう事を言うのは良くないのでは…
「また会いましょうボボジョワーン」
「お騒がせしたボーノ」
そして妖怪夫婦は紫の煙とともに何処かへ消えていった。まさか別の夫婦喧嘩に巻き込まれるなんてな、はた迷惑な物だ…
「仲直りができたようで何よりですね」
「できればもうこちらを巻き込まないでほしいけどな」
そして横目でアッツアツなやり取りを交わしている母さん達。まぁこれはドンヨリーヌも羨ましがるわけだ。
「ケイジ?一人でブツブツ喋ってどうしたの?」
「あぁいや、なんでもないよ、母さん」
「よーし、今日は父さんが夕飯を作っちゃうぞ〜!」
「うふふ、皆で仲良く作りましょ。ほら、早く手を洗ってきなさ〜い」
「はーい」
俺も仮に結婚するとしたら、これくらい仲のいい夫婦でありたいな…
「ね、ねぇねぇケイジ…」
「ん?どうした」
「後でドンヨリーヌのこと、部屋に呼ぶことってできる?」
俺の服を引っ張らながら、上目遣いでそう話すユキ。これを素でやってるなら魔性の女だな、これは…
「できるが…それがどうした?」
「いや、なんでもないよ?! い、一応!一応呼んでおいてね!」
「あぁ…」
何をする気なんだろうか、何となく振り返って戻っていく時に顔が赤かった気がするが…
ちなみにこの後ユキちゃんはドンヨリーヌさんに色々相談しました。相手は既婚済みだからそういうことも…ね?
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