基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生) 作:暇なグリッチ
「お疲れホル、今日も頑張ってきたんだな」
「うん…ケイジ君にはまだまだ叶わないけど…」
ボクはトホホギスのホル。ケイジ君のともだち妖怪。
今はいつものトレーニングから帰ってきたところ。…意外かな、ボクみたいな妖怪がトレーニングなんて。
正直、今までのボクじゃそんなことはしない。それはボク自身も分かってる…でも、ボクはケイジ君のお陰でちょっとずつ変わって行けている。
ケイジ君っていうのは、僕の目の前にいる人間のこと。人間なんだけど、そこら辺の妖怪はパンチだけでぶっ飛ばしちゃうくらいには強いんだ。…ボクも食らったけど、とっても痛かったよ*1
でもその後やりすぎたってちゃんと謝ってくれたし、御託はいいなんて言いつつこの人間は優しいんだなっていうのがちゃんと伝わってきた。
「ユキちゃんは…?」
「ユキさんなら、一人でさくらニュータウンまで行ってしまったみたいですよ」
「どうせスイーツ食べに行ったニャーン…」
ユキちゃんの場所を教えてくれたのはウィスパーさん。ケイジ君の執事(自称)らしい。そして横でぐーたらしているのがジバニャンさん。こんなダラダラしてるけど、ボクよりちゃんと強い、実際ドンヨリーヌさんと戦った時は必殺技で見事勝利を勝ち取った。
そしてさっきから話に出ているユキちゃんとは、ケイジ君の友達のゆきおんなのこと。そして…多分、ケイジ君のことが好き。
いつからなんだろう、本当に気づいたら常にケイジ君のそばにいて、基本的にケイジ君の後ろを楽しそうについて行っていて
まるで、好きな男の子と話すときみたいな可愛い笑顔で接して
「ユキがどうかしたか?」
「ううん、気になっただけだよ…」
相変わらずボクはツイてないから、悪いことは起こるし、まだまだ皆より弱いけど、それでもちょっとずつ変わることができている。トホホ…と言う機会も前に比べて圧倒的に少なくなった。ケイジ君にはとても感謝している。なのに…なのに…
最近、ユキちゃんと話している姿を見ると変な気分になる。
勿論ケイジ君のことは好いている。ボクの変わるきっかけを作ってくれたから。なのに…どうしても、モヤモヤした何かを抱えてしまう。
駄目だって、ボクの恩人とも呼べる人にそんなこと思っちゃ駄目なのにってわかってるのに。思わずにはいられない。
「…ホル?」
「な、何…?!」
「いや、何か考え事していたらしいからな」
「い、いや…何もないよ…大丈夫…」
トホホ…また心配させちゃったなぁ…
しかも、ユキちゃんの時が一際大きいというだけで、こんな感情を抱くのはそれだけじゃない。最近、ケイジ君はドンドン妖怪の友達を増やしている
昨日だって、ぶようじん坊さんとそこら辺でたまたま出会ったから軽く手合わせしたらこちらを気に入り、友達になったんだとか。その話を聞いてボクはこう思ってしまった
ずるい、って
最初はともだち妖怪はボクだけだったから、ケイジ君もボクにいっぱい話しかけてくれた。でも、ユキちゃん、ジバニャンさん、ドンヨリーヌさん、さっき話したぶようじん坊さんもそう。ケイジ君は妖怪に好かれやすいんだ。だからともだち妖怪がドンドン増えていく。
…怖いんだ、そのうちボクを見てくれなくなるんじゃないか、って
「…何か、怖いのか?」
「えっ…?!」
「いや、話したくないなら話さなくて良いんだが…友達だろ?」
「天野ケイジの嫌いなこと、その6。
あの時こうしておけばよかったと、後から後悔すること」
「…話せるなら、話してほしい。力になれるなら俺はなりたい」
ケイジ君がそんな真っ直ぐな目で見てくる。真剣で、でも何だか優しい。何処までも真っ直ぐな目
「…怖いんだ。ボク…」
「怖い?」
「…ケイジ君に、見てもらえなくなるんじゃないかって…」
「何?何でだ」
「だって、ケイジ君にはともだち妖怪が増えてきたでしょ…?もしかしたら、その妖怪たちに夢中になって…ボクなんて、忘れちゃうんじゃないかって…」
言った。言ってしまった。ボクの汚い本音を、吐いてしまった。でもケイジ君は少し黙ったあと、顔を上げてボクを抱き上げた
「わぁぁ?! け、ケイジ君…?!」
「…すまん、まさかお前をそんな思いにさせてたとは」
け、ケイジ君が、ケイジ君が近い…?!
ウィスパーさんが「アツアツですね〜!!」と茶化してきている…そ、そんな場合じゃないのにぃ…?!
あ、蹴っ飛ばされちゃった…
「あのソフトクリームめ…いいか、ホル。お前を蔑ろにすることは絶対にない。約束する」
「ケイジ君…」
「お前の努力はいつも見てるし、お前が俺の力になろうっていう姿勢は本当によく伝わってる。俺はそれが嬉しいんだよ、そんな友達を、わざわざ蔑ろにすると思うか?」
「…」
「でも、そんなふうに思わせてしまってたってことだ。これじゃ、友達失格だな」
「そ、そんなことないよ…!」
「あるさ。最近はユキやジバニャンに構ってばっかりだったしな…そう思ってしまうのも仕方ない。俺の責任だ」
…あぁ、優しいな。ケイジ君って。堅苦しい雰囲気だから分かりにくいだけで、本当に優しくて、情に厚い…そんな、ありふれた人間なんだ。
「と、とりあえず降ろして…!」
「あ、あぁ。すまん…」
ケイジ君が優しくボクを降ろす。あぁ、気がどうにかなるかと思った…
「…でも、ありがとう…ケイジ君がどう思ってくれてるか、ちゃんとわかったから…」
「あぁ、次からはこういうことがないようにする。お前も何かあったら遠慮なく言ってくれ」
「うん…!」
ボクは、今世界で一番幸せな妖怪なのかも知れない
それくらい、ボクの心はぽかぽかしていた。
尚、同室でその光景を見ていた地縛霊のコメント
「ここでイチャイチャされても困るニャン…」
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10評価って凄い期待されてる…期待を裏切らないよう頑張ります!