基本妖怪のせいにできる世界に転生したちょっと癖強いサラリーマン(現小学5年生)   作:暇なグリッチ

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タイトル通りだ、理解しろ


ミツマタの大蛇

「残りはここ…か」

 

俺達は今、さくら住宅街の結界とやらを戻しているところ。そして最後の結界があるさくら第一小学校に来たところだ。何故こうなったか、それは昨日に遡る

 

――――――――――――――――――

 

「妖気が強くなってる?」

 

「えぇ」

 

俺が筋トレを終えたあと、ウィスパーはいきなり俺にそんな事を言ってきた。いつになく真剣な顔で

 

「どういう意味だ?」

 

「街に満ちる妖気が段々強くなっていっているのです」

 

「何?」

 

「えぇ。しかもこの前友達になったバクロ婆が怪しい男を見かけたらしくてですね。小学校の方から歩いて来たサラリーマンが結界がどうのと呟いていた、と」

 

「なるほど…」

 

「最近、やけに元気のいい妖怪達がいるのも恐らくそのせいなのでしょう」

 

なるほど。そう言えば多少有名になったとはいえ、勝負を挑んでくる妖怪が多くなってきたなとは思っていたが、まさかそれが原因なのか?

 

「その結界を知ってそうなサラリーマン。実に怪しいことこの上ありません。彼は郵便局に行ったようです。行きましょう!」

 

「待て待て、もう夕方だ。今から出たら夜遅くなってしまう。せめて明日だろ」

 

「おっと!そうでした、ご両親に心配をかけるわけには行きませんね!」

 

――――――――――――――――――

 

そして今日、ついさっきサラリーマン…というか、それに化けたネクラマテングとやらを倒してきた所だ。そして奴は消える前にこう言った。

 

『公民館と銀行の結界には仲間が向かった後だ…アレを再び封じられない限り、世界は我ら妖怪たちのも…の…』

 

そしてウィスパーが言うには、この街には強い妖気が満ちており、結界はそれを封じるために作られたもの。悪い妖怪はその力を手に入れるために結界を破って回っている。そしてそのままでは人間と妖怪の世界の境目がなくなり街は大混乱、だから悪い妖怪が影響を受ける前に結界を戻しに行かないといけないということだ。

 

で、実を言うともうその二つの結界はウィスパーの執事パワーとやらで戻すことができた。適当すぎて本当に戻せたのか俺はまだ疑っているが…

 

「大当たりですね!どうやらこの街を包んでいる強烈な妖気はここから出ているようです」

 

そしてウィスパーの推理通り、さくら第一小学校に来て見ると最後の結界を発見した。最近になって妖気の気配というものがやっと少しずつ分かるようになってきた程度の俺でも、ちゃんと肌で感じられるほどの濃い妖気だ。

 

「良し、さっさと戻すぞ。だが何があるかわからない。一応気をつけろよウィスパー」

 

「えぇ、お任せください! それではさっさく…うぃす!?」

 

ウィスパーが触れようとした途端、いきなり恐ろしいほどの妖気が放たれ、思わず俺も後退る。だが構わず結界を戻そうとした瞬間、突然紫の煙が現れた。

 

「なんだ…っ?!」

 

「ギョロロローン…ワガ眠りを妨げるノハ誰ギョロり…」

 

煙の中から出てきたのは口の中に1つ目を持った3つ首の巨大な妖怪。今までの妖怪とは格が違うのが目に見えて分かるほどだった。

何だこいつは…まさか、ここを守ってる妖怪か…?

 

「ウるるぁ…力がミナぎってくル…数百年ぶりノ自由ギョロ!」

 

「…そういうわけじゃあなさそうだな」

 

守っているどころか、恐らくここに封じられていたというべきか。俺は懐から3つのメダルを取り出し、一気に妖怪ウォッチに装填する。

 

「俺の友達、来いッ!ジバニャン!ユキ!ホル!」

 

プリチー!召喚!

 

ブキミー!召喚!

 

「な、なんか強そうニャン?!」

 

「お、大っきすぎない!?」

 

「ひえぇぇ…」

 

「エサが5匹…まずハ手始めニキサマら食ろうてくれるギョロ〜!!」

 

「怖気づいてる場合じゃない!来るぞ!!」

 

ヤツはこちらまでその巨大で近づいてくると3つの首から炎を放ち、なんとかユキが氷の壁で防ぐが、相手の火力もかなり高いのかみるみる溶かされていく

 

「や、ヤバいニャン!」

 

「ユキ!あいつに手加減する必要はない、凍らせてやれ!」

 

「わかった!!」

 

―――ゆきんこシャーベット!!

 

「ギョロ?!」

 

ユキのフルパワーでの必殺技により、ヤツは大量の氷柱を頭の上から落とされ、さらに強烈な冷気より体が凍り、動きを止めることができた。その瞬間、俺はすかさず前に飛び出し、凍っているヤツの身体に渾身のパンチを突いた。

 

「今だ、この隙を…突くッ!!」

 

「…ヌルい、ヌルいギョロ〜!!」

 

「な…っ?!」

 

しかしまるで効いている様子がなく、むしろ動揺したその隙に首で薙ぎ払われ、近くの木に激突してしまった。

 

「大丈夫ですかケイジ君!?」

 

「大丈夫だ、受け身は取ったからそんな怪我は負ってない…」

 

だが参ったな、ついに攻撃が効かない敵が来たか。さっき殴った感覚では、皮がかなり分厚く、硬かった。あれじゃああいつらの攻撃すら届かないだろう。

…だが、そんなことは諦める理由にはならない。

 

…天野ケイジが嫌いなこと、その7

最後の最後まで抗わないこと!

俺は悔しい、悔しいんだ。今まで戦えていたのに、こんな所であっさり戦力外にされそうになっている今がッ!!

 

敵わなかろうが関係ない。諦めないことが自らを高める。それに…どんな奴にだって弱点はあるはずだ。こうもしている間にホルも、ユキも、ジバニャンも、皆頑張っている。

 

考えろ、絞り出せ。俺の足りない頭をフル活用しろ…何か、何か!!

 

「きゃっ!!」

 

「ソンナ氷じゃ、頭もヒエないギョロ!!」

 

ヤツがぶっ飛ばしたユキを、目玉を丸出しにしながら嘲笑っている。ユキを笑いやがって、今すぐにでもあの目玉を…

 

「…目玉?」

 

「ど、どうしましたケイジ君? 安静にしておかないと…」

 

「そうか、目玉!目玉だッ!!」

 

なんだ、最初から弱点は丸出しだったわけだ。俺は近くにあった大きめの石を持って、ヤツの下へ走り出す。

 

「ケイジ君?!危ないですよ!!」

 

「ケイジ君、来ちゃ駄目…!」

 

周りに止められる。だが俺は止まらない。このまま終わってなるものか。チャンスを無駄にしただけのお荷物になってたまるかッ!!

 

「目がある生物で、目をやられてただですむヤツがいるわけないよ、なぁッ!!

 

そして俺の投げた石は、無防備にさらけ出された目玉に一直線に向かっていき、直撃するとヤツは目を閉じながら痛そうに暴れ出した。

 

 

「グゲェ〜ッ?! ナ、ナンテことするギョロ!!このガキめェ〜!!」

 

「先に仕掛けてきたのはそっちだ、文句言うなよ! ヤツの目玉を集中的に狙え!」

 

「わかったニャン!!」

 

「了解!!」

 

「うん…」

 

そしてジバニャンが再びヤツがこちらを睨んできた拍子に攻撃しようとする。…が。なんと今度は目を閉じて防いでしまう

 

「ニャニイ?!」

 

「ソウ何度も食らうわけなイギョロり!!」

 

「ニョエー?!」

 

そして頭突きのカウンターを受け、こちらまで吹っ飛んでくる。

 

「ジバニャン!!クソッ、もう1回…!」

 

「駄目ですケイジ君!危ない!!」

 

「…?!」

 

俺が再び近くの石を持って奴に投げようとした途端、既にヤツは口を大きく開け、炎を放つ準備をしていた。

 

マズい…間に合わな…っ?!

 

――――――――――――――――――

 

ボクは、また何もできていない。

 

さっきから風の刃を飛ばしたり、つついたり必死に頑張ってるけど、有効打を与えてるのはずっとジバニャンさんとユキちゃん。ボクはただ後ろでチョロチョロしているだけ。

ケイジ君もすっかり擦り傷だらけで痛々しい、でもその目の闘志は一切消える様子はなかった。

 

…恥ずかしい。恥ずかしいよ。諦めかけてるのはボクだけじゃないか。勝てるわけがないって…また今回もダメだって。

 

もう怖くて、戦えない。動けない。そう思ってた。でも…

 

「駄目ですケイジ君!危ない!!」

 

「…?!」

 

今、目の前でケイジ君が炎を放たれそうになっている。ケイジ君は完全に予想外だったのか、もう避けられそうにない。

ユキちゃんもジバニャンさんも助けに入るには遠すぎる。間に合わない。

…わかった、ボクが怖いのは、戦うことじゃないんだ。この目の前にいる大蛇じゃないんだ。失くすのが、怖いんだ。

 

―――大好きな君がいなくなっちゃうのが、怖いんだ!!

 

 

気づいたら、ボクの体は動いていて…

 

――――――――――――――――――

 

「…?」

 

目を瞑っていた。これはどう足掻いても避けられない、もうダメだと思ったから。だが、いくら待っても一向に熱くない。震えながら目を開けると、そこには…

 

「ッ!! ホルーッ!!」

 

俺を庇って倒れているホルが、いた。

 

「ギョ〜ロギョロギョロ!!焼き鳥の完成だギョロ〜!!」

 

愉快そうに笑い声を上げるヤツ。クソッ!!守るために戦ったのに、こんなことあるか…ッ!!

 

「ホル!大丈夫かホル!!」

 

「…ボクね、やっとわかったよ」

 

「な、何がだ…」

 

「ボクは、戦うのが怖いんじゃないんだ。痛いのが怖いんじゃないんだ」

 

「君を失うのが怖いんだ。大好きな君が…」

 

「お、お前…」

 

ホルは震えながら、その所々焼けた体にムチを打ち、立ち上がる。

 

「おい!もういい!お前は休め…!!」

 

「休めないよ…まだ、ボクは何もしてないんだ…!」

 

すると突然、トホホギスの体が青白く光りだした。その様子にさっきまで愉快そうにしていたヤツも思わず動きを止める。

 

「…ギョロ?」

 

「お前…いや、知ってるぞ。まさか…」

 

―――進化。ウィスパーがこの前、妖怪は進化すると言っていた。他の妖怪と合体したり、アイテムを使ったり、経験を積んだりするとその妖怪が進化することがある、と。

 

「あぁ…わかった。止めないよ。お前の思う存分ぶちかませ」

 

「…あのー、ケイジ君。アツくなってるところすいません…」

 

「な、なんだ…?」

 

すると横から恐る恐るといった様子でウィスパーがやってくる。なんだ?!俺は今感動してるところなのに…!

 

「…トホホギスって、進化しないはずなんですが…」

 

「…え?」

 

いやっ、でもアイツ今にも進化しそう…え?え?

 

「お、おい待て!お前本当に大丈…ッ!」

 

俺が言い切ってしまう前にホルが眩い光に包まれ、思わず目を瞑ってしまう。そして、光が止むと…

 

「おい!ホル!?お前大丈、夫…」

 

「うん、大丈夫…だよ?」

 

トホホギスがまんま人の姿になったような少女が、いた。




ヒロインレースにホル、参戦ッ!!
過去一長くなっちゃったよ…

コメント、評価、お気に入りのほどよろしくお願いします!
ドンドン伸びてて嬉しいぞッ!!
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