東方骸骨録   作:饅頭こわよ

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オーバーロード未読でも伝わるように、原作の設定を一部改造しています。
ヘロヘロさん⋯⋯どこかで出すからね。




プロローグ

DMMO-RPG『ユグドラシル<Yggdrasil>』

ユグドラシルとは西暦2126年日本のメーカーが満を持して発売した、仮想世界内で現実にいるかのように遊べる体感型ゲームである。

数多存在するDMMO-RPGの中でも燦然と輝くタイトルとして知られているゲームであり、日本国内においてDMMO-RPGといえばユグドラシルを指すとまで言われる評価を受けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⋯⋯それも既に昔の話である。

サービス開始から十数年。明らかに調整ミスな敵キャラの強化、インフレ、マンネリ化、そして止まらない人口減少。

栄枯盛衰という言葉がある。今の時代、それが正にユグドラシルなのだろう。

 

そう鈴木悟は思いを巡らせて、ギルド拠点の中で独りため息をついた。

 

「いよいよ今日がサービス終了日。最後だからとメッセージを送って企画も考えてはいたんだけど、結局、誰も来なかったなあ」

 

彼のゲーム上のアバターは一言で表現すると、煌びやかな衣装を纏った骸骨であった。骸骨に血管はない。もちろん涙腺もない。目の窪みから溢れるのは空気だけだというのに、なぜだろうか。体の内側から溢れてくるものがあった。

 

「皆は今頃何をしているんだろう」

 

総勢40人のギルドメンバーの引退理由は様々だった。リアル多忙、健康悪化、他ゲームへの乗り換え。一人、また一人と数を減らしていき、気がつけば残っていたのは鈴木悟ただ一人。

もちろん、他ゲームへの誘いも沢山あった。⋯⋯あったのだが。

 

「⋯⋯それは、違うだろ」

 

いいや何も違わない。そもそも、一つのことに十数年も固執している方がおかしい。

そう分かっていながらも、ギルドメンバーと過ごした数々の思い出は彼にとって宝であった。人にとって譲れないもの、価値観はさまざまであるが、鈴木悟の場合は彼らとの思い出を含んだこのゲームだったということだ。

 

「サ終まであと10分。いよいよ、か」

 

この場にいるのは俺だけということは、ドッキリかもしれない。あともう少ししたら、かつての仲間たちが一斉にログインして、俺を驚かせようなんていう。

そして、そんな悪趣味な彼らに言うのだ。

 

「あなた達の魂胆なんて、スケルトンの僕には透けとるんですよ!⋯⋯って、ハハ。どんな妄想してんだよ、俺。普通に面白くないし」

 

再び大きくため息をつく。諦観。その二文字が頭を埋め尽くした。

サ終まであと三分。

 

縋るように虚空を見つめた。

 

 

「もう一度だけ、会いたかったなあ」

 

最適な装備の議論で白熱した、ケンカもした、方向性の違いで仲間割れも起こった。

ギルメン全員で最難関ダンジョンをクリアした。少数で大勢のプレイヤーを倒したこともあった。雑談だけで一日が潰れたこともあった。

 

走馬灯のように記憶が駆け巡り、時計を見る。

サ終まであと10秒だった。

 

「楽しかった。本当に、楽しかったんだ」

 

彼の呟きは誰にも拾われなかった。






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