【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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巓様の視点になります。



染まらぬ白 序

私の愛する秋葉妙(かあさま)の血筋を拐った挙げ句、その身を押さえ付けて異能を私欲のために使おうとする愚物共の糟、虫ケラ、塵芥、花に群がる害虫を愛する秋葉妙(かあさま)に賜った忌々しき(バケモノ)器物「含牙戴角(がんがたいかく)」を振るって切り裂く。

 

「退け。虫ケラ」

 

「このチビがッ」

 

「囀ずるな、息が臭い」

 

「てめえら、撃て!薙刀なんぞ骨董品だ!」

 

ウジャウジャと鬱陶しく集まってきた愚物共に私は深く深く溜め息を吐き、かつては陰陽太極の太陰として君臨していた私を侮り、況してや自分こそ優位な存在であると蒙昧する塵芥の撃つ銃弾を髪の毛を束ねて防ぎ、そのまま撃ってきた下物に向かって弾き返す。

 

「ば、ばけもの…!」

 

「我は白面の者(バケモノ)(あら)ず、我は秋葉巓(あきば てん)なりや」

 

コンと薙刀の石突きを地面に突き立て、他の愚物より幾分か使えそうな黒い服を身に付けた男を威圧し、此方に意識を向けるように誘導してやる。

 

白猩々(しろしょうじょう)、退け。その塵は私が相手をしてやる」

 

「誰が白い少女だ!俺は男だぞ!」

 

いきなり吼える白い服を身に付けた男を睨み付けるように見上げる。私の嫌いな声だ。あんな獣に一度敗れた記憶を思い出し、小さく舌打ちをする。

 

全く怒鳴れば良いと思う男は好かない。

 

「私の物を奪った相手を探しに来た。白猩々、少なくともお前の気配は陽だろう。アレを助けるならお前か先に走った銀の女のどちらでも良いんだ」

 

薙刀の切っ先を真横に立つ白い服を着た男に突きつけ、さっさと私の代わりに才賀命を探しに行けと命令しながら黒い服を着た男に視線を戻す。

 

「……死んだら許さねえからな!」

 

「誰に言っている。行け、白猩々(しろしょうじょう)

 

「俺は少女じゃねえ!加藤鳴海だ!」

 

イチイチ叫ばなければいけないのかと「かとうなるみ」と名乗った男の背中を睨み付け、直ぐにまた黒い服を着た男を見据える。

 

「退屈しのぎだ。遊んでやろう。来い、糟」

 

「……俺はカスじゃない。黒賀平助だ」

 

「知らん。お前は糟だ」

 

私の言葉に怒ることも嘆くおともせず、静かに私を見つめる糟の眼差しに愛する秋葉妙(かあさま)を見つめるナガレ(とうさま)に似たものを感じる。

 

確か、恋慕というのだったか?

 

そう小首を傾げながら男を見れば顔を赤く染め、必死に(かぶり)を振り乱して意識を戦いに切り替え、人間同士の殺し合いで使う拳法だったか?の構えを取った。

 

「黒賀平助、流儀は洪家拳だ」

 

そう言うと男は私に手のひらを獣の爪に見立てて素早く突きだし、その十指を用いて切り裂き、毟り、千切るという攻撃を仕掛けてきた。

 

私は薙刀を振るわず、髪を操って突きと掴みを合わせた打撃を受け止め、その腕を縛り上げるも爪で髪を裂かれ、生命を刈り取るには至らない。

 

成る程、存外に人の技も馬鹿に出来ない。

 

────だが、何より忌々しい動きだ。

 

「この私に向かって、虎の爪とは不愉快だ」

 

「そうかい?なら、俺には好都合だ!」

 

髪の毛を束ねて攻撃を防ごうとした刹那、両の腕を捻り巻き上げ、私の髪の毛を二房に抑え込まれ、袖を引き千切って現れた分厚く太い手が私の胸を掴み、男の顔が真っ赤に燃え上がる。

 

……男とは本当に愚物ばかりだ。

 

「ち、ちがっ、そういうつもりじゃ!?」

 

「死ね。塵がッ!」

 

私の振るった薙刀の柄が男を殴り倒した。

 

最後は言い訳をしようとしていたが、愛する秋葉妙(かあさま)に貰った身体にいきなり触れるなど断命を言い渡しても良いところだが……。

 

「…フン。全て命の所為だ、許さん」

 

そう言って私は屋敷へと向かう瞬間、片足を掴まれた。意識を無くしても戦意を失わず、格上に挑み続けようとしているのか。

 

「まだ、だ…!」

 

糟、いや、男の力強い視線が私を見上げる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「クク、負けず嫌いな男は嫌いじゃないぞ」

 

 

 

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