「梁さんのお父様は拳法の達人なんですよね」
「え?えぇ、形意拳のね」
ガサガサと背の高い草を掻き分けて、踏みつけて道を作っていく鳴海お兄さんと王さんの二人を呼吸を乱しながらも付いて歩く途中、そう染明霞に訊ねる。
「鳴海も習っていたけど。ゾナハ病をお父さんに移した揚げ句、日本に逃げ帰って……貴女の話は疑ってないけど。あんまり無茶しちゃ駄目よ?」
「っ、すみません」
私の手を握って歩くのを補助してくれる彼女に謝りつつ、ルシールおばあさんを見る。何かを探すように周囲を見ているものの、まだ見つかっていない。
そう思いながら歩いていたその時、鳴海お兄さんと王さんの二人の動きが止まって周囲を警戒し始める。まさかここにも
────けれど。草の中を掛けるものは動きを止めて、静かに燐光のように日の光を纏う銀色の毛並みを持った大きなワンちゃんが座っていた。
「……かわいい」
「「「えぇ……?」」」
「犬のしろがねかい?珍しいね」
ヨシヨシと撫でてあげたい欲求を我慢できず、ワンちゃんに近づいてワシャワシャと綺麗な毛並みを撫でてあげながら四次元ポケットに、こんなこともあろうかと用意していた発明品『グルメン』を食べさせる。
「フフ、良い子ですね♪︎」
「ペットフードまで持ってきてたのか」
「……用意周到といえばそうだが、ちょっと気の抜ける子すぎないか?」
「
私とワンちゃんのやり取りに呆れ気味に溜め息を吐くみんなに小首を傾げてしまう。こんなところに、しろがねのワンちゃんがいるのなら必然的に考えれば私達の求める「生命の水」はあるはずです。
「ワンちゃん、教えてくれますか?」
「ちょっと犬に言葉が通じるわ、け…が……」
私達の事を振り返りながら歩き出すワンちゃんを「やっぱり良い子ですね!」と褒めて追いかける。もしかして、この子も人知れず
そう思っていた刹那、強烈な突風が吹き抜ける。
「な、なに?」
「風にしては速すぎるわよ!?」
「騒ぐのは良いが、次は服以外も斬られるよ」
ルシールおばあさんの言葉に私と染さんの二人は慌てて突風で斬れた上着を押さえながら鳴海お兄さん達を睨み付けるも直ぐに顔を逸らされた。
うぅっ、破廉恥な風は許せませんっ。
「梁さん、このスカーフを使って下さい」
「た、助かるわ」
男の人に背中を向けたまま裂けた部分を縛ったり布を当てて隠す。発明品で何か代用品があればいいんですが、いきなり過ぎてビックリしました。