【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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風使い 破

ビュウッ!と空気を圧縮して放つ音を聴きつつ、その衝撃を扇子の親骨を使って払い、つむじ風を巻き起こしてパンタローネの身体を退ける。

 

「この私相手に風だと!?」

 

「ホホホ、ミコトも面白い事をする」

 

怒りを露にするパンタローネを見ながら笑うルシールおばあさんに少しだけ視線を向け、直ぐにまたパンタローネの事を見据えて扇子を拡げる。

 

風を自由に操る事の出来る発明品『バショー扇』は使いなれている道具に似ているから作っただけですし、そろそろ夏が終わるので御披露目出来なかったものです。

 

そういう誰かを馬鹿にする意図は無いです。

 

「命、あんまり無茶するなよ!」

 

「まだ大丈夫です、鳴海お兄さん!」

 

「ならば、おまえの風を上回るだけだ!」

 

手のひらに空いた穴から空気を圧縮して噴射し、高速移動を始めるパンタローネの動きを肉眼で追えず、ゆっくりと姿勢を正して扇子を閉じる。

 

「…………」

 

「臆したか!」

 

「臆病さは必要ですよ、特に貴方は」

 

急速旋回して手のひらを突き出してきたパンタローネの顎先に扇子を突きつけ、お互いに振るえば確実に相手の命を奪う事の出来る間合いを保つ。

 

「あの女の血筋と思えない大胆さだ」

 

「ムッ。私はお母様に似ていると評判ですが?」

 

そう言って私がパンタローネを見上げたその時、彼の木で出来た目の奥に駆け出している自動人形(オーオマータ)を目撃し、梁さん達の方に素早く振り返ると同時にパンタローネの風が髪を掠める。

 

───ッ、女の子の髪に傷をつけるなんて!

 

「もう絶対に許さないんだから!!」

 

カチリと風圧の強弱を最大まで上げてパンタローネに扇子を振り上げた次の瞬間、強烈すぎる突風は山を砕き、彼を何処かに吹き飛ばしてしまった。

 

「ゔっ、ゲホッ、ゲホッ…ッ…」

 

ちょっと運動しただけなのに咳き込み、ボタボタと手のひらに零れる血の多さに涙を流しながら、荒く乱れた呼吸を整えられず、お薬を使っても耐えられない。

 

苦しい、喉が、胸が痛いッ…!

 

「落ち着きなさい。ゆっくりと息を吐くんだ」

 

「ゲホッ…ばぃ゛……ずぅ、ごほっ…」

 

鳴海お兄さんの先生に言われたように、ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら身体を起こし、お腹に少しだけ力を込めて空気を吸って、吐いて、吸って、吐いて、それを何度も繰り返していると意識が定まってきました。

 

流石は拳法の先生です、すごいですね。

 

セーラー服に血が滲んで恥ずかしくなりながらも「ありがとうございます、鳴海お兄さんの先生」と言えば穏やかに笑って「そうか。鳴海(ミンハイ)がお兄さんか……」と呟いていた。

 

 

 

 

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