仲町の奴らが寝静まった真夜中、トラックの上に腰掛ける私の背後に立つしろがねに視線を向ける。あの男のしろがねの事を効きたいのだろう。
しかし、私が知っているのは上部だけだ。
「知っている事しか話せない」
「構わない。教えて欲しい」
しろがねは真っ直ぐ私を見据える。
全く私と似たような声をしているというのに、そうも真っ直ぐ生きている理由はなんなんだ?私は人間に生まれ変わって尚も喜怒哀楽の感情を喰らい、妖気を蓄えることが出来るのだぞ。
ゆっくりと私の隣に腰掛けるしろがねを見る。
「私が知っているのは百年と少し前ぐらい、糸色景と相楽左之助の二人が夫婦のしろがねと出会った事だけだ。その片割れは才賀……そう、才賀正二だ」
「正二おじ様が?」
「そして、才賀勝と才賀命の祖父でもある。全く奇縁は何処に繋がっているのか分からないものだ。だが、少なくとも善い人間だったのだろう」
「確かに、おじ様は私に人間になる理由をくれた」
「馬鹿者、人は人にしか成れない。幾星霜の年月願おうと人に成れるのは奇跡に等しい。───故に、私は魂を震わすものが好きだ」
そう言うとしろがねはクスリと笑った。
私の言葉の何処に笑う要素があったのかを問えば「だって、テンったら自分の事を化け物みたいに言うんだもの」と言ってきた。
そうか、そうだったな。
また白面の者としての生き方を思い返していた。
「しかし、糸色家としろがねは協力関係にあるとは聞いていたけれど。すべてら正二おじ様の頑張りによるおかげだったのですね」
「あのしろがねの男を知っていた理由もそれだ。4年か5年ほど前に糸色本家の会合にあの男が紛れ込んでいるのを覚えている」
少なくとも、あれは呼ばれていた側だ。
分家の血筋意外に二つの糸色家を陰ながら守護する組織の長も集まる会合。きっと、あの時だったのだろう。あのときに蛮竜は命を見初めた。
私では蛮竜を扱えない。
その理由も知っている、が……。
「先生が糸色に?」
「おそらく情報提供と技術交換だろう。糸色には世界中の知識や技術を集めた蔵書も多い。しろがねや錬金術に関する書物がある筈だ」
私も幾つか読んだことはあるが、斗和子として活動していたときに調べたものも載っていた。やはり糸色の吸収力は他の血筋と違い、珍しい。
血筋は絶えず、紡がれる。
「……その、私も見ていいだろうか?」
「愛する
そう言って私はしろがねを見据える。