フェイスレスと名乗った男に続き、続々とやって来た人達は人間としての温かさを感じない人ばかりだ。どうしようもなく怖くて恐ろしくて鳴海お兄さんの手を握り、その後ろに隠れてしまった。
なにより、この人は嘘つきの臭いがする。こんなに嘘を重ねて嘘なのかも本当なのかも分からないほどに重ねて、自分の嘘だけを信じている人は嫌いです。
「お前が怖がるなんて珍しいな」
「……だって、嘘つきの臭いがします」
そう聞こえるか聞こえないかの声量で呟いた瞬間、僅かにサングラス越しにフェイスレスの私を見る目に変化があったように感じる。
その視線を無視してルシールおばあさんの言葉を聞きつつ、天幕の中から出てきた糸を斬る。私の事を狙って伸びてきた、この糸には見覚えがある。
アルレッキーノ。
真夜中のサーカスを取り仕切っている
帯紐に電光丸を佩いて、右手に扇子を構える。
「ドットーレ、あの娘には手出しするなよ」
「分かっているさ。お前の相手だろう?」
ドットーレと呼ばれた恰幅の良い
「アルレッキーノ…!」
「カトウナルミ、お前の相手は後だ。先ずは久しく思うぞ、糸色命。相見える日は楽しみに待っていた。一本足の鎧武者は何処だ」
「某は此処にござる!」
アルレッキーノの問いに四次元ポケットを駆け抜けるように唐倶利武者が飛び出し、その後に続くように百……ううん、千体は越える緑色の笠を被った小学生の様な背丈の機巧人形が現れる。
大百科に載っていた足軽殺駆達だ。
その中に一人ずつ緑色、青色、赤色、紫色がいる。
みんな、一文字槍を携えている。
「弓組、旗組、長柄組、各々の部隊を指揮する同胞を統轄せし我が名は唐倶利武者!あるれっきぃの!百年前の因縁を此処で断たせて貰う!」
「笑止。この戦いは因縁ではなく宿命である!」
いきなり、戦いに入りそうな彼らを制することも出来ず、私は唐倶利武者の後を追いかけて、真夜中のサーカスの天幕に駆け出す。ルシールおばあさんに「先に入っています!」と告げ、唐倶利武者の背中に乗る。
「いざや参らん!」
「フフ、帰って早々に頼もしいですね」
そう言って私は「必勝」と書いた扇子を開く。
────必ず勝つ。
そのために私達はいるのです!