【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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楽士と武者 序

「やはり鎧を変えたか!」

 

「あの時に受けた火炎は忘れぬ!」

 

そう言うと唐倶利武者は鞘を刀のように振るい、リュートを持つ手を殴り、刀を軸に車輪でアルレッキーノの長身を踏みつけ、蹴り飛ばす。

 

どういう原理で動いているのかは知っているけれど。流石は奇天烈斎様の作った唐倶利武者、私の知っている大百科に載っている物より数倍、ううん、数十倍は強くて速くて頼もしい。

 

何故、私の部屋に居たのかは分からない。でも、唐倶利武者の事を贈ってくれたのはお母様か叔母様のどちらかでしょう。

 

お二人はこうなる事を予想していた?と考え込みながらもアルレッキーノを追い詰める唐倶利武者。手出し無用の一対一の決闘、私の他にも見ている気配は多い。

 

その一瞬に気を取られていた刹那、唐倶利武者の兜に亀裂が入り、三日月の装飾が欠ける。他の事に意識を向けてしまい、見ていなかった。

 

一体、何が……?

 

「────唐倶利武者、お前が鎧を変えた様にフランシーヌ様より授かりし、我が緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)もまた新調している。我が身を焦がす、我が至高たる蒼き(ほむら)を受けるがいい!!」

 

「ぬぐうっ!?」

 

蒼き焔。

 

高温度の炎色。確か10.000度を越える温度だと習ったけど、幾ら自動人形(オートマータ)でも高温熱度を使えば自傷してしまうんじゃ……。

 

現に火炎を放つ右手───レ・マン・スカラティーヌと称した白い手は焼き焦げ、黒煙を巻き上げている。勝つために身を焦がすという自分の身を投げ捨てた戦法に私は困惑してしまう。

 

だって、今まで戦ってきた自動人形(オートマータ)は自分勝手で人間の事を玩具みたいに傷付けるひとばかりで、アルレッキーノのようにフランシーヌ人形を敬愛し、全てを捧げる人なんていなかった。

 

「糸色流剣術」

 

素早く一本足の関節を曲げ、溜めを作る唐倶利武者の呟きに目を見開く。糸色家に槍術や薙刀術は存在していますけど。剣術に関してだけ拝見するのも御当主様の許可を必要としています。

 

私の糸色流舞踊も槍術の流れを汲んだ物。

 

糸色景様のお兄様は日本全国、世界諸国を巡って剣術を収集していたと聞き及んでいますが、まさか唐倶利武者の基となった人物は────

 

「龍巻閃」

 

────糸色姿様?

 

ホイールと関節のクッショニングを利用したドラッグカーを彷彿とさせる一直線の移動の最中、身体を捻った回転斬りがアルレッキーノの右腕と右胸を切り裂き、ギャリギャリと地面を擦って動きを止めた。

 

 

 

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