コツ、コツ、と私の歩く音に混ざっている不愉快な歯車の軋み音に薙刀の切っ先を突き刺し、首と胴と手足を切り落とす。雑音も雑像も私の視界に入るな。
スンと鼻を鳴らしたその時、中々に心地好き威圧を纏った右拳を一歩後ろに退いて躱す。───石の壁に深々と突き刺さった五指を握り込み、壁を抉り取る様はさっき私の胸を鷲掴みにした塵芥の男とは思えない雰囲気だ。
僅かに
「リベンジだ。戦ろうぜ」
そう言うと男は左足を後ろに引き、右手を上に、左手を下に、両の腕を繋ぎ、「乙」の文字を描く。私の愛する
あんな子供騙しの何が面白いのか分からなかったが、存外テレビというものはバカに出来ないものだ。尤もシャガクシャのように日がな眺める理由は分からないのだが、いつか私にも分かるだろうか。
「いざ、参る!」
號ッ!と空気を切り裂く爪を避け、髪の毛を束ねて攻撃を繰り出す。私の身体を掴もうと伸びる不快な手を四方に絡まり、角度を付けて縛り付ける。
真っ直ぐ私を見据える黒い瞳。両の手を突き出して、あと数センチほど踏み込めば私の頭を握りつぶす事の出来る間合いまで踏み込んできた男を睨み付け、髪の毛の締め上げる圧を強める。
「私は命を探しに来ただけだ。お前に構っている暇も妖気も霊気も纏わずに私に太刀打ちすることが出来ると本気で思い込んでいるのか」
「俺は黒賀の人間だ。稀代の天才人形師、次期当主は平助だ。そう言われていた俺が事故で両手の神経を怪我して、昔みたいに人形は操れません。そう言われて我慢できると思うか?」
ミシリと壁の軋む音に、壁へと視線を逸らす。
「我慢なんざ出来ねえよなァ…!」
ガシャアンッ……!!と、窓ガラスと壁の弾け、砕け散る音が響き渡る最中、私の顔に男の手が触れ、ポスンと男の身体が私にぶつかる。
「全身の気合いで家屋をねじ曲げる、か。蒼月潮かシャガクシャのように訳の分からない人間は今も昔も多くて面倒だ」
「てめえはさっきの口の悪い餓鬼!」
「うるさい。囀ずるな、白猩々」
「俺は加藤鳴海だ!!この俺のどこが女に見えるのかハッキリと言いやがれ!白黒髪!!」
この白面の者に向かって、よく吼える人間だ。このまま消し炭にしてやろうかと手を伸ばした瞬間、パシンと私の手を白猩々が握り締められた。
「あれだけのチンピラを相手にしたんだ。あとはもう俺に任せて休んでてくれ。しろがね、このまま屋敷の奥に向かうぞ!」
「カトウ、お前はそういう男なのか?」
「あァ?!なにがだよ!!」
ジッと自分の手を見つめる。
あの男の手、私の手よりも硬くて大きく掴まれても振りほどけなかった。私の足元に倒れている糟の手を握ってみる、分厚く硬く大きい手のひらだ。
指も私より太く長い。
私の愛する