【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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真夜中の決戦 序

大きく広い部屋に出た瞬間、照明に照らされる。

 

巨大な台座の上に腰掛ける人影、おそらく自動人形(オートマータ)達の崇拝するフランシーヌ人形だろうと思って見上げたその時、私は歩みを止めてしまった。

 

だって、そこに居るのはしろがねさんだ。

 

───違う。似ているけど、アレは人形だ。

 

本物のしろがねさんは温かくて優しい女の人で、今は日本で勝君の事を守っている筈です。なにより巓ちゃんがフランシーヌ人形は破壊されていると言っていた。

 

それなら、あのフランシーヌ人形は?

 

鳴海お兄さん…!

 

そうだ、鳴海お兄さんなら分かる筈です。

 

「鳴海お兄さん!」

 

「命?無事だったのか?!」

 

そう言って私の事を抱き締めるお兄さんにビックリしながらも違和感に気付く。フェイスレスがいない。あの人は絶対に死なない。いえ、最後まで生き残っていると確信しているのですが。

 

「フェイスレスはどこに?」

 

「……アイツは、オレを助けるために死んだ」

 

苦痛めいた言葉を吐露する鳴海お兄さん。嘘じゃない、本当に鳴海お兄さんの目の前でフェイスレスは亡くなった。壊されたと言うべきなのでしょうか。

 

ゆっくりと鳴海お兄さんの背中を撫でて上げ、ルシールおばあさんに阿紫花のお兄さん達が戻ってきてくれた事と秘密兵器の到着を伝える。

 

「準備は整ったわけだね。さて、最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)。アルレッキーノの居ない三人だけでフランシーヌ人形を守り抜けるかな?」

 

「嘗めるなよ、人間風情が」

 

「何人居ようとフランシーヌ様に辿り着けると思わないことね。ナルミ、あなたは好みだったけど。抱き締めて貰えなくて残念だわ」

 

そう言って残念そうにする女性型の自動人形(オートマータ)と鳴海お兄さんを見つめる。レッシュさんのことをナンパ野郎とか言っていたのに、鳴海お兄さんも好意を向けられているじゃないですか。

 

「お嬢さん、あたしの人形を出せますかい?」

 

「はいっ!」

 

四次元ポケットに仕舞っていた次郎丸を取り出すと素早く懸糸傀儡の操り糸を十指に身に付ける阿紫花のお兄さんにトキメキを感じてしまいます。

 

「加藤、あの時以来だが宜しく頼む」

 

「……だれだ?」

 

「黒賀平助、拳法家だ」

 

「違う。私の夫だ」

 

私も阿紫花のお兄さんをそうやって言えるようになりたいですという視線を向けるも笑顔で誤魔化される。好きって言ったのに、キスまで奪ったのに、ズルいです。

 

「ルシール、最後の戦いだ」

 

「ああ、あの人形を破壊して今夜はゆっくりと休みたいものさね」

 

……えぇ、絶対に倒しましょうね。

 

 

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