ルシールおばあさんの復讐は続いている。
しかし、だんだんとドットーレも怒りで動けるようになってきたのか。上半身を僅かに持ち上げ、怒りと憎悪の混ざった眼差しをルシールおばあさんに向けている。
「ルシールッ、貴様だけは殺してやる!!」
「お馬鹿だね。威張る前に殺してしまえば良いだろう?ほら、動けばあたしに届く距離だ。フランシーヌなど、無視して動いてみると良い」
「だまれえぇ!!」
殴り、殴られる。
まるで子供の喧嘩のようにルシールおばあさんとドットーレの二人は殴り合っている。止めたいのに、止められない。巓ちゃんは呆れているけど。
それは彼女が強いからだ。
孤高の存在。
ずっと高みに君臨し、他者を見下ろす存在だった巓ちゃんに辿り着いた黒賀平助は凄いと思うけど。なんで髪の毛に包まれているのだろう?
「命、そろそろ終わるが手ェ出すなよ?」
「……分かっています」
最初に会ったしろがねのおばあさんは「
ルシールおばあさんも死ぬ事を望んでいる。
梁さんもその事に気付いているけど。おそらく彼女は納得していないし、ルシールおばあさんに死んで欲しくないと思っているのかも知れない。
私だってそうだから、私が結婚するところを見て欲しい。本当のお婆様のように尊敬し、敬愛している彼女に死んでなんて欲しくない。
「フランシーヌなどォ…己には関係ないィィ!!」
ドットーレがそう叫んでしまった瞬間、カシャッとシャッターを切る音が聴こえてきた。───ですが、どこにもツカサ君の姿は見えず、私達は切り裂かれて倒れ伏すルシールおばあさんを抱き締める。
「あっ、なんだ、なんだこれはあぁぁ!!?」
「ホホホ。存在意義を手放したんだ、お前はもうフランシーヌ人形に仕える人形ではなく、ただの怒りに震える木偶人形だよ」
ドロリと疑似体液を七孔噴血から噴き出して苦しみ、暴れ狂うドットーレを見ながらルシールおばあさんは笑い、私と梁さんに視線を向けてきた。
「命ッ、貴女の力で…!」
「してるっ、してるんです!」
「全くこんなことで一々泣くんじゃないよ。ミコト、ミンシア、アンタ達にはまだやることがあるだろうに。ミコトも無理するんじゃないよ。ミンシア、アンタは少し年上なんだ。ちゃんと引っ張ってあげるんだよ」
「待って、まだ話したいことが」
「ルシールおばあさん、治すから!治すから目を閉じなッ、ゲホッ、ゴホッ…ゴホ゛ッ…!」
ボタボタと血を吐いて、息が乱れるのも無視して『癒やしの力』を使っているのに治らない。どうして、まだ話したのに、もっと私を見て欲しいのにッ…!
「泣き虫な子達だねえ…」
穏やかな顔で彼女は
ごめん、なさい。
私がもっと力を使えたら……。