「全く、お嬢さん達はとんでもねえですぜ」
「喋ってる暇があるなら動け!」
「まあ、今度こそお代がほしいんでね!」
その一言にビクリと身体が跳ねて、嬉しさと恥ずかしさに顔を赤く染めてしまう。阿紫花のお兄さん、そんなに私の事を想っていてくれたですね。
とても嬉しくて幸せです。
────ですが、浮気の件は問い質します。
そう心の中で思いながら血だらけの顔を拭う。
「命ッ!!棍出してくれ!」
「そちらに投げます!」
『如意スティック』を纏めていた小型ケースを鳴海お兄さんに投げ渡して、髪の毛を振るって
薙刀と大鉾。
お母様の家に伝わっているのは普通の十文字槍だそうですが、そちらはまだお母様の許可を得ていないので触れることは出来ません。
「巓ちゃん、お手伝いします!」
「フン。勝手にしろ、私は確かめに行くぞ」
そう言うと巓ちゃんは高い高い玉座に座り、私達の戦いを静かに見つめているフランシーヌ人形の事を睨み付ける。誰かに見下ろされるの、まだ嫌いなんですね。
チラリと私達に視線が向いた。
しかし、フランシーヌ人形は逃げる様子も誰かに助けを求める様子も見せず、王としての在り方を魅せるように悠然と座している。
「フランシーヌ様に近づくな、人間風情がァ…!」
「動けっ、動かぬか、ワシの身体ぁ!」
「此処のガラクタは節穴ばかりだな」
呆れたように呟いて歩き始める巓ちゃんの隣で蛮竜を振るい、私の守りきれない場所を彼女が薙刀を振るって守ってくれる。
お互いの見えないところを庇い、アルレッキーノやドットーレのように言葉も喋れない
「止まれェ!!」
「クク、そよ風だな」
モフモフとした尻尾に包み込まれて緩んでしまいそうになる心を引き締め、私の事を狙った緑色の服を着た
パンタローネ。そう呼ばれていた男性型の
ゆっくりと歩んできた二人を見据える。
でも、彼らから私達を遮るように鳴海お兄さんと黒賀平助の二人が現れる。
「命、てんだったか?コイツらはオレがやる!」
「巓、確かめて来てくれ」
その言葉に私達は顔を見合わせる。
あの燃える屋敷で戦っていた二人が、今度は一緒に戦おうとしているんです。とっても素敵でカッコいいと思ってしまうのは仕方ないのです。