真夜中のサーカスを狙って極秘裏に放たれた世界各国のミサイルは二百年間も人々を苦しめていた悪意を破壊し、全てを無に還していく。
脱出する際に利用した長足クラウン号は地中を掘り進み、私達を無事に安全地帯まで運んでくれた。私と巓ちゃんは電車の揺れに酔い、一緒に口許を押さえながら脱出するまで耐えていたけれど。
生き残った人はみんな「嘘だ」や「信じない」と叫んでいたが、巓ちゃんの威圧を受けて冷静さを取り戻してくれた。それでも生き残った「しろがね」は三十人にも満たない人数で、外で集まっていた糸色機巧軍の
ただ、他の
フェイスレスはまだ生きている。
しかも極当たり前のように味方の「しろがね」に扮し、内側から攻撃を行っていたのでしょうね。本当に不愉快で嫌いなタイプの人です。
「……じゃあ、じゃあよぉ、ルシールが死んだのも他の奴らが死んだのも全部」
「無駄死にだ」
「巓ちゃん!?」
その言葉に彼女に怒りと殺意が向けられるもその数千倍の殺気を放ち、巓ちゃんはしろがね達を退ける。しかし、鳴海お兄さんだけは巓ちゃんに近づき、睨み付けた。
「無駄死になんかじゃねえ」
「いいや、無駄死にだ。少なくともお前達が黒幕を倒すために立つことを選ばなければ奴らは本当の意味で無駄に死に、名も意思も残らない」
「…………俺は日本へ向かう。他のヤツは自分の国に帰れ、故郷に残した家族や友達に会ってこい。俺はフランシーヌ人形がいる日本に戻る……」
そう言うと静かに歩き出した鳴海お兄さんに着いていこうとした瞬間、阿紫花のお兄さんに右手の手首を掴まれてしまう。
「ダメですぜ、お嬢さん。ありゃあもう修羅だ」
「…それでも、彼には誰かが必要ですから」
「巓ちゃん、また失礼しますね。それと蛮竜を」
「構わない。好きにしておけ」
ゆっくりと両手を彼の頬に添えて、背伸びをするように爪先で立ちながら今度は私からキスをする。今度は私から離れますけど、許して下さいね。
「鳴海お兄さん、私も着いていきます!」
私は着物からセーラー服に『着せかえカメラ』で変わり、鳴海お兄さんの隣を歩く。しろがねさんや優君に会えば、元通りになるよね。