「鳴海お兄さん、大丈夫ですか?」
「ああ、問題ねえよ」
そう言って私の頭を撫でる手は義手の方だった。違和感はあった、真夜中のサーカスを壊滅させた後、キュベロンからの使者を名乗る人形に着いてきました。
そこで知ったのはフランシーヌ人形の行き先と、人間の身体に乗り移っている可能性もあるという話。そして、その人は私の大切な義姉であり、鳴海お兄さんが密かに愛を向けていたしろがねさんだった。
おかしい。おかしすぎます。
まるで、私と鳴海お兄さんの二人を狙っているかのように次々と情報が舞い込んでくる。それに、鳴海お兄さんの身体もそうです。
私がワンちゃんと一緒に離れていたとき、彼は血を多く流しすぎていた。だから今はもう左足以外は完全に義手と義足になってしまっている。
それも壊れた懸糸傀儡の手足を接合した。お髭のおじ様、帽子のおじ様が戦いで壊れた部位を提供してくれたおかげで、鳴海お兄さんは動けている。
残った左足だけは絶対に守り通します。
「命が謝る必要は無いからな」
「それでも、やっぱり謝ります。ごめんなさい」
才賀に名前を連ねる者として、糸色命として出来ることは何でもします。そう伝えても鳴海お兄さんは素直に答えてはくれませんでした。
まだ彼は記憶を取り戻していないけれど。
「命、もしもソイツがお前の
「分かっています。ですが、人間になるのなら人の身体を奪わずとも人として生き、その生きてきた歩みを見ていれば自ずと分かると思うんだけど……」
「それが分からないから人形なんだよ。……ところで、さっきから俺の右腕に何をしてんだ?」
「メンテナンスと飛行ユニットを付けようと」
「飛行ユニットぉ!?空を飛ぶなんざ嫌だぞッ、いや、空を飛ぶヤツがいるかも知れねえが」
私から義手を奪い取ろうとする鳴海お兄さんに「神経接続部位を改良するのでまだ取らないで下さい。せめて感覚だけでも近づけたいですから」
そう言って私は腕を守りながら、ドライバーを突きつけると鳴海お兄さんは引き下がる。『分解』を使えると思っている彼は私の持つ工具を警戒しているのです。
そんな酷いことはしないのに酷いです。
しかし、みんなの懸糸傀儡を製作した人は規格外ですね。ここまで精密に歯車を組み合わせて尚も改良・改造を想定して機巧を整えています。
糸色家の機巧人形にも少しだけ似ています。