「母様、私の夫となった黒賀平助だ」
「は、初めまして、黒賀平助です。お父さん、お母さんになにも連絡もせずに婚姻を結んだ事は謝ります。しかし、俺は一切後悔も懺悔もするつもりはないです」
「そして、このナナフシみたいなのがナガレだ」
「妙みたいにお父様かパパって呼んで!」
「黙れ、まだ香水の臭いがするぞ」
しくしくと鬱陶しく泣いた真似をする
私の愛する
しかし、二人とも必ず家に帰ってくる。
どちらも最強の一角だ。少なくとも霊能技法に関しては二人に私は遅れを取る。いや、そも妖気を操ることに長ける私が霊能力を使う理由もないのだがな。
「で、結婚の決め手は?」
机を挟んで真向かいに座る愛する
「あることあること言うぞ」
「無いことは!?」
「嘘は言わない」
「……俺の一目惚れです」
顔を覆ってそう答える平助に愛する
お前は無理やり唇を奪ったりしていただけだろう。私は「戦え」とは指示していたが、未だにあんなことをした理由にはならないからな。
「……ところで、命さんは?」
「今は加藤鳴海という男に着いている。平助と同等か向こうが上の拳法家だ。少なくとも、母様に膝を突かせる事は可能だと私は見ている」
「へえ……それは楽しみね」
密かに笑みをこぼす彼女は名実共に白面の者を倒した二人の片割れとして有名だ。シャガクシャ?あれは私の絞り糟みたいなものだ。
蒼月潮、糸色妙、この二人の人間によって我は敗れた。決して、あの家庭菜園を踏み荒し、虫食いのように食らう卑劣な妖怪は許さない。
あれでよく結婚したものだ。
真由子、他の奴らは知らないがあの時ほどに尊敬したことはない。シャガクシャなんていうバカを夫にしようなど考えるヤツは早々いないからな。
何度も脅かされたものだ。あんな傍若無人な糟みたいな妖怪によく愛想を尽かさない。いや、そもそも愛想を尽かすことがないのか?
「巓は悩みやすいな」
「誰に似たのかしらね?」