無事に……無事に?平助と両親の挨拶は済んだ。
しかし、命はもうすぐ日本に来るのだろうが才賀やしろがねと会ったとき、不都合を感じる可能性もあり得る事だが、命は気付いていないのか?
「(相楽左之助はどうやって乗り越えた?)」
そう考えてしまう。
それに太陰より人の身に変わって分かったことだが、糸色家は因果の集束点だ。その時代毎に巻き起こる事件や歴史の変革に必ず糸色家は在る。
有限の理を抜けることは出来ずとも血筋を越えて、何かを目指しているのは事実であろう。現に、私もまたガラクタと戦う運命に巻き込まれている。
そも妖怪や人形、死体、怪人に関わるなど人間の一生で何度も起こり得る体験ではない。糸色家は意図的に出会い、運命を紡いでいる。
「巓、考え事か?」
「考え事だが、謎が多い」
「フランシーヌ人形のこともあるからな」
そちらは、どうでもいい。
フランシーヌ人形など私には無関係の産物だ。そもそもしろがねの身体に在る魂は一つだけ、乗り移る事も憑依することも不可能だ。
人形ごときに人の身体は奪えないものだ。
「俺が言うのも何だが、さっきから親父さんは部屋の外で何してんだ?」
「監視」
主に平助の事を警戒しているな。
「……チッ、今度は羽虫か」
私は苛立ちを隠さずに送られてきた手紙を受けとり、手紙の内容を確認する。また、錬金術師が騒がしく動いているのか?とこめかみを押さえる。
斗和子のときもそうだったが、錬金術師という生き物は自分が優位性を常に保っていると勘違いしているのか?あるいは、陶酔しているのかだ。
「ナナフシ、息荒れが酷いぞ」
「……パパは壁張り付きしてただけだ」
「知らん。母様に告げ口するぞ」
「それだけはやめてくれ!?」
そう言ってドアを開けると
「……流君、廊下で何してるのよ」
「違うんだ、妙。これはな」
「良いから工房行くわよ」
「巓、せめて清いお付き合いを」
もう子作りしてるから無理だぞ。
「親父さん、家庭内カースト最下位なのか?」
「カースト?」
「いや、なんでもない」
お前はお前で何を言っているんだ。カーストというものは知っているが、近隣含めて頂点に君臨しているのは私の愛する