フェイスレスの溶解液を掌打の風圧で掻き消し、『分解』を受けても瞬時に関節を嵌め直す平助の戦い方は凄まじく他の人形遣いは身動ぎすら出来ずにいた。
「やるねえ。流石は黒賀の最高傑作だ!」
「大して効いてねえだろうがッ!!」
「当然、ダメージは円運動を利用して地面に分散しているからね。いくら打撃に秀でていようとタイミングをズラしてしまえば非力な手押し技だね!」
嘲る声が響く。
「スウゥッ……噴ッッッッ!!!!」
────だが、それよりも鋭く強烈な踏み込みと共に繰り出された虎爪の拳が衣服を引き裂き、外側に捻る拳が鋼鉄の肋を掴み、捻り切るように毟り取った。
「グホッ…!?」
「俺の流派は洪家拳だ。掴めば抉り取る、お前に奪われたものを奪い返すために極めた剛爪でお前の全てを破壊してやる」
「これは、ちょっと予想外。───だけど、僕が何の準備もせずに来たと思うかい?」
そう呟いた瞬間、左右の襖と障子を突き破って二十人を越える男女が部屋の中に侵入してきた。機械の臭い、それに
成る程、またガラクタ造りか。
「糸色巓、死ねェ!」
「下らん」
才賀勝と才賀正二の前に移動し、飛んできた鉄杭を髪の毛で受け止めた瞬間、螺旋状の腕を突き出す女の頭を掴み、地面に叩きつけて頭を握りつぶす。全く、私を倒したいなら全世界の強者を集めた大軍勢を用意しろ。
「テンさんっ、大丈夫!?」
「問題ない。私は命と違って優しくないからな」
コキリと指を鳴らし、私に向かってきたガラクタの首や手足を破壊し、銀色のねっとりとした体液を払い落とす。男のしろがねは平助と一緒に戦っているが、あの黒い人形では遅れるな。
「正二、動けるなら動くか?」
「ッ、まだ私は戦えるのか?!」
「ただし、十分だけだ」
私の言葉に才賀正二は頷いた。
「───ならば、甦れ!」
水槽を破壊すると同時に時計の描かれた風呂敷『タイムふろしき』を才賀正二に被せ、十秒ほど経過した瞬間に太く分厚い腕が風呂敷を剥ぎ取って、才賀正二が立ち上がった。
『着せ替えカメラ』で服を着せる。流石に男の裸を見るのはイヤだ。私だって乙女だからな、それなりに羞恥心というものは持っているつもりだ。
「正二ィ……!!」
「十分だ。それ以上は持たないぞ」
「分かっている。勝、刀を」
そう言うと才賀正二はフェイスレスを睨み、平助、男のしろがねと共に戦いを始める。私も加わるべきだが、才賀勝を狙っているガラクタはまだいる。