「ざっと数えて百人。対して、此方は四人。コイツは何とも骨の折れそうな仕事で」
「だ、大丈夫です!怪我をしたら私が癒します」
私の言葉に巓ちゃんは呆れたように溜め息を吐き、髪の毛を揺らめかせ、周囲の瓦礫や柱を掴み、圧倒的な手数を作り出した。
まさか、私を心配してくれたの?
少し嬉しい気持ちになっていた刹那、巓ちゃん達は一斉に動き出し、人形は人形と、人は人と、お互いを潰して殺し合うように戦争を始めてしまった。
「オラァッ!!」
「あるるかんっ!カトウ、先走るな!」
「分かってるよ!!」
中国拳法の動きと技で相手を倒していく鳴海お兄さんをサポートし、お互いの死角と背中をカバーし合うしろがねさんの動きが綺麗に重なる。
そんな二人に銃を向ける人を優先し、長身の忍びを模した人形「次郎丸」を操り、二本の長刀を鞘に納めたまま振るう阿紫花のお兄さんは楽しそうに笑う。
「全く、退屈しねえなあ…」
「阿紫花、何笑ってやがる!こうなってんのはお前らが勝を狙ったからだろうが!」
「いや、ちょいと面白くてですね。まさかウチのご先祖様が使っていたとか使っていなかったとか言われてる人形を今、あましが操ってるんで」
くつくつと笑っている彼としろがねさんの動きが混ざる。ううん、違う。あれは、同じ技を使おうとしているんだと私も勝君も理解した。
「次郎丸!」
「あるるかん!」
「「
二つの螺旋が人形と人間を薙ぎ倒していく。
「すごい…」
「キリキリとうるさい」
「巓ちゃんは戦わないの?」
「私の相手はアレだ」
そう言って彼女の見る方に視線を向け、私と勝君の動きは止まる。私達を襲っていた生き人形が、階段の手すり越しに私達をジッと見つめているのだ。
そうして、もう一人は鳴海お兄さんの服に似た長袍を着た男の人が鳴海お兄さんの目の前に立つ。既に二人ともボロボロだけど、大丈夫かな……。
「中庭での続きか。来い」
「負け続きだ。勝たせてもらう」
「命、お前は前に出るな。邪魔だから」
最後の言葉は必要だった?とショックを受けつつ、私は勝君と一緒に四人の戦いを見つめることしか出来ない。人の傷を治したら体調を崩し、弱くなる私は確かにお荷物で邪魔にしからならない。
それでも、私は誰かを助けたい。
「愚物の作ったガラクタが私を狙うか。塵は塵らしく私の邪魔にならないように砕けていろ」
そう言うと同時に刀を抜き放った人形が髪の毛に包み込まれ、五秒も掛からずに圧殺された。