五トン忍シュリケンの作成に成功し、準備を進める合間にしろがねさんのところに向かい、鳴海お兄さんとの語らう時間を作る。
「鳴海お兄さん、落ち着いて考えましょう?」
「……ああ、分かっている」
「すまない、ミコト」
「フフ、良いんですよ。
そう言うと鳴海お兄さんは苦虫を噛み潰したように顔を歪めるけど。深呼吸を繰り返して、しっかりとしろがねさんの事を見つめる。
まだ、記憶は戻っていないけれど。
やはり鳴海お兄さんもしろがねさんも再会するには早すぎて、冷静さを取りもどす時間も少なかった。もうちょっとだけ動くのを遅らせておけば……。
そう悔やみながらも私は真剣に二人が安心して喜び合える時間を取り戻してあげたい。───けれど。それは私自身の身勝手なエゴなのかもしれない。
「本当に、フランシーヌじゃねえんだな?」
「私は貴方のしろがねだ。フランシーヌ人形でもアンジェリーナでもなく、貴方に呼ばれる度に心が高鳴るしろがねという名前がある」
静かに力強くしろがねさんは告げる。鳴海お兄さんもその眼差しにたじろいで、への口で顔をしかめているけれど。彼女の事を目で追ってしまっている。
それだけ彼女の言葉に心が揺れて、記憶が戻り掛けているのだろうと私は考えている。
「命、お前は本当にコイツがフランシーヌ人形じゃねえと思っているんだな?」
「はい。人形はどれだけ取り繕おうと人の機微を完全に理解し再現することは出来ません。例え身体を奪っても人間の意識は奪えない」
「私は私のままだ、信じて欲しい…!」
「…………俺は命の言い分を信じる。だがな、完全に信用した訳じゃねえからな、しろがね」
「ッ、ああ、それでも構わない。貴方が私の傍に居てくれるのならそれだけで私は良いんだ」
微かに微笑みを浮かべるしろがねさんの笑顔は本当に綺麗で思わず、見惚れてしまうほどに身体の奥から熱が汲み上げてくるのが分かった。
「お前達、話すなら何処かに入れ」
「巓ちゃん、どうしたんですか?」
「彼処で聞き耳を立てている奴らがいるぞ」
そう言われて私達はトラックの影に隠れていた仲町さんたちに視線を向け、クスクスと笑ってしまう。見られてきかれてしまったのなら仕方ないことです。
それにしても、随分と仲良しのお友達が増えたんですね。私もしろがねさんが寂しく思っていなくて安心しました。まあ、変な目で私を見る男の人達は怖いけど。
「糟共、命は中学生だぞ」
巓ちゃんがそういうと視線は消えた。
フフ、やっぱり巓ちゃんはすごいですね♪︎