英良さんのご実家に向かうことになり、どうしましょうどうしましょうとアタフタとする私にお母様は「命、貴女の覚悟と意思をハッキリと伝えれば良いのよ」と教えてくれました。
ですが、緊張する物は緊張するんです。ただ、それに田舎というので緊張よりも車酔いのせいで顔色を悪くしながら、車のドアを開けて外に出る。
澄んだ空気と懐かしい匂いがする。
「二週間前に来たばっかりですが、まさか今年の内に二回も戻るなんざ想像もしてやせんでした」
「そう、なんですか?」
「えぇ、そういうもんですよ」
そう言うと英良さんが車のエンジンを切ったその時、少し髪の毛の長い男の子が刀を───私の作った「秘剣」電光丸を持って飛び出してきた。
「アニキ!!」
「おお、平馬じゃねえか!」
「中学生をテゴメにしたってマジなのか!!」
「ゴホッ!!?ゲホッ、いきなりなんでさあ?」
「へいま」と呼ばれた男の子の叫びに煙草を吸おうとしていた英良さんは噎せて、煙草を落としてしまう。手篭め、有り体に言えば事実菜のでしょうか…?
「あれ?なんで、テンのネーチャンが?」
「わあ、やっぱり巓ちゃんもいるんですね!初めまして、阿紫花英良さんとお付き合いしている才賀命です、気軽に命と呼んで下さいね」
「……さいが?才賀って、マサルの名字だろ?」
その言葉に私は目を見開く。
「お嬢さん、コイツはあたしの弟でさ」
「英良さんの弟さん……」
日本に帰ってきてから一度もしろがねさんが教えてくれなかった勝君の行き先は黒賀の里だった?それなら私にも言ってくれれば着いていったのに……いえ、何かしら事情があるんですよね。
「……なんか弱そうだな」
「平馬、お前にやった刀を作ったのはこのお嬢さんだ。他にも色々と面白いものを作っているから見せて貰えるかも知れないぜ?」
「マジか!?すげえな、ネーチャン!!」
「そ、そうなんでしょうか?」
大百科のおかげで、私個人は作っているだけの何か自分で成し遂げたというわけではないですし。英良さんもそれは知っているのに、何故?
そう疑問に思いながら作ったばかりの発明品「タケコプター」を男の子の頭に着けて、ボタンを押すと浮かび上がっていく。楽しそうに「すげえ!すんげええええぇっ!!!」と叫び笑う声が聴こえてきました。
フフ、元気なのは良いことです。
勝君にも色々と渡してあげたいし、鳴海お兄さんが見つかって今はしろがねさんと一緒にいることも教えてあげないといけないですからね。
きっと大喜びしてくれますよね。
そう私は笑顔を浮かべながら、どんどん空高く上がっていく英良さんの弟さんを欲しいものを掴んで待ってきてくれる発明品「ナゲーなげなわ」で掴まえる。