「命、来ていたのか」
「巓ちゃん、ただいまです!」
私の名前を呼ぶ優しい声色に嬉しさを感じながら、後ろに振り返ると巓ちゃんは普段の着物ではなく洋服を着ていました。何故か、こう奥さん風のお洋服です。
「……はわ、きれい……」
「クク、なんだ?私に見惚れていたのか?」
そう言って笑う巓ちゃんの言葉にコクコクと私は頷きつつ、彼女の劇的な変化にビックリしながら変な気配のするネックレスを身に付けている事に気付く。
それ、巓ちゃんの趣味ではないですよね。
「一つだけ言っておこう。この服装と首飾りは不本意だ。今の私は妖気を封じられ、平助の命令に逆らえない状態になっているからな」
「そんなっ…!」
あまりにも非道すぎる行為に口許を覆ってしまうものの、巓ちゃんに「私に何か出来ることはありますか?」と聞けばブレスレットとネックレスを外して欲しいという彼女の言葉に答える。
「助かった。さて、仕置きの時間だ…!」
ブワリと毛先まで黒かった髪の毛は白く染め上がり、キツネの耳と尻尾が生えていく。この前は一本だったのに、二本に増えています。
まさか怒りの上昇率で増える?
そう考えながら巓ちゃんに話しかけようとしたその時にはもう目の前にはいなくなっていました。まあ、巓ちゃんにも大事な用事はありますよね。
私は勝君の事を探して、また歩き始める。
もしかしたら私の未来の
「初めて見る人ね、観光?」
「え?ああ、弟を探しているんです」
「おとうとぉ?」
ジロジロと私の事を見つめるセーラー服の女の子に戸惑いつつ、なにか変なことを言ったかな?と不安になりながら見つめていると「……はあ、着いてきなさい」と手招きされ、慌てて彼女を追いかける。
竹藪の奥を進んでいき、見えたのは勝君だった。
どうして、彼女が知っているのかと小首を傾げながら話しかけようとした次の瞬間、空気の炸裂する音と共に『空気砲』を撃つころばし屋さんがいた。
しかも私の作った最新型の等身大モデルのころばし屋さんが勝君と戦っていて、私は困惑しながらも深呼吸して二人の戦いを見つめる。
おそらく、これがしろがねさんと離れた理由ですね。勝君は私と同じように誰かに狙われているか、あるいは既に襲われて強くなる途中ということだ。
なにより勝君の動きはレッシュさんに似ている。
だからきっと先生は、レッシュさんですね。