「久しぶりです、勝君」
「ひ、ひさしぶり、ミコトさん」
「少し大きくなりましたね」
ぎこちなく私を見つめる勝君の目の前にスカートを押さえたまま座り、よしよしと彼の頭を優しく撫でてあげる。一生懸命、頑張るのは良いことですけど。
無茶するのは悪いことです。
そう彼の頭を撫でて抱き締めていると、出会ったときから変わることなく身に付けているロングコートを風に揺らすレッシュさんが私に話しかけてきた。
「久しぶりだな、ミコト」
「レッシュさん、お怪我はもう?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「それなら良かったです」
「既に知っていると思うが、貞義はマサルの身体を狙っている。そして、失敗したときに備えて君とテンの身体も狙っている」
あまり自覚はないのですが、男の人から女の人に記憶を移し替えるのは難しく思えます。無事に成功しても筋力差や体格、身体の仕組みは異なりますし、下手に異性の身体を奪うのは得策とは思えません。
おそらく情報を撹乱する作戦なのでしょう。
「しかし、アシハナを追い掛けて闇の世界に入ってくるなんて君は少々お転婆すぎるな」
「フフ、世界に闇も光もありませんよ。あるのは、必死に生きている人達の努力する姿です。悪いことをするのはダメですが、何か理由があるのなら助けたい」
「全く、とんだエゴイストだね」
「えご、いすと?」
「欲しがりで欲張りな人の事ですよ、勝君」
そう言って私は自分の胸に手を添える。
確かに、沢山の人と関わりを持っていたいと思う私はエゴイストなのだろう。それでも欲しいものは欲しいと言いたいし、言って繋がりを持ちたいのです。
「そうだ。ミコト、お前の持っている人形でマサルの修行に使えそうな物はあるか?」
「おもちゃの兵隊なんてどうでしょうか?」
レッシュさんの言葉を聴いて、四次元ポケットに手を入れると私は勝君と背丈の近い機巧人形の発明品『おもちゃの兵隊』達を取り出していく。
足軽殺駆達はまだ完全に修復できておらず、もう少しだけ時間が掛かりそうです。それに『おもちゃの兵隊』は銃と剣を使う機巧人形ですから、勝君の相手を務めるには十分な相手と言えます。
「勝君、大人数だけど。大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ、ミコトさん!」
「……分かりました。標的、前方の人形遣い!みんな、頑張ってください!」
そうおもちゃの兵隊に指示を送ると同時におもちゃの兵隊達はライフルを構えて、パン!パン!と小さな空気弾を撃つ最中、銃剣を構えた兵隊達が勝君に迫る。