勝君のお泊まりしているお家が英良さんの生家で、ほんの少しだけドキドキとしてしまう。さっき私の事を案内してくれた女の子もいるから、英良さんの妹さんなのかな?と思う。
「英良、年に二回も帰ってくるなんて珍しいな。この前は腑抜けてたが、なにかあったのか?」
「そりゃねえぜ、親父。確かに腑抜けてたのは認めやすがね、そういうのは言わぬが花ってやつでしょう?」
ケラケラと笑う英良さんと、英良さんのお父様を交互に見比べていると咳払いする声が聴こえ、眼鏡を掛けた女の子が話の軌道を修正してくれました。
「お父様、お話が逸れていますよ」
「おお、そうだったな。お前が連れて帰ってきたその娘さんは何か仕事で預かることになったのか?勝君のお姉さんの様だが」
みんな、私の事を見つめています。
ちょっとだけ恥ずかしいですね。
「あー、いやね。ちょいと縁あって知り合った善治社長さんとこのお嬢さんなんですが、あたしの女房になることが決まりまして……」
「初めまして、才賀命です」
ゆっくりと深々と正座を崩さずにお辞儀をすると英良さんのご家族もみんな慌てて同じようにお辞儀を返してくれたものの、女の子達の視線は混乱していました。
「せ、セーラー服を着とるが、まさか高校生と?」
「お母さん、流石にそれは無いって」
「そ、そうですよ、高校生が三十歳のオジサンと結婚するなんて信じられないわ」
やいのやいのと言い合うご家族の反応に私と英良さんは苦笑を浮かべていると、ガラガラと戸を開ける音が聴こえて来ました。
「アニキ!ネーチャンに聴いたら、そっちのネーチャンまだ中学生ってホントなのか!?」
その叫び声に空気が凍った気がします。
ヒソヒソと呟く声に私は小首を傾げながら、勝君の方を見ると彼も同じように小首を傾げながら、不思議そうにみんなの反応を見ています。
「まあ、平助もピチピチの17歳と結婚しとるし。中学生と言っても16歳は越えとるよな」
「いえ、まだ私は15歳です」
「……ふう、母さん、どうしたらいい?」
「まあ、そういうものなんでしょう」
そう言って遠い目をする英良さんのお母様とお父様を不思議そうに見つめていると、クツクツと英良さんは笑いながら「お嬢さんが来たら、みんなタジタジになってしまいやしたね」と言う。
成る程、これは私も関わっているのですね。
でも、どうして私の年齢を聴いてみんなは困ったり怪しんだりしているのでしょうか?と思いながら平馬君と勝君を見る。もうすっかり仲良しさんですね。