「人形相撲?」
「えぇ、どうやら今年はウチの三女がなるそうで」
「そうなんですか?」
三女ということは阿紫花百合さんですね。勝君のところに案内してくれて、同い年のお友達が増えるのはとても嬉しかったです。
しかし、懸糸傀儡のお相撲なんて初めて見ます。そう思いながらワクワクする私とは裏腹に、英良さんは少し困った顔をしている。
「何かあるんですね」
「……実は、村の風習で面倒なのがありましてね。ウチのが年娘に選ばれたせいか、若いガキ共が血気盛んになっているみたあなんでさ」
年娘。
その年に選ばれた巫女のような立場で、人形相撲で優勝した人と祝言(結婚式)の真似事、その人とデートをすることになっているそうです。
それって、女の子の意思は無視なんですね。
昔は女の子を所有物のように扱っていたらしいですけど。そんなこと許されるわけがない。でも、ここに来たばかりの私が何かを言えるわけでもない。
「あたしは出れやせんが、坊やと平馬がやる気になっているみたいですからね。あたしも兄貴として少しだけ手伝ってやるつもりなんでさ」
「フフ、やっぱり英良さんは優しいですね」
私の言葉に「優しいだけじゃないんですがねえ?」と英良さんは呟き、私の髪の毛を軽く解くように手を這わせて頬に触れてきました。
大きくて安心できる手です。
鳴海お兄さんの手も大きくて好きだったけど。やっぱり私は英良さんのほうが安心できますし、ドキドキとするのもやっぱり英良さんだけです。
「お嬢さんも見に行きますかい?村の偉いさん方は懇意にしていた才賀のご令嬢が来たと嬉しそうに騒いでいるようですが」
「じゃあ、その時はまた
私はそう言って、彼を見上げてみる。
「御安いご用でさ。お嬢さん」
軽いキスをおでこに受け、思わず嬉しくて顔を彼の胸元に押し付けるように抱き付いてしまう。はしたない女の子だと思われていないでしょうか?
不安に思いながら、恐る恐る彼の事を見上げると「ははあ、お嬢さんも随分と大胆になりやしたね」と笑って、私の腰と太股を掬い上げるように抱き上げた。
なぜかビックリした表情が見えた。
「……重くないですか?」
「いや、むしろ軽すぎて……」
「ああ、それは
英良さんも巓ちゃんのようにスタイルの良い女の子のほうがいいのでしょうか?と小首を傾げながら地面に降ろして貰い、ゆっくりと手を繋ぐ。
デートするときは、手を繋ぐものなのです。