勝君と平馬君の二人は破竹の勢いで勝ち進み、私はクピクピと二杯目の甘酒を飲み終わり、ポワポワと頭の中が溶けるような感覚に笑顔がこぼれる。
なんだか気分も良くなって来ました。
そう思いながら自分の胸に手のひらを当てて『癒やしの力』を使う。…………酔うというのは危ない感覚ですね、私はお酒を飲まない方が良さそうです。
自分には使えないと思い込んでいました。でも『並行世界の転写』によって甘酒を飲んでいない私に上書きをする。試しに心臓の病気にも使ってみたけれど。
やっぱり心臓の病気は上書き出来ない。
ううん、出来なかった。
私の心臓は『並行世界の転写』を使用する謂わば代償にして対価。使えば命を削り、無理を強いればもう二度と目覚めることはないかも知れない。
そういう類いの異能だ。
「お嬢さん、平馬の使ってた人形なんですが」
「はい、モデルは死なずの忍びです。次郎丸を使っていた英良さんを知っているらしく、機巧人形は同種の忍びにしておきました」
「ははあ、お優しいことで」
どこか嬉しそうに笑う英良さん。
私が舞いを初めて披露したときに巓ちゃんが見せてくれた笑顔にそっくりだった。いわゆる姉心、兄心というものなのでしょうか?と小首を傾げる。
しかし、あともう少しで終わりそうですね。
そう思っていたとき、視線が強くなる。英良さんも視線に気付いているらしく、頻りに視線の主を探すように目を動かしている。
「英良さん、少し夜風に当たって来ます」
「……危なくなったら呼んでくだせぇ」
「フフ、大丈夫ですよ」
彼の言葉を嬉しく思いながら雪駄を履き、人形相撲の会場を出ると百合さんに見せて貰ったファッション雑誌に載っていたゴシックロリータという衣服を纏った綺麗な金髪の女の子が立っていた。
「迎えに来たわよ、ミコトちゃん」
「私は勝君と違って対戦する話は聞いていないのですが、この状況もフェイスレスの予定ですか?」
「そうねぇ~、フェイスレス様の予定かも」
コツコツとブーツの底を鳴らして歩く彼女の後ろを歩いているとき、勝君が此方に向かってくるのが見えた。成る程、私も景品というわけですか。
そう納得しながら顔をしかめる。
「ミコトさん!」
「えぇ、分かっています。私も共にやります」
「……うん!」
僅かに悩んだものの、許してくれた勝君。
人形遣いになった勝君と一緒に戦うのは初めてですね。初めて会ったときは怖くて一緒に逃げていることしか出来なかったのに、今は一緒に戦える。
フフ、何があるのか分かりませんね。