「助けなくて良いのぉ?」
「助けません」
クスクスと笑った真似事をするコロンビーヌの近くに四次元ポケットから取り出した長椅子を置き、人形でも食べることの出来る発明品『キカイソダテール』を改良して作ったクッキーを差し出す。
「
「私の発明品は人形でも食べることは出来ます。貴女達風に言えば疑似体液を交換している様な物です」
「ふぅん……あ、美味しい」
私の差し出すクッキーを入れた大皿を膝の上に乗せて、サクサクと食べるコロンビーヌに『キカイソダテール』を紅茶に改良した物を用意する。
こうしておけば勝君の戦いに集中できる。
懸糸傀儡「ジャック・オー・ランターン」の性能は一度点検と整備をする際に知っています。アレは勝君の身体に合わせて設計している。
「ブラザーを破壊した女を殺すためにお前を殺す!」
「させるもんか!ミコトさんもしろがねもお前らに手出しさせるわけにはいかないんだ!!」
身体に纏わりつく自分の血を払い、操り糸を手繰り寄せて大鎌を振るう勝君の動きは以前より洗練され、レッシュさんの動きに似てきています。
高速振動する鎌の刀身はコンクリートの壁をバターを斬るように裂き、その刻んだ礫をランターンの手を模した足が投げつけ、牽制と攻撃の妨害を行う。
初めて彼と出会った四月頃は怖がりで涙脆い男の子だったのに、今はもう鳴海お兄さんみたいに強くて頼もしい男の子になっていた。
お姉ちゃんとして見守って上げたかったのに、いつの間にか真っ直ぐ前を向いて、私なんかじゃ追い付けないぐらい駆け足で進んでいる。
嬉しく思えるのに、寂しくもあります。
「おのれえぇ!!」
ラッパにコンクリートの壁を取り込み、もう片方のラッパから瓦礫を乱射するトルネード・ラプソディーの頭上に飛び上がり、勝君は正二お祖父様の使っていた日本刀を背中から抜き打ち、トルネード・ラプソディーの胴体と首をランターンと一緒に切り裂いた。
「ば、かなあ…ァ……!」
「バカなもんか。僕の、勝ちだ…ッ」
そう言って疑似体液を溢すトルネード・ラプソディーを見下ろす勝君の姿を見据える。フフ、あんなに強くなっていたなんて知りませんでしたね。
やっぱり、勝君は自慢の弟です。
「あ~あ、負けちゃったんだ」
「えぇ、勝君の勝ちです」
ゆっくりと傷だらけの勝君を抱き締めて、傷口に発明品『どんな傷でも直ぐに治る薬』を塗り込んであげ、「痛い痛い!ミコトさん、これスゴくしみる!しみるよ!」と騒ぐ彼の頭を胸に押し込んで押さえる。
「はい。もう大丈夫です♪︎」
「…うぅ、しみるよぉ…!」
「そうだ、勝君」
「なに?ミコトさん」
「とっても格好良かったですよ♪︎」
そう言って私は勝君を送り出してあげる。